10.私と君のおかしなところ。後半
――何この匂いっ!??――
目を開けると真っ暗な埃っぽい個室のベットの上で目を覚ました。
――まずはここから出て、警察にでも行きましょうか――
暗すぎてドアの位置が分からないので壁をつたって扉らしきものを探す。
――なんかねちょねちょしてるし埃も付くし最悪なんですけど…――
少し粘り気がある汚れ、においの原因はこれだろうか。
部屋を半周したところで盛り上がった壁の一部に触れる。
――ボタンかな――
ポチっと押すと隣の壁が横に開いた。
――ビンゴ――
――とりあえずここがどこだか聞きましょうかね――
辺りをきょろきょろ見回していると男が一人、こちらに近づいてきた。
「お前!こんなところで何してんだ!?」
「ん?私?」
「お前しかいないだろ、俺についてこい」
「は、はぁ」
――なんか立ち入り禁止区域だったんかな――
暗く薄汚い部屋のベットに一人、立ち入り禁止の場所そして記憶が曖昧。
少女の脳内は若干のフェスティバル状態になっていた。
――私もしかして――
――あぁでも違うは、きっとそう!――
「お嬢さん?」
――いやでも私ってかわいいし、無くは無いのかな?――
「もしもーし?」
――いやいやいやでもそんなかわいい私を捨てた?ヤリ捨て?この私が?――
「おいってば、もしもーし聞こえてますか?」
――てことは私の初めては汚い山猿にでも捧げてしまった!?何やってんだ!私!――
「おい!」
――いやそもそもヤッたかどうかも疑わしいわね――
「だめだ、付いてきてはくれるけど話が通じねーや」
――でも食に飢えた獣の目の前に特上ハラミが置いてあったらむさぼるのは必然にして運命――
「あっ!伊織さん!」
――それなら仕方ないわね、この寛大な私が許してあげましょう――
「実はあそこに人が」
「は?なわけないでしょ?馬鹿なこと言わないで」
――だが神が許すかどうかは別の話!――
「でもこの人」
「本当でしょうね」
「はい」
――その場の感情で動いてしまった自分を恨むことだわ!――
「おいってシンちゃん?」
――地獄の業火に焼かれながら懺悔するんだわね!――
「シンちゃん?」
「はい!」
「あ、やっと帰ってきた」
いつの間にか大勢の人のいる広場に連れてかれていた。
「シンちゃん?って何この匂い!!?」
「シンちゃんって私ですか?」
「そりゃそうでしょ、っていいからこの匂いは何?今までどこに行ってたの?」
鼻をつまみながらいろいろと質問してくる女。
「えっと、今までの記憶が無いのですが…とりあえず交番の場所、教えてくれません?私強姦にあってしまったみたいで」
「え?何言ってんの?」
「本当なんです!」
「んーーーー?」
それからいろいろと彼女に私が空前絶後の美少女で欲に抗えなかった山猿に食われたことを説明したけど全て【ソウダネー】と相手にされず気が付くとお風呂に入れられていた。
「どうして、私かわいいのに…」
「ソウダネー」
頭と体を洗われながら私という人物と今起きてることをざっくりと説明された。
「え?これ温泉の模様じゃなくて本物の火星なの!?」
「えぇ、信じてもらえてよかったわ」
どうやら今は極悪犯罪者がこの宇宙船の中を彷徨ってるらしく、どんどんと死人が出てるらしい。
そしてさっきの人だかりは殺されないようにみんなで固まってるんだって。
「んで、あなたの名前はシン」
「シン、あなたは?」
「伊織、ちゃっちゃと体拭きましょ」
「イオリ…中々かわいい名前ね」
「なんで上から目線?」
体を拭かれながらこれからどうするかなども色々と教えられた。
――おばあちゃんになった気分…――
「よし!完璧ね」
髪を乾かすついでに髪の毛のセットと化粧もされた。
――人形になった気分……――
「完璧ね!!!!!!!!」
人が先ほどまで集まっていた場所はトレーニングルームでここは五階建ての二階に当たる場所。
「皆火星につくまでここで身を寄せ合っているの」
「そう言えばあたしがさっきまでいたのは何階のどういう場所なの?」
「あなたがいたのは三階の売店があった場所、彼が調味料を探してる時に偶然あなたを発見してくれたのよ」
「彼?」
「どうも」
「彼は杉田正俊真人って言っても分かんないか」
「マサトシありがとうね」
「お、おう」
「とりあえず名簿を書きに行きましょ」
「名簿?」
トレーニングルームの一番奥にあるテントの方まで案内された。
「アラタ?シン生きてた」
「ガチ!?」
「マジ」
「知り合い?」
「それ普通自分に使わないから」
「とりあえずここに名前書いて、てか今までどこで何してたんだよ」
「実は強姦されてて」
「へーーーー、伊織教えて」
「実はかくかくしかじか」
「そうか記憶がまた…分かった」
――かくかくしかじか?――
出された名簿を見ると所々名前の上からバツ印をつけられてる人がいた。
「なんで合田モエ?さんと村上フウタ?さんと後藤トモミ?さんの上にバツ印がついてるの?」
「……」
「?」
ほかにペラペラとめくっていくとバツ印の数がどんどんと増えて行った。
「これ、まさか…」
須田環奈×
千葉日花里×
吉野喜美×
丘野礼二×
丘野ウラ×
佐藤健介×
岡田健×
etc…
「これまでに亡くなった方々だ」
「こんなに、まだ犯人は捕まってないんでしょ?」
「あぁ」
今初めて名前を知った人だらけだし、この状況も正直実感わかないけど。
――皆の顔があんな暗いのは嫌――
一日の終わりの、どこか不気味でサビサビのアナウンスが船内に響く。
ピンポンパンポーン
『消灯時―です。消灯時間です。
直ちにかくZIの部屋に戻ってください。
消―時間です。消灯時KANです。
直ちに各自のHE屋に戻ってください。
電気GAKIえます。電気が消――す。』
メインライトが消え、サブライトが薄気味悪くあたりに漂う。
「私も犯人捜し手伝うわ!」
タイムリミット0年5ヶ月00日




