12
「ねえ、この辺に大きな駐車場のあるところはないの?」
なおちゃんがそう言ったのは、イオンモールを出て二十分ほど走った時のことだった。
「え? この先にホームセンターがあるけど……」
「そこへ行って」
「なんで?」
「だって、これだけ付きまとわれるという事は、この車のどこかにGPSが仕掛けられているとしか考えられないよ。そこの駐車場で調べてみようよ」
「GPS!? そこまでするのかな?」
「するよ。現に私のバッグにも、GPSが入れられていたし」
「それ、犯罪だよ」
「あいつが仕掛けたという証拠がなかったのよ」
そんなわけで、僕は車をホームセンターへ向かわせた。
ホームセンターの駐車場は、土曜日なので車が多く停まっているが、それでも店の入り口から離れている区画は車が少ない。
僕はそんな場所を選んで車を停めた。
「どう? あった?」
「ううん……見当たらないな」
車体の底、バンパーの裏、タイヤハウスの内側、ナンバープレートの裏。
GPSを仕掛けるのに良さそうな場所は片っ端から見て回ったが、それらしき物は見当たらなかった。
「車の中じゃないの?」
「いや、車はいつも施錠はしっかりしていたし、車内には無理だろう。こうなったら……」
「どうするの?」
「せっかくホームセンターに来たんだ。GPS発見機を買おう」
僕らは店内に移動した。
初めて入った広い店の中から、GPS発見機の売り場はなかなか見つからない。
店員に聞いてやっと見つけた時には一時間が過ぎていた。
そして車に戻ってみると、予想はしていたがカムリは隣に停まっていた。
「まったく、しつこいなあ」
「こりゃあ、絶対にGPSが入っているわね」
「うん、入っているね」
念のためカムリの中を覗き込んだが、車内に人は乗っていなかった。
ダッシュボードの上には、相変わらずパッチワーク・ピップが鎮座している。
まさか、こいつが運転しているんじゃないだろうな?
普段はただのヌイグルミのふりをしていて、人目が無くなると動き出して運転席に降りて……んなわけあるか!
さっそく、GPS発見機を作動させてみると……
「こんな所に……」
給油口の蓋の裏に、GPSが貼り付けてあった。
「でも……ここって、鍵がかかるんじゃないの?」
「いや……かかる事はかかるのだけど……」
セルフサービスのスタンドで給油すると、僕は二回に一回の割合で蓋を閉め忘れていたのだ。
「れいちゃんもうっかり者ね」
「面目ない」
「だけど、これでもう安心ね」
「ああ。もうこれで……」
僕は白いカムリを指差した。
「こいつに、悩まされる心配はないさ」
と、その時は思っていた。




