ツンデレ
「容疑者は尾永凌馬、百織栄乙、河崎蒼汰の3人。」
「蒼依ちゃんの先輩と…。」
「百織の兄ちゃんと。」
「…あと1人誰や?」
邦海が首をかしげる。
「被害者のマネージャー。あの学校のOBらしい。」
「それじゃ、その3人は何時に何をしていたのかっていうのを…。」
高木が手を挙げながら言うと、春井はノートパソコンを高木に見せた。
「…?」
高木は戸惑いつつも受け取り、書いてある内容を読んだ。
「尾永は、1時頃、ドラムスティックを持ち出すために中に入ったそうだ。その直前に背の小さい私服の子供が出てきたので、弟でも呼んでいたんじゃないか、と言っている。」
それを聞いた邦海は、顔を手で覆いながら横を向いた。
「ん?」
「いや…それ、多分俺や。」
「はい?」
誠介以外のその場にいた人が驚いた顔をした。
「いや、まあ、その…。呼ばれたから、さ。まt…佐久間に。」
「これは俺が証言します。あと多分ほかのクラスメートとかにも聞いてみたら…。」
邦海の顔が真っ赤になっている横で、誠介は背中をさすりながら言った。
「わかった、信じる。ってまあ、尾永も、入っていったときに佐久間さんが顔を真っ赤にしながらコーラーを抱いていたと言っていたし。」
「その発言が正しければ、その時まだ佐久間さんは生きていた、ということだな。」
春井は強くうなずいた。
「楽器室にいたのはほんの5分くらいらしい。」
「…あれ?」
平常心を取り戻した邦海は、ある点で引っかかっていた。
「尾永さんてドラムなん?ギターやないん?」
「あ…確かに。」
誠介がうなずく。
「パートは…言ってなかったみたいだな。まあ西垣警視もドラムだと思って聞かなかったのかな。」
▽▼
その頃、俊太宅
「ん、だからここの式を展開して、この公式を使って…。」
「あの…教えてくれるのは大変ありがたいんですが…肩重いから腕どけて。」
「え~、やだ。」
俊太は、蒼依に勉強を教えていた。そして、バックハグもしていた。
「…むう。」
蒼依は諦めたように膨れると、勉強を再開した。
すると、俊太のスマホが鳴った。
「んあ、誰?」
蒼依は後ろを振り返ったが、俊太はいつのまにか寝ていた。
「…はあ。」
ため息を一つつき、代わりに取った。
「…もしもし。」
『あんたらマジでラブラブやな。』
邦海からだった。
「…切っていい?」
『待て。ちょう待て。てかそもそも鳥本に用があったからさ。』
「ああそう何?」
蒼依はノートの端に”メモ”と書いた。
『尾永先輩って、ドラムなん?』
「はい?」
蒼依は訳が分からないという風に聞き返した。
『え、やから、尾永先輩ってドラムやってはるん?ギターやないん?』
「あ、そういう。」
蒼依は笑いながらメモに書いたことを塗りつぶした。
メモには”先輩=ドラム?”と書かれていた。




