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トナラー  作者: 津嶋朋靖


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 数日ぶりに入ったその広い駐車場は、相変わらず閑散としていた。


 僕が入った時に、先に停まっていた車は一台だけ。


 それも僕が入ってくると、入れ替わるように出て行く。


「寂しい駐車場ね」

「駅に近いし、料金も安いのだけど、なんでこんなに少ないのだろうね」


 時計を見ると、次の発信まで残り五分。


「時間がない。準備しよう」

「うん」


 僕たちは車を降りると、トランクを開いた。


 最初になおちゃんのリュックを取り出して助手席に置いた。


 続いて折りたたみ傘、日除けシートを取り出して運転席に置いた。


 トランクに残ったのは、三角表示板を入れたケースとブースターケーブル。


 それらを取り出して路面に置いた。


 空になったトランクを、スマホのライトで照らす。


「GPSはないな」

「れいちゃん。この程度で見つかるなら、先輩さんがとっくに取り除いていると思うよ」

「それもそっか」


 トランクの底のパネルをまくり上げた。


 ジャッキとパンク修理キットがあるだけ。


 GPSは見つからない。


「れいちゃん。そろそろ電波が出るわよ」


 声の方を見ると、なおちゃんが菓子箱に貼り付けたままのGPS発見機を構えていた。


 途端に発見機が鳴り出す。


 発見機を車の反対側に向けると、音は止んだ。


 再びトランクに向けると鳴りだした。


「なおちゃん。床に近づけて」

「うん」


 発見機をトランクの床に近づけて回した。


 ある方向に向けると、発見機の反応が強くなる。


 その方向にあるのはパンク修理キット。


 まさか! こいつが……


 時計を見ると、電波が止まるまで残り二十五秒。


 間に合うか?


 僕はコンプレッサーを手に取って、菓子箱の裏に回した。


 音は止まらない。


 コンプレッサーを床に戻して、二つあったパンク修理剤を取り出した。


 ん? 二つの修理剤の重さが違うぞ。


 右手で持っていた修理剤を、菓子箱の裏に回したが音は止まらない。

 続いて左手に持っている修理剤を菓子箱の裏に回すと、音は止まった。


 再びその修理剤を菓子箱の前に出すと、発見機は鳴りだす。


 パンク修理剤に偽装していたのか!


 だから先輩は、見つけられなかったんだな。    

 

「なおちゃん、見つけたよ! こいつがGPSだ!」


 僕はパンク修理剤を、高々と掲げた。


 考えてみれば、パンク修理剤が二つある時点でおかしいと思うべきだったんだ。普通は車一台に、一つしか入っていないはず。


 とりあえずGPSの入っている偽のパンク修理剤を上着のポケットに入れると、本物を元の場所に戻して床のパネルを閉めた。


「なおちゃん。もう逃げるから助手席に」

「うん」

 

 なおちゃんのリュックを入れてトランクを閉めた。


「さて、逃げるぞ……あれ?」


 いけない。運転席に傘と日よけシートを置いたままだった。


「ちょっと待ってて。これをしまってくる」

「早くしてよ」


 トランクに傘と日よけシートを放り込んでトランクを閉めた。


 運転席に戻ろうとした時、何かが足にぶつかる。


 いけない! 三角標示板とブースターケーブルを忘れていた。


 再びトランクを開いた時、僕の車とは違うエンジン音が聞こえてくる。


 駐車場に他の車が入ってきたようだ。


 そんな事、気にしている場合じゃない。


 しゃがみ込んで三角標示板とブースターケーブルを拾い上げると、トランク内に押し込んだ。


 これでよし。と思ったその時、僕の横を何か白い物体が通り過ぎる。

 え?


 横を向くと、僕の目に入ってきたのは、隣の枠に駐車しようとしている白いカムリの姿だった。 

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