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電車を降りて自動改札を抜けると、周囲はうす暗くなっていた。
そのまま僕は、駐車場へと向かっていく。
明日からは隣の駅を使うとしても、今日はどうしようもない。
あいつは、またいるだろうな。
でも、もしかすると今日はいないかもしれない。
などという淡い期待は、駐車場の入り口まで来た瞬間に打ち砕かれた。
入り口から二十メートルほど離れたところに停まっている僕のコペンの横に、奴は……薄汚れた白いカムリは、当たり前のように停まっていたのだ。
しかもただ隣に停めるだけじゃない。
駐車場には白線で引かれた駐車枠というものがあり、車はその白線の枠からはみ出さないように停めるのがルールだ。
だがこの薄汚れた白い車は、白線から大きくはみ出し、隣の僕の車の運転席ギリギリに停まっている。
「はあ」
僕はため息を一つつくと、助手席側から車に乗り込みエンジンをかけた。
車を出す前に窓を開けてみると、隣の車との差は十センチぐらいしかない。
なんだってここまで近づける必要があるんだ。
これじゃあ、危なくてドアミラーも出せない。
まさか、入れるときに擦っていないだろうな?
僕は車を一度枠から出すと、一つ隣の枠に停めなおした。
車を降りて側面を点検してみたが、擦られたような痕はない。
振り向いて白いカムリに視線を向けた。
いったい、どんな奴が乗っているんだ?
なんだっていつも僕の隣に停めるんだ?
近づいて車内を覗き込んでみた。
車内には誰もいない。
ダッシュボードの上には、手術痕のような模様がある悪趣味なヌイグルミが置かれているだけ。
助手席には黒いトートバッグ。
後席にビニール傘があるだけ。
ドラレコもないようだな。
周囲を見回したが人は誰もいない。
このまま蹴っ飛ばして傷でもつけてやろうか?
いかん、いかん。
そんな事をしたら、僕が犯罪者じゃないか。
それに人はいないように見えても、この駐車場だって監視カメラぐらいあるだろう。
相手はただ僕の横に停めているだけ。
実害はない。
まあ、車に乗りにくいという実害はあるが、そんな事ぐらいで車を蹴っ飛ばしたら僕の方が器物損壊罪になる。
器物損壊罪?
そういえば、先輩は車庫入れに失敗した傷と言っていたけど、やはりバンパーの傷はこの車とぶつかった傷では?
先輩が賠償金を払わないでいたから、この車の運転手はたまたまコペンを見つけたので嫌がらせをしているのでは?
幸い仕事で使うメジャーを持っていた。
傷の高さが同じか測ってみるか。
すでに日は落ちて、周囲はかなり暗くなっていたがスマホのライトを使えばなんとかなるだろう。
最初に自分の車の傷の高さを調べてみた。
続いて白い車の傷を測ってみた。
分かったことは、この車とぶつかった傷ではないという事……
高さが全然違うのだ。
「おい! そこの人!」
突然、背後から声をかけられたのはメジャーをポケットにしまったときだった。




