佐久間姉妹
「…ってあれ?」
何かに気づいた邦海は誠介達の方へ歩いていった。
「鳥本ってドラムやんな?チューニングするんか?」
「分かんね。音叉持ってたから渡しに行っただけかもな。」
「んーでもなぁ。」
腑に落ちない様子の邦海は、腕組みをした。
「そんなに気になるんだったら行ってみっか?」
「そうやな。百聞は一見にしかずって言うし。」
3人は音楽室に行くことにした。
★
「あれ、どした?」
音楽室につくなり、蒼依が駆け寄ってきた。
俊太が事情を説明すると、蒼依は笑った。
「ドラムもチューニングするよー。ま、今回は違うけどね。」
そういうと、蒼依は持っていたギターを邦海に見せた。
「これ、尾永先輩のギターなんだけどね、先輩に遅れるからチューニングやっといてくれって言われてさ。」
「何で遅れるんや?」
邦海が首を傾げると、誠介が耳打ちした。
「多分警察の方に行った。」
「は?何で?」
「え、何でって…。」
☆
その頃尾永は、誠介の予想通り警視庁の前にいた。春井から呼び出されたのだ。
「…俺何もやってないんだけどな。」
そうつぶやき、持っていた缶コーヒーの中身を飲み干し、近くの自動販売機の向かっていった。
一方、警視庁の入り口では、背の小さい制服姿の女子と、背の高い男性が言い合っていた。
いや、正確には女の子が男性に一方的に言っている。怒鳴っていると言った方が正しいかもしれない。
「だから、お姉ちゃんがどこ行ったのか調査してほしいのよ!!!」
「って言われてもだなぁ。」
女の子は、男性の裾を引っ張った。
「おい、止めろ。伸びるだろ。」
「だって向こうに行こうとしたじゃない!」
「…別にいいだろ。人捜しは俺の手番じゃない。」
「あれ、西垣警視。どうしたんですか。」
奥の方から、春井が財布を片手にやってきた。
「こいつが姉を探せってうるさくてよ。」
西垣は、めんどくさそうに女の子を指差した。
「って事で後は頼んだぞ、春井。」
そういうと、西垣は外に出て行った。
「…相変わらずの子供嫌いだな。」
「ねえ、あんたはやってくれるの?」
女の子は、春井に向かって叫んだ。
「とりあえず、話だけでも聞くよ。近くのカフェに行こうか。」
春井はしゃがみ込んで優しく言った。女の子は、少し驚いた顔をした。
◇
「それで?とりあえず名前を聞いてもいいかい?」
カフェに着いた2人は、それぞれドリンクを頼んだあと、話し始めた。
「私は佐久間裕紀佳!で、お姉ちゃんの名前が佐久間抹莉。」




