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GPS発見機の反応は、三十秒ほどで止まった。
この前と同じだ。
「なおちゃん。吉部のGPSは?」
「今朝、警察に渡したわよ」
ということは?
「この車に、もう一つGPSが仕掛けられている」
「ええ! どういう事?」
「こういう事だよ。このコペンは僕が手に入れる前から、白いカムリの運転手に付きまとわれていたんだ。前のオーナーだった佐伯先輩は、そいつから逃れるために僕にコペンを売りつけた」
「それはさっき聞いたけど」
「一方で、なおちゃんをストーカーしていた吉部は、なおちゃんが従兄弟である僕を頼ってくると読んで、この車にGPSを仕掛けた」
「ええ」
「そして僕達は、吉部の仕掛けたGPSを見つけた。ところが、このGPSに気を取られてしまい、白いカムリのドライバーが仕掛けていたもう一つのGPSを見落としてしまったんだ」
「でも、れいちゃんがコペンを手に入れたのは二ヶ月前よ。そんなに長くGPSの電池がもつの?」
「ずっと電波を出していたらもたないと思う。でも、このGPSは一定時間おきに短時間だけ電波を出すのだよ。だから電池が二ヶ月もったんだ」
「じゃあ、今電波を出したから、白いカムリの運転手はこっちへ……」
「向かってきていると思う」
「ええ! 逃げようよ」
なおちゃんに言われるまでもなく、僕はアクセルを強く踏み込んだ。
しかし、いつまでも逃げ続ける事はできない。
どこかで、GPSを見つけて外さないと……
「なおちゃん。発見機を見張っていてくれ」
「いいけど」
「次に電波が出たら、その時間を確認してくれ」
「時間を見るの? そんな事してどうするの?」
「電波が出る間隔を知りたい。それで次に電波が出る時間が予想できる。電波が出てる時間はせいぜい三十秒。その時間を使ってGPSを探し出すんだ」
「分かったわ」
それから三十分ほど走ってから、僕は車をコンビニの駐車場に停めた。
「ここで、電波が出るのを待とう」
「うん。さっき電波が出たところから、どのくらい離れたの?」
僕はスマホのナビを確認した。
「七~八キロぐらいかな」
「じゃあ、ここまでは追ってこられないね」
「次に電波が出るまではね。タダで停めさせてもらうのも悪いし、飲み物でも買ってこよう」
「私も……」
「なおちゃんは、ここで発見機を見張っていて」
車を出て、僕はすぐに周囲を見回した。
吉部の父がつけてきているのではないか? という不安が拭えなかったからだ。
コンビニに入って僕は、缶コーヒーとホットレモン、そしてガムテープを買って車に戻った。
「おまたせ」
なおちゃんにホットレモンを手渡した。
「ガムテープなんかどうするの?」
「まあ見てて」
叔母さんから貰ったクッキーの箱を開いた。
「なおちゃん。このクッキーって、なおちゃんのお母さんがいつも買っている物だよね?」
「うん。お母さんそれ好きだし」
「吉部のGPSを封印した箱も、これの空き箱だったよね?」
「そうだよ」
「うん。それを確認できれば十分」
僕はクッキーをレジ袋に開けた。
「そんな事してどうするの?」
「GPSを探す時に、このクッキーの箱が必要になるんだ」
「え?」
「まあ、後で説明するよ。とにかく、信号が出るまでクッキーを食べて待っていよう」
「うん」
しかし、信号はなかなか出ない。
そんな時に、なおちゃんのスマホに着信があった。
「吉部のお父さんが、今うちに来て騒いでいるって」
「逃げておいて良かったね。しかし、この親父は、なおちゃんが息子を殺したと決めつけているのだろう?」
「うん。私にそんな事、できるわけないのにね」
「そうだけど、なおちゃんが殺したと思っているということは、自分の息子は殺されるような事をしていたと分かっているんだよな」
「そうなるね」
「分かっていながら、止めようとしなかった。女を殴るようなクズに育てたこいつが一番の元凶じゃないか」
僕がそう言った直後、発見機が反応した。




