13.私は平等に。前半
「「「「「かんぱーーい!!!」」」」」
火星に到着するまで三日三晩宴が続いていた。
「撮るよー!」
船内のすべての監視カメラは記者会見の時みたいな形で一か所に集められ、火星到着するまでの記録として賑わう人々を撮り続けていた。
「だるまさんがーころんだ!」
「ブラックジャックだ―!」
「占い師です、田中さんを占いましたが―――」
火星に着くのが楽しみな方もいただろうが大半は暗く閉ざされた心を無理やり開けるために、先の悪夢を一日も早く忘れられるように、無理やり楽しんでいるのだろう。
ピンポンパンポーン
『消灯時―です。消灯時間です。
直ちにかくZIの部屋に戻ってください。
消―時間です。消灯時KANです。
直ちに各自のHE屋に戻ってください。
電気GAKIえます。電気が消――す。』
「もうこんな時間か」
「明日はみんなでユグドラシルをトリミングしよう!」
「「「「「おーーー」」」」」
「お休みー!」
「お休み」
「また明日」
「おやすー」
皆が自室に戻り静かになったカフェテリアに一人、シンがコーヒーを飲んでいる。
――カメラに映る光景は楽しそうでも――
暗い船内に涙する声が一つ、また一つと増えていく。
「まるで吹雪に覆われる大地だな」
「アラタ…」
「平和になったようにしないと平和を感じない、平和を演じなければ明日を生きられない」
ブラックコーヒーを飲みながらシンの座る椅子まで歩いていく。
「まぁよかったんじゃない?これ以上の被害が出ないと考えたら」
グビッ
「まぁ、そうかもな」
「アラタとシンか」
「いおりん」
「なんだ伊織、お前も寝れないのか?」
椅子から顔を反り返らせコップを上に上げながら後ろにいる伊織に語り掛ける。
「コーヒーを飲みながら寝れないは煽ってる感じみたいね」
グビッ
「そうか?」
「どうしたの?いおりん」
「いーえ?たまたま見かけたから話しかけただけ」
「珍しいな、伊織が何の用もなしに話しかけて来るとは」
「その用が無くなったからこうして平和ボケできるのよ」
「自虐か?w」
「どうとらえてもらっても結構よ」
「何か飲まないのか?」
「もう歯磨いたし、早く寝ないとニキビ出来るわよ」
「おりゃ男だぜ?んなもんきにしないね」
「シンちゃんに行ったの!」
――あんま気にしなかったな――
「じゃ私も寝よっと」
「一緒に行こシンちゃん」
「アラタはまだ寝ないの?」
「もう少し、この雰囲気に酔っておきたい」
――臭ッ――
「臭すぎでしょあんた」
シッシ
「うるせぇー」
伊織と二人でエレベーターに乗り、一階の従業員専用部屋まで歩いていく。
「そういえばあいつ何か言ってた?」
「マサトシなら依然と一緒、心覚えが無いの一点張り」
「ふーん、そっか」
ピポン
『一階です』
「まぁどちらにしろまずはアナウンスを治すところからだね」
「そういえばまだ治って無かったね」
「そうなんだよぉ、配線がなんだかさっぱり」
「おはぁよぉお」
従業員専用部屋から一人の女の子が出てくる。
「ナノ、今おはようは無いよ」
「えっと、シンだっけ?」
「そうです!シン、女、年齢は分かりません!」
「そうか、僕はナノ、肉体は咲、女、年齢は29だ」
「に、29!?」
その女の子は見た目的には18、いや16くらいに見た目をしていた。
「ナノが原因で、この子は普通の人間なんだけど…」
「へー、そういやいおりんはいくつなの?」
「46」
「46?!???!!!!?!???」
真人は人間と違い、身体的の成長がある一定のラインで止まってしまう。
ラインは個体値がある。
ちなみに伊織は肉体年齢は21、アロガンは31。
「じゃおやすみー」
「お休み」
――何か引っかかるんだよな――




