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紅月  作者: 瑞條浩幹
第2章 殺人事件
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『可愛い』の耐性

その頃


「あーもう!このステージどうやりゃいいんだよ…。」

俊太は、周りが騒然としている中、スマホゲームをしていた。

「てか、佐久間まだ見つかんねぇのか?マネージャー。」

マネージャーと呼ばれた男は、不安そうに目をきょろきょろさせていた。

「はい…。今日の演奏は中止にするしかありませんね。」

そういうと、誰かに電話で指示をしていた。そして、「ご迷惑をおかけいたしましてすみませんでした。」というと、どこかに去っていった。

「…中止か。まあ、もうあと15分しかないもんな。」

時計は、2時45分を指していた。

(俺ももうやること無いし、集合場所に行くとするか。)

俊太は、第一ホールから去っていった。


☆★


「…もう大丈夫か?邦海。」

誠介は、邦海に自分のハンカチを渡した。

「大丈夫…ありがとう。」

そういうと、ハンカチを受け取り、涙をぬぐった。誠介はおもむろに手を伸ばし、邦海のミドルチョーカーのスイッチを切った。

「?」

「いや、相馬さんが『ミドルチョーカーって使い続けると疲れるんだよねー』て言ってたのを思い出してさ。」

「そーなん。別に疲れては無かったけど。」

「あ、マジか。まあいいや。」

そういうと、誠介は邦海の顔をまじまじと見た。

「な、何や?照れるんやけど…。」

「いや…。」

軽く笑うと急に真顔になり、誠介は言い放った。

「やっぱメイク落ちても邦海は可愛いな。」

その言葉に顔を赤らめた邦海は、誠介にビンタをかました。

「うるさいな!やめろって!」

「…可愛いに耐性が無いのか。俊太にばれると終わるな、お前。」

その言葉にはっとなった邦海は、慌てて言った。

「ぜ、絶対に言わんといてや!?」

その必死さに、誠介は腹を抱えて笑った。

「言わねーよ。ま、あいつの事だし、すぐに気づきそうだけどな。」



「へっくしょん!!」

「どうした森。風邪か?」

西板が心配そうに言った。

「いや…一条辺りが噂でもしてるのかね。」

「あいつら、本当にどこに行ったんだ…。」

「知らないっす。楽器室とかかな…。」

西板はため息をつくと、「なんであっちに行っちゃったかな~。」と呟いた。

「へ?」

「いや、独り言。今楽器室使用禁止になったって連絡が入ったから。」

時刻は3時をちょうど超えたところだった。

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