表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕にとっての普通は、あなたにとっての異常だから。  作者: かんな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/9

7.君と僕の違うとこ。後半

【来るな!来ないでくれ!】

――誰かの声が聞こえて来る――

【俺が悪かったから、裏切らないから!命だけは!】

【まさるさん?どうしたの?】

【やめろ、やめてくれ】

――助けないと、俺が動かないと――

【誰?まさるさんのお友/達?】

【あぁ、あああときさん?ときさん!】

――動け体!――

【ごめんなさい、許してくださいごめん/なさい】

――動けぇぇぇぇ!――


「――っ!」


 目を開けると自室のベットの上にいた。


「はぁ、はぁ、なんだ、夢か」

『以上、地球で起きた出来事(ニュース)でした。』


 時計を確認するともうすぐで12時になる直前だった。


「今日は寝すぎたな」


 部屋を出て、エレベーターへと向かいカフェテリアで窓の外を見ながらコーヒーを飲む。


「火星はまだまだだな」


 そんなことを呟いていると何者かがアラタの名前を呼びながらこちらに近づいてきた。


「アラタくーん」

「ん?なんだいおりんか」

「いおりん?」

「どうしたんだ?こんな朝早くに」

「もうお昼よ」


 そんな他愛のない話をしていると辺りから視線を感じた。


「なんだ?」


 その視線は一つではなく数十、ひょっとしたら数百は行ってるかもしれない。

その視線の正体は


「なんで渡航者(みんな)俺らを見てるんだ?」

「その話も込みで付いてきてくれない?」

「お、おう」


 急いでコーヒーを飲み干して伊織と共に一階会議室に向かう。


「連れて来たよ」

「おそようだな、アラタ君」

「おはざーすって、健は何やってんの?」


 風太の横たわるベットに乗り、風太に抱き着きメンケアをしてもらっている健。


「実はだね…」

「女子怖い…女子怖い…」

「はぁ、コワカッタネー」


 村上君が今日の朝に起きた出来事をまんまアラタに伝える。


「今朝だな」


【では早速女の人へ聞き込みを行う】

【了解!】


 まだ元気が良かった健が村上君と伊織と共に船内にいるすべての女子にこれから聞き込みに行こうと張り切っていた。


【じゃあ私は四階行くから健君と伊織ちゃんは三階をお願いね】

【うっす!】


「てな感じで聞き込みをしてたんだけど、突然下の階で悲鳴が聞こえてね行ってみると」


【何があった!】


 村上君が下に降りて悲鳴が鳴った現場まで行くと、女子に囲まれる健がいた。


【変態です!この人!】

【ちが、俺はお話を伺いしようと】

【あー!この人色んな女の子に話しかけてた変態じゃん】

【違っ、くて!】

【変態!】【変態!】【変態!】【変態!】【変態!】


 と、どんどんとエスカレートしていきこれでは話をしたって無駄だと判断した村上君が輪の中心にいた健を強引に引っ張り、そのままエレベーターに乗って会議室まで避難して―――





「今これ」

「女子怖い…女子怖い…」

「あの視線は俺たちというより男子への視線だったのか」

「これではプライバシー騒ぎと一緒だな」

「監視カメラ云々かんぬんの時も最初は女子の輪が原因でしたもんね」

「へーそうだったんだ」

――なんだ?この違和感…――


 ここでアラタが今日一日で起きたことを振り返っていると違和感に気づくも、それが的中するのにそう時間はかからなかった。

突然会議室に走りこんできた佐藤先生。


「どうしたんですか?」

「大変だよ、上で!」

――やっぱこの違和感、完全に()()()()だ――

「すぐに行こう」


 風太以外の全員で三階に行こうとすると佐藤先生が全力で

「三階はやめましょう!四階に行きましょう!」

というので四階で降り、吹き抜けから三階を見下ろすと女性陣が男性渡航者へ何か抗議しているのが確認できたが、何を言ってるのか分からなかったので、佐藤先生に何を言ってるのかを訪ねる。


「何してるんですか?あれ」

「どうやら女子と男子を分けろと訴えてるそうだ」

「どゆこと?」

「私にもよくわからん、村上君なんとかしてくれ」

「何とかって武力行使はあれだし、かと言ってスピーチ力も無いし…」


 となりで腕を組み、頭をねじりながら考えている村上君を横目にあることにアラタが気づく。


「あの、ユグドラシルの麓にいる集団がこの女たちを率いているんですかね」

「ん?ホントだ!あの人健を最初に攻めた人だよ」

「ひっ!」

――どんだけだよ情けねぇ――


 狼の群れとは、リーダーがいなくなるとバラバラになってしまう。


「人間だけど、まぁこんなんしてるし知能はワン頃以下でしょ俺行きますよ」

「アラタ君一人で大丈夫?」

「え」

――誰も来ない前提かよ――

「いやー、一人は嫌です」

「よし伊織ちゃん頼む」

「村上さん!?」

「行くぞいおりん」

「いおりん!!?」


 女性陣が男性陣をユグドラシルからカフェテリアに追い詰めている形だったので南側の従業員専用エレベーターを使い女性陣の裏から群れのリーダーらしき人の元へと歩いていく。


