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僕の話を一通り聞いてから、先輩は少し考えた後で答えた。
「毎日、隣に同じ車が停まるというのか?」
「ええ」
「気のせいじゃないのか?」
「じゃあ、これを見て下さい」
僕の差し出したスマホには、コペンの横にカムリが停まった写真が表示されている。
「これが五日前です」
五日前から一日おきに撮った五枚の写真を見せた。
「ナンバーも全部一緒か。こりゃあトナラーというやつだな」
「で、お聞きしますが」
スマホにコペンの傷の写真を表示した。
「バンパーに付いている傷って、この車とぶつかった傷じゃないでしょうね?」
「ぶるるる! とんでもない!」
先輩は慌てて否定する。なんか、かえって怪しいのだけど……
「この傷は……あれだ……」
あれじゃ分からん。
「名誉の傷とか言わないで下さいね」
僕がそう言ったとき、先輩は何か言いかけていた口を閉じた。
言おうとしていたな。
「お……俺がこの状況で、そんなギャグを言うような男に見えるか?」
「見えます」
「……」
「で、この傷はなんなのですか?」
「車庫入れで失敗した傷だそうだ」
「え? 『だ、そうだ』って……先輩が付けた傷では?」
「俺じゃない。妻だよ。俺が車庫入れで失敗するかよ。下手くそなくせに運転するから」
「コペンは、奥さんと共用していたのですか?」
「いや。妻は別の車に乗っている」
「じゃあ、なんで奥さんが車庫入れしたのですか?」
「いや、俺が隣の家の前に車を停めていたのだが、隣のオヤジが怒ってきたので、妻が運転して車庫入れを……」
「それ、完全に先輩が悪いんじゃないですか」
「なんでだよ?」
「先輩が路上駐車するからいけないんですよ。しかもお隣さんの家の前に」
「俺んちの前に停めたら邪魔だろ」
いやいや、隣の家の前に停めたって邪魔だし……てか話が大きく逸れてしまった。
「とにかく、コペンの傷は車庫入れで付いたもので、他の車とぶつかったものじゃないのですね?」
「おお、その通り」
「そうですか」
「なあ、令斗。そんなに嫌なら、駐車場変えたらどうだ?」
「え?」
「だって、おまえのところ安い駐車場いっぱいあるだろ」
「まあ、そうですが……」
スマホで検索してみると、一つ隣の駅にも同じ値段の駐車場があった。
明日からは、ここに停めるか。




