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トナラー  作者: 津嶋朋靖


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「ねえ、この辺に大きな駐車場のあるところはないの?」


 なおちゃんがそう言ったのは、イオンモールを出て二十分ほど走った時のことだった。


「え? この先にホームセンターがあるけど……」

「そこへ行って」

「なんで?」

「だって、これだけ付きまとわれるという事は、この車のどこかにGPSが仕掛けられているとしか考えられないよ。そこの駐車場で調べてみようよ」

「GPS!? そこまでするのかな?」

「するよ。現に私のバッグにも、GPSが入れられていたし」

「それ、犯罪だよ」

「あいつが仕掛けたという証拠がなかったのよ」


 そんなわけで、僕は車をホームセンターへ向かわせた。


 ホームセンターの駐車場は、土曜日なので車が多く停まっているが、それでも店の入り口から離れている区画は車が少ない。


 僕はそんな場所を選んで車を停めた。


「どう? あった?」

「ううん……見当たらないな」


 車体の底、バンパーの裏、タイヤハウスの内側、ナンバープレートの裏。


 GPSを仕掛けるのに良さそうな場所は片っ端から見て回ったが、それらしき物は見当たらなかった。


「車の中じゃないの?」

「いや、車はいつも施錠はしっかりしていたし、車内には無理だろう。こうなったら……」

「どうするの?」

「せっかくホームセンターに来たんだ。GPS発見機を買おう」


 僕らは店内に移動した。


 初めて入った広い店の中から、GPS発見機の売り場はなかなか見つからない。


 店員に聞いてやっと見つけた時には一時間が過ぎていた。


 そして車に戻ってみると、予想はしていたがカムリは隣に停まっていた。


「まったく、しつこいなあ」

「こりゃあ、絶対にGPSが入っているわね」

「うん、入っているね」


 念のためカムリの中を覗き込んだが、車内に人は乗っていなかった。


 ダッシュボードの上には、相変わらずパッチワーク・ピップが鎮座している。


 まさか、こいつが運転しているんじゃないだろうな?


 普段はただのヌイグルミのふりをしていて、人目が無くなると動き出して運転席に降りて……んなわけあるか!

 

 さっそく、GPS発見機を作動させてみると……


「こんな所に……」


 給油口の蓋の裏に、GPSが貼り付けてあった。


「でも……ここって、鍵がかかるんじゃないの?」

「いや……かかる事はかかるのだけど……」


 セルフサービスのスタンドで給油すると、僕は二回に一回の割合で蓋を閉め忘れていたのだ。


「れいちゃんもうっかり者ね」

「面目ない」

「だけど、これでもう安心ね」

「ああ。もうこれで……」


 僕は白いカムリを指差した。


「こいつに、悩まされる心配はないさ」


 と、その時は思っていた。

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