「っち、もっと声出せよ!」

「男死ね!」

「すみませーん」

「あ?」

「あのー近所迷惑なのでやめませんか?」

「おい男がこっち来てんじゃねーよ」

――なにか境界線を作ったのか?――

「境界線があるのでしょうか?」

「てめぇ聞いてねーのか?男はあのラインからこっち来るんじゃねーよ!」


 そう群れのリーダーらしき人が指さす方向を見ると確かにある一定のラインで男と女が分かれているのが分かった。

そのラインは東エレベーターの間から西エレベーター間まで引かれていそうだった。


「えぇ、いくら何でもカフェテリアだけって僕たちどこで寝たらいいんですか?」

「知らねーよ!テーブルの下と上で二段ベットでもしときな」

――脳みそついてんのか?――


 一瞬我を失って殴りかかりそうになったがアロガンを思い出し、紳士にふるまい続ける。


「そこを何とかしてくれませんかね?」

「無理だ」

「どうしても?」

「あぁ、もちろん」

「あの線からこっちには?」

「来たら殺す」

「五階でも?」

「もちろんだろ、階層関係なしにあの線からこっち来たやつは皆殺しだ!」

――このリーダー(バカ)、馬鹿でよかった――

「分かりました…では僕もあっちまで行きたいので道を通してもらってもいいですかね」

「あぁさっさと失せな租チン」


 今にも漏れ出そうな笑みを必死にこらえながらカフェテリアへと向かって歩こうとするも人だかりで進めなかった。


「あの、あなたも一緒に来てもらってもいいですかね」

「俺か?なんで」

「この人だかりを僕一人で進むのは困難ですよ」

「租チンだからしゃーねーな」

「ありがとうございます。その、お名前を伺ってもいいですか?」

「小田まさり」

「まさりさん、いい名前ですね」

「口説いてんのか?気持ちわりぃな」


 まさりの気分を上げつつ人だかりを通ってカフェテリアまで向かう。


「ここまでだ、さっさと行きな」

「あ、ちょっとそこで待っていてください」

――俺はアロさんみたいに勇気も無ければ紳士な心も無いから――

「あ?」

――うまく、――

「うまく声が届かないので」

「は?」


 そうまさりに言うと振り向き男女問わずすべての人だかりを無理やり搔き分け、カフェテリアにある机の上へと上がり、まさりの方を向きアラタなりの紳士心でこの場を収めようとスピーチを開始する。


「なぜ!あなた方はこのような行為に出たのですか!?」

「は?」ガヤガヤ

「まさりさん!あなたに言っています!」ガヤガヤ

「な、なんでって朝に男がセクハラしてたからよ!」ガヤガヤ

「セクハラとは具体的には体に触れたのでしょうか!?それとも言葉での嫌がらせでしょうか!?」ガヤガヤ

「嫌がらせよ!何度も女性に声をかける変態がいたわ!」ガヤガヤ

「具体的には誰が!誰に!何と!言ったんですか!?」ガヤガヤ

「変なおっさんが色んな女の子に話しかけていたのよ!」ガヤガヤ

「内容は!?」ガヤガヤ

「し、知らないわよ」ガヤガヤ

「実際に声をかけられた当人がセクハラあなたに助けを求めたのですか!?」ガヤガヤ

「い、いーえ」ガヤガヤ

「ではあなたは自分の感情だけでそのおっさんを変態呼ばわりしたんですか!?」ガヤガヤ

「…」ガヤガヤ

「はっ、自分の都合が悪くなると黙るか、愚かだな人間」ガヤ、

「は?」

「まず、この騒ぎをしてまでやりたいことはなんだ?」

「男女の空間を分けるのよ、こんな猿どもと一緒に居られないわ」

「猿ども、租チンだとお前は言うけれど実際にこの線で生活、本当にできるのか?」

「何が言いたいの?」

「このカフェテリアの真下には大浴場があるけれど、あんたらは風呂に入らなくていいのか?」

「!?」

「そんなことを考えない奴の方がよっぽど馬鹿じゃないか?」

「と、トイレはこっちにあるわよ」

「一階の従業員用トイレはこっちにあるぞ?」(嘘)

「食堂だって!」

「カフェテリアにも食料があるのくらいわかってるだろ」

「寝床!」

「床」

「娯楽!」

「筋トレ」


 この頃になると女性陣も男性陣もアラタのスピーチに気を取られまさりなんてどうでもよくなってきた。

そのことをまさりも内心感じて来ていた。


――リーダーを失った群れは瓦解する――

「どうすんだ?アマ、まだこのくだらないおままごとをやり続けるのか?」

「…」

――はい、勝った――

「…よ」

「は?なんて?」

「こんな居心地の悪い檻なんて!燃えてしまえばいいのよ!」


 ぽっけに隠していた喫煙所以外の持ち出しを禁止されたはずの電子タバコを手に取り、起動ボタンを押すと突起部分から勢いよく炎が噴射する。


「みんな死んじゃえぇぇぇぇぇぇ!」

「デジャブ…」


 アラタが売店にいる女性の顔をみて呟く。

予想は的中し、女性の体が足から崩れ地面に倒れるのと同時にその場にライターを落とす。


「体が、うごか、、、」

「ちょっと!かすみちゃーーーーん!!!」

「ん?」


 上の踊り場から見ていた村上君が騒ぎながら落下してくる。


「は?」

――何してんだあいつ?この高さだぞ?確実にしん――


 目を見開き、――死んだやん――と思ったアラタだったが、人間の常識を覆すように村上君が綺麗に着地し、何事もなかったかのように売店にいる店員の方に駆け寄っていった。


「何者だよ…」

「どけ!」


 目を離している隙にどうやら動けるようになったまさりがまたしてもライターを持ちユグドラシルへと走っていく。


「邪魔よぉぉ!」


 ライターがユグドラシルに当たる。

寸前、突然一人の女性?らしき人がまさりの足を掴み村上君のいる方へと投げる。


「うば!」

「もう、勘弁してよね」

「化け物しかいないのか?この船内…」


 そのまままさりの身柄を拘束し、一件落着となった。

その日の夜に二人の死体が見つかった。


   タイムリミット14年4ヶ月24日

容疑者の数残り989人

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