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僕にとっての普通は、あなたにとっての異常だから。  作者: かんな


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6/9

6.君と僕の違うとこ。前半

その日の夜中…

二階浴場前にて


「え?男湯点検中じゃん」


 夜中の誰もいない静かな大浴場を気に入ったアラタが男湯に入りに行こうとしたら男湯の湯のれんが外されており、代わりに点検中の三角コーンが置かれていた。

諦めようと会議室に戻ろうとするも混浴が目に入る。


「まぁ、夜中だし誰もいないか」


 少し悪いことをしているという気持ちを抱えながら混浴と書かれた湯のれんをくぐると―――


「おおおお!」


 あまり使われていないのか汚れ一つ無い更衣室に何故か小粋な観葉植物。

そして何より男臭くない!


「テンション上がるな!」


 服を脱ぎ、タオルをもって大浴場のドアを開けると更衣室と同じくカビ一つ無いタイルに綺麗に置かれた桶、・シャンプー・リンスー・ボディーソープ・洗顔もどれも新品同然。

そして何より一人の少女が、


「少女が!??」

「ん?」


 テンションが上がり過ぎて更衣室にあるかごの中をよく見なかったのが仇となってしまった。


「すすすすすま、んせん」

「アラタ?」

「あらた?ん?俺の名前?」


 目を覆っていた掌の指の隙間から少女の顔を見ると皆から咲ちゃんと呼ばれていた少女だった。


「あーなんだお前か」


 アラタのタイプはお姉さんだった!


「ガキが夜更かしか?」

「早起きしてるの」

――早起きって何だっけ?――


 今の時間午後11時


「昼夜逆転してんじゃねーの?背伸びねぇぞ」

「静かなのが好きなの」

「あーね」


 シャンプーを洗い流し、リンス―を出す。


「アラタこそなんで今お風呂に入ってるの?」

「俺も静かなのが好きなんだ」

「本当はこっそり女湯に入ろうとしたけど日寄って混浴に来たんじゃないの?」

「なわけ!男湯が点検中だったんだよ」


 リンス―を頭に塗った後洗顔を顔に塗る。


「点検?」

「のれんが落ちてただろ」

「いーえ?そもそもこんな夜中に点検なんてあったことないけど」

「記憶違いじゃねーのか?」

「悪いけど覚えるのは得意って皆に言われてるの」


 アラタと咲に同じ嫌な予感が過る。


「ちなみにお前が脱衣所入った時間は?」

「10分前とか」

「てことはまだ逃げては無いか」

「私先行ってる」


 湯船を上がり、男湯に向かう咲を洗顔で視界が潰れており尚且つ男湯で事件が起きてる可能性もあるため声を出さず間で手を伸ばし咲を止める。


「ひゃ!」

「ガキ一人で行ってどうするんだ」


 シャワーでさっと洗い流し、脱衣所に向かうも何故か咲がその場に佇んでいる。


「何してんだ、早く来い」

「…」

「?」


 アラタを睨みながら脱衣所に向かい、ささっと体を拭き大きなシャツ一枚を着て廊下に出る咲に置いて行かれないように体を拭かずに服を着てアラタも廊下に出る。


「待てって」

「し、誰かエレベーター前にいる」

「行くか?」

「あいつが刃物持ってたらどうするの?」


 15歳の子供に正論を言われてぐうの音も出ないアラタ。


「エレベーターでどの階で降りるか見ましょ」

「おう」


 渡航者がエレベーターに乗り、ボタンを押してエレベーターが閉まったタイミングでエレベーターの前まで走り、どの階で止まるかモニターを見る。


「一階?」

「いやそうか、このスマートウォッチを持ってたら夜に事件を起こせるのか、いやでも」

「今はいいから、私たちも一階に降りて追いましょう」

「お、おう」


 渡航者が一階に降りて少し経った後、アラタ達もエレベーターに乗り一階に降りる。


ピポン

『一階です』

「どこ行ったのかしら」


 エレベーターを降りると道が三つに分かれており、前に行くと・資料室・医務室・物置部屋へと行けて、右に行くと・従業員達の部屋に行けて、左に行くと・エンジンルーム・栽培室・小屋・モニタールームそれから――――


「やっぱ右かな」

「いや左じゃないか?」

「なんで?」

「あいつが犯人だと仮定して事件の準備が夜に起こったとして、監視カメラに映らないはずはないんだ」

「監視カメラのデータを消すためにモニタールームに行くってことね」

「うん」


 左の道を走り抜け、角を曲がると先ほどの渡航者がいるのが確認できた。


「いた!」

「体系からして男?」

「まぁ男湯に行っていたから当然じゃない?」

「まあたしかに」


 渡航者の見た目の議論をしている間に何者かが背後から近づき二人の肩に手を置く。


「何やってるの?」

「「はーーっ!」」

「!?!???!?」


 後ろを振り向くと驚いた拍子に尻もちをつく伊織がそこにいた。


「って何だ伊織かよ」

「なんだって失礼ね」

「あーーー!」

「どうしたガキ!?」

「どうしたの咲ちゃん!?ってガキ?」

「見失っちゃった」

「なにーーー!」


 渡航者が先ほどまでいた場所を見るとそこには人気のない廊下を照らす明かりだけがただ寄っていた。


「もーいおりん!」

「ごめん咲ちゃん」

「いおりん…?」

「とりあえず片っ端から部屋覗いて行こう?」

「分かった、どんな人だったの?」

「いおりん…?」


 手前の部屋をのぞくと、光に充てられ緑豊かな野菜が綺麗に並べられていた。


「ここは?」

「栽培室よ、ここで野菜を育ててるの」

「ぱっと見人はいないね」

「次々」

「モニタールームはどこじゃ!」


 次の部屋には鶏、牛、豚が飼われている部屋。


「ここはお肉か」

「お肉だ」

「次々」


 次の部屋をのぞくとびっしりと壁一面に船内の風景が乗ったフィルムが貼ってあり、部屋中央には一つの机と椅子とパソコンが置いてあった。


「ここがモニタールームか」

「そうだけど誰もいないね」

「あれ男湯か?あっちはトイレの個室?」

「そりゃ反旗を起こされますわな」

「でも誰もいないね」

「じゃどこだ?」


 残る部屋はエンジンルームを除き一つだけ。


「清掃室…」


 清掃室の前で突っ立っていると中からおじいさんが出て来た。


「おや?こんな時間に若人がいっぱいですね」

「おじさんさっき、男湯掃除してた?」

「えぇ、してましたけどもしかして入っていたかな?脱衣所だけ掃除したんだけど」

「脱衣所だけ…もしかして混浴も?」

「えぇ消灯するとトレーニングルームと男女トイレと大浴場の掃除をしますよ」

――だから綺麗だったのか…――

「でもそれなら咲とすれ違ってるはずだけど…」


 隣にいる咲を見ると何故か下を見ていた。


「もしかして」

「おや、君はさっきのお嬢ちゃんか」

「…」

「その、寝ぼけてて」

「はぁ、いこうかいおりん」

「いおりん?」


 その後、清掃のおじいさんにお休みを言って自室に戻って休んだのであった。

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