出会いと別れ、子供と大人
「いや~…。凄かったな、なんか色々と。」
片付けていた誠介がしみじみと言った。
あの後、邦海が神業を披露して何故かタコがもとの位置に戻ったのだ。
「本当にそれ。しかも旨かったしな。」
「凄いよね。」
手伝っていた俊太と星梨奈も賛同する。
「いや、それ程やし…。あ、俺ちょっと行かなあかんとこあるから先帰るな。」
皿洗いをしていた邦海は最後の容器を棚に戻した。
「いいよ。今日はありがとな。」
邦海はそのまま玄関に向かい、外に出て行った。
○
その頃、裕紀佳は一人で如月高校に来ていた。
勿論、犯人の証拠探しである。
峻樹も誘っていたのだが、結局断られてしまったようだ。
「どこって言ってたっけ。あの刑事さんにもう少し聞いておけばよかったな…。」
あの刑事とは、春井のことである。
暫く迷っているようだったが、何か思いついたのか公衆電話の方へと向かっていった。
そして、ポケットの中に入っていた財布を取り出し、その中から10円玉と一枚の名刺を取り出した。
「我ながら天才かもしれない。」
そう呟いて、電話をかけ始める。
しかし、その電話が繋がることはなかった。
「君…誰だい。」
教員の一人が裕紀佳を見つけたからだ。
裕紀佳は慌てて電話を切り、その場から去っていこうとした。しかし、それさえも防がれてしまった。
なす術が無くなった裕紀佳は諦めて、教員へ声をかけた。
「すみません、お姉ち…佐久間さんが亡くなった現場ってどこですか。」
少々動揺していたのか、中々な直球を放っていた。
教員も驚いた顔をしたが、すぐにほほ笑んだ。
「君、佐久間の妹かな。随分と好奇心旺盛なんだね。普通、君ぐらいの年齢の時に姉が殺されてt」
「やっぱり姉ちゃんは殺されたんですよね!」
かなり大きな声だった。
それもそのはず…。
「今日電話来たんですけど、電話じゃ不運の事故だって言われたんです!どういうことですか!?」
それを聞いて呆気にとられた教員…西板は軽くため息をついた。
「そうだったんだね…。成程、調べに来る理由もわかるよ。」
しかし、言葉とは裏腹に西板は裕紀佳を靴箱のほうへと追いやった。
「え、ちょ…。」
「でもこれとそれは別。こういう事は大人に任せて、君は勉強するんだね。」
そのまま押し切った西板は、そのまま勢いよくドアを閉めた。
そして何かを叫んでいる裕紀佳を気にせず奥の方へ去っていった。
大きなため息をついて。
○
誠介宅。
その後俊太も帰り、誠介と星梨奈の2人となっていた。
「有間、遅いね。」
ゲームをしていた星梨奈が呟く。
かれこれ、2時間は帰ってきていない。
「だな、色々と置いて行ってるから帰ってくるとは思うんだけど。」
そんなことを喋っていたら急に玄関のドアが開いた。
開けたのは、勿論邦海だった。
「おかえりー。」
帰ってきた邦海はどこか嬉しそうな顔をしていた。
「何かあったのか?」
「ん?まあね。」
そういっている間もずっと左手をさすっていた。
「俺家に帰るな。」
「分かった。また学校でな。」
邦海は置いていた荷物を素早く片付けて、また家から出て行った。
外は雲一つない快晴だ。
「…俺散歩してこようかな。」
「そうだね。天気いいし。」
2人はゲームを片付け、外に出た。
10月にしては肌寒い日だった。
邦海君に何があったのかは…最後に書きます。
微ファンタジーとなります。




