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吉部はもう、死んでいる?
「それは、どういう事です?」
「ですから、吉部は今朝遺体で見つかったのですよ」
「遺体?」
「そろそろニュースにもなっている頃でしょう」
そう言って刑事達は足早に去っていった。
去って行った後、僕は気がつく。
僕は今まで、殺人事件の容疑者として疑われていたことに……
その事を確かめたかったが、刑事達の姿はすでになかった。
その後で、スマホを確認すると確かにニュースになっている。
吉部は血まみれの状態で、路上に放置されているのが見つかったと。
発見されたときにはまだ息があったが、救急車が到着するまでに息を引き取ったらしい。
犯人はまだ分かっていないが、車で引きずり回されていたようだ。
発見時には、吉部の身体にはロープが巻き付いていたとニュースは報じている。
いったい誰がこんな事を?
まさか? なおちゃん?
………………
…………
……
『やだな。私じゃないよ』
仕事が終わってから、すぐになおちゃんに電話をかけたところ第一声はこれだった。
『私の方も、れいちゃんがやったんじゃないかと心配していたよ』
「警察にも疑われていた。アリバイを確認したら、すぐに帰って行ったけど。警察の話では、なおちゃんに先に話を聞いたらしいね?」
『そうなの。GPSと録音データを警察署に持って行ったら、そのまま拘束されちゃって。すぐに解放されたけど、その時になって初めて吉部が死んだ事を聞いてびっくりしちゃったよ』
「大変だったね。しかし、いったい誰が?」
『最近になって分かったんだけど、吉部ってけっこういろんな人から、嫌われていたみたいなの』
「だろうな」
『だから、容疑者はかなり多いみたいだよ』
「なるほど」
刑事達が早く帰りたかったわけだ。
容疑者が多過ぎて、大変なのだろうな。
とりあえず、なおちゃんが無事だと分かったので電話を終えた。
人が死んだ事を喜ぶのは不謹慎だが、これで僕もなおちゃんも吉部に悩まされることはなくなる。
安心したせいか、僕は帰りの電車の中で眠り込んでしまった。
おかげで危うく乗り過ごしそうになる。
あとは愛車に乗って帰るだけ。
家に帰ったら、風呂に入ってぐっすり眠って嫌な事は忘れよう。
駐車場の入り口まで来たところで、僕の足は止まった。
「なんで?」
五十台は停まれる駐車場に、今は五台しか停まっていない。
その中の一台は僕のコペン。
その隣には、白いカムリがぴったりと停まっていた。




