9.私と君のおかしなところ。前半
先ほど会議室に運んだボードやら資料やらを全て医務室に戻していく特別護衛団たちの姿を風呂から出て来たばかりの佐藤先生が廊下に立っている村上君に苦言を呈す。
「なぁ村上さんよ、どうしてこうなっちまうんだ?」
「まぁココはこうなる運命だったんですよ」
「一応この船の設計図は君が提案したものだよね?」
「提案は私だけど考えたのは別の人間さ」
「…」
佐藤先生の肩に「まぁ元気出せよ」と言わんばかりに手を2回ポンポンと叩き部屋に入っていく。
「では、シンさん」
「はい…」
「これから尋問を開始します」
シンの横たわっているベットの横に座り、メモを取りながら尋問する村上君。
「では、お名前と年齢を教えてくれるかな」
「シンです…年齢は覚えていません……」
「そうだったね、じゃあ自室の部屋番号は分かるかな」
「5-689です…」
「いつもはどれくらいに寝て、どれくらいに起きるのかな」
「消灯の30分前には寝ています…起きるのはニュースが始まる2時間前とかでしょうか」
「へー健康的な生活だね、じゃぁ――――――
村上君に【女の子に話を聞くんだからみんなは出てって】と言われ会議室の外で聞き耳を立てている一同。
「私も女の子なのに…」
「なんで先輩、容疑者でもない人に長所とってるんすか?」
「いや、容疑者だろ?」
「嘘つきってやつだ、健お前話聞いてんのか?」
「へへへ」
「でも見た感じあんな女の子が嘘をつくとは思えないんだけど」
「あれも演技なんじゃないか?」
「だとしたら相当の嘘つきっすね」
「あぁ、でもあの様子じゃ」
自分も記憶をなくしたから分かる、記憶喪失特有の人の目をまっすぐ見るこの世の邪悪さを知らない純粋な目。
「じゃあ最後にシンちゃん」
「シンちゃん?」
「ここ最近で変な女性とか変な人見なかったかな」
「変な………」
――変?ここにいる人みんな変なんだけど…――
なんて思いながらふと会議室の扉の外にいるアラタ達を見る。
――変…――
「ん?」
――変――
「ん?」
――あっ――
よみがえる断片的な以前の記憶。
【〇〇〇ちゃん!】
【@^!ちゃん!】
【今日も早起きだね】
【@^!ちゃんこそ、やっぱ朝シャンだよね】
【それな?あの静かさがいいんだよ】
【ちゃっちゃとお風呂はい】
【あーーーーー!】
【な、へ?どうしたの?】
【ポーチ忘れちゃった】
【別に戻ってから化粧すればよくない?それにすっぴんでもかわいいって】
【よくない!先行ってて取ってくる!】
【もーーー】
掠れた視点で自分?がエレベーターのボタンを押している。
【私も化粧しようかな】
【にしても最近^%&から連絡ないけど、うまくやってんのかな】
ピポン
『二階です』
――あれ?朝シャンしてんの私ら以外にもいたんだ。しかももう帰ってる――
掠れた視点でも分かる暗い廊下の先にエレベーターを待つ人と明かりのついた部屋が映っている。
――*&)ちゃんかな、今日も早いな――
【おはよしてこよーっと】
掠れた視点が明かりのついた部屋を覗く。
――っ!?――
掠れた視点が目で見るのはおそらく体の一部が潰されてる人と首を何かで締め上げられながら横たわる人。
【――っ】
――声が、出ない!誰か呼ばないと、誰か――
恐怖で尻もちをつく自分?
そこへエレベーターが二階に到着する。
――助けを、誰か呼ばないと――
這いずりながら東エレベーターの方へと向かっていきエレベーターのボタンを押す。
――@^!ちゃん、助けて――
ピポン
『二階です』
エレベーターのドアが開く。
【っ、】
エレベーターの中には@^!ちゃんの死体と^&*くんの死体が横たわっていた。
――いや、――
湧き出る莫大なストレス
――いや、嘘よ――
そのストレスから肉体を守る
――あ、ああああ――
自己防衛
――ああああああ――
テレビの電源が切れるようにプツンとその場で記憶が途切れる。
「シンちゃん?しっかりして?佐藤先生!」
「村上君どいて!シンちゃん?シンちゃん!!?」
――眩しい、な――――――――――――――――――――――――
タイムリミット14年4ヶ月24日
容疑者の数残り989人
タイムリミット14年2ヶ月31日
容疑者の数残り952人
タイムリミット13年12ヶ月18日
容疑者の数残り881人
タイムリミット13年6ヶ月21日
容疑者の数残り610人
タイムリミット10年11ヶ月07日
容疑者の数残り10人
タイムリミット10年11ヶ月06日
容疑者の数残り0人
タイムリミット10年11ヶ月00日
生存者1000/921
タイムリミット8年8ヶ月08日
生存者1000/888
タイムリミット5年12ヶ月10日
生存者1000/651
タイムリミット5年1ヶ月31日
タイムリミット3年9ヶ月11日
タイムリミット3年1ヶ月26日
タイムリミット2年11ヶ月06日
タイムリミット2年8ヶ月19日
タイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミットタイムリミット
タイムリミット0年5ヶ月01日
生存者1000/57
どこか焦げ臭いような、生臭いような。
そんなにおいを漂わせる空間で一人の女性が目を覚ます。
「あれ?ここは誰で私はドコ?」




