11.当たり前と君は言うけれど。
「は、、、、?」
「ん?」
――私なんかおかしなこと言ったかな――
「はぁぁぁ、いおりんどう思う?」
「まぁ私たちも行き詰ってたし、新しい視点が必要なのかもね」
「んーそうだなー」
――もしかして――
起きて数刻もたっていない少女がいきなり捜査に協力したいと言う言葉にありがたいと思わないのは、至極全う!必然にして運命!猫に小判、豚に真珠、馬の耳に念仏!そうつまり!!!
――邪魔だ――
――邪魔ね――
――頼りにされてない!!?――
「まぁ、お手伝いから…」
「そうね」
「はい……」
~~~~~次の日~~~~~
「早速調査ね!」
――俺昨日手伝いからって言ったよな?――
朝っぱらから早々テントに突撃し色々と資料を漁りまくる。
「これなに?」
「犯行現場のし」
「あそ、これは?」
――こいつ――
「被害者のじょうh」
「あそ、これは?」
「あああああああああああああああああああああああああ」
「え、なに?どうしたの???」
騒ぎを聞いた伊織が目をこすりながらテントに入ってくる。
「なにしてんの?」
「なななななんかアラタが壊れた」
「あああああああああああああああああああああああああ」
「はぁ、何してんだか」
「おい、アラタ?ごめんて私が悪かったから」
「あああああああああああああああああああああああああ」
壊れたアラタを治そうとご機嫌を取るシンを他所に支度をする伊織。
「よし、シンちゃん行くよ」
「行くってどこに?」
「どこって、調査?」
「調査?」
「あああああああああああああああああああああああああ」
二人で東エレベーターに乗り三階に行く。
ピポン
『三階です』
「ここが私が寝てたフロア?」
扉が開くと椅子やテーブルが散らかっており、火星の光が床の血みどろを照らしどこか不気味な美しさを漂わせている。
「行こう」
「う、うん」
先ほどまでの伊織の表情とは打って変わってとても曇った表情をしている。
――何かあったのか、、、な――
その何かを理解するのにそう時間はかからなかった。
「―――は?」
真っ赤に染まった一面の中央にはひときわ目立つおそらく大木だろうか、が立っておりその木肌には多くの人間の体の一部が打ち付けられていた。
「なにこ、、、は?」
――理解しようにも脳がこれを理解するのを強く拒んでくる――
「さぁね、私も考えたくない」
シンの脳はこれを理解しようとする探求心。
それを否定する拒絶心。
そしてどこか実家のような安心感。
このどこか美しくも不気味な情景も含め
「気持ち悪い」
「こっちだよ」
大木の横にあるシャッターへと進んでいく伊織に付いて行く。
ガラガラ
「まずはここから確認しようか」
「確認て?」
「現場検証、実際にどこで起きたか確認しないと」
「なるほど」
三階にある売店は左右に5店舗の計10店舗。
ここでは3-1から3-10で確認していこう。
3-1
「ここは何の店なの?」
「お肉屋さんだね、ここで起きたの?」
――ベットも無いし埃っぽくも無い――
「ここじゃない」
「そっか」
3-2
「ここは?」
「八百屋的なとこだね」
――先ほどと同様にベットも埃っぽくも無い――
「ここでもない」
「次だね」
3-3
「ここはコンビニ、お菓子とか売ってる場所」
「ここでもない」
3-4
「服屋って言っても種類が絶望的にないけど」
――埃っぽいけどベットが無い――
「ここでもない」
「ん」
3-5
「これで右は最後かな」
「ここは?」
「タバコとか売ってたけど随分前に売り切れてそこから空き部屋だね」
――だからこんなに埃っぽいのか、それでも――
「ここでもない」
「そっか」
3-6
「ここはドリンク屋さん?」
「まぁそんなのとこ、正確にはスムージー屋だけど」
「ここじゃない」
「そうなんだ」
3-7
「ここはアイス屋だね」
――ベタつきはあるけど埃っぽくない――
「そういえば埃っぽくない売店が多いけど最近まで使われてたの?」
「まぁ…そうだね」
「ふーん」
3-8
「ここは?」
「ニュースのアーカイブを見れるとこだね、でも誰一人として来てた記憶は無いけど」
――モニターがバキバキに割れてる――
「ここでもない」
「そっか」
3-9
「ここは?」
「電話ボックスだね地球と連絡とるための、これも出発して5年くらいに衛星と隕石がぶつかって機能しなくなったの」
「なんだそれ」
――あれ?そもそも私――
「ここも違う?」
「え?あぁうん違う」
「次で最後だね」
――いや、それじゃ彼は――
3-10
「ここは――
伊織が最後の部屋を説明する前に腕のスマートウォッチが振動する。
「またか」
「また?」
「誰かが死体を見つけると鳴るんだけ、、、、ど」
「ん?」
スマートウォッチに来たメールを見た後どこかに走り出す伊織。
「ちょ、どこ行くの!?」
シンも伊織に付いて行く。
ピポン
『五階です』
「はぁ!はぁ!はぁ!」
「待ってって!」
――電気が通って無いのか?とても暗い――
ようやく止まった伊織の横にはすでに誰かが立っていた。
――女の子?それに窓?この階だけ小さい横窓がついてるのかな――
「カスミ!カスミ!」
――外に誰かいるの?でもここって宇宙でしょ?――
少女と伊織が見る方をシンも見るが確かに紐でくくられた人間が船体後部にしがみついていた。
「ナノ!あいつ何してんだ!?」
――ナノ?――
「隕石がぶつかってお湯が出なくなったんだ!そんなのを治すためにカスミが出てって」
「そんなことで命張るなよ!」
確かに宇宙空間は危険だが、カスミと呼ばれる宇宙服を着た人物はしっかりとした紐をつけているし、この船は燃料節約のため自ら動いているのではなく慣性の法則を利用してゆっくりと動いている。
つまりそれほど危険ではなかったのだ。
ただ、今まではの話だが。
「おい!?ロープが!」
「は?」
カスミの宇宙服に付いていた紐が突然宙を舞い始めた。
「切れてるのか?」
「テザーが切れるはずないだろ!!?」
――いや、違う紐が切れてるんじゃなくて――
「内側から外されてる…?」
直後、船体が急加速する。
「―――あ」
そのスピードに耐えれる人間などいるはずも無く。
「カスミーーーー!」
ピンポンパンポーン
『到着予定時刻が更新されました。到着予定時刻が変更されました。
日時は―――――――
タイムリミット0年2ヶ月00日
脱落者一名により残りの生存者1000/56




