表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/69

66:忠誠心の向かう先

「た、助かるのかい?」

「ええ」


 ハッタリかと思ったけど、そうじゃないらしい。

 生贄騎士、自信ありげだ。

 彼が立ち上がって――ホントにこういうとこサマになって悔しい――話し始めた。


「明日、何かあるのは確実です。いえ、もしかしたら何もないかも知れませんが、それならそれで良いことです。だから、何か起こる前提で話を進めましょう」


 おばさんたちが頷いた。

 彼が続ける。


「この1回を凌げれば、麓から援軍が来ます。ですから、今回だけ踏ん張れればなんとかなります。そして幸い、ここにいるスタニフ殿のおかげで、来る敵は弱っているはずです」


 そこの容姿端麗、よく言った。

 僕の偉大さに言及するなんて、なかなかわかってる。


 そう、敵が来たとしても、まともに戦える状態じゃない。


 陣を敷くために来るはずの先遣隊は、あの祠が作る結界を超えてくる。

 ただそのまま超えたら絶対にバレるから、まずこの国の中から魔導士が祠へ行って、陣を書き換えたんだろう。


 でも僕はそこに、罠を仕掛けた。

 だから入ってくる先遣隊は僕の罠に引っかかって、かなりふらふらで来るはずだ。

 これで、やっと僕の偉大さが……。


「なるほど、そいつらが弱ってんなら、何とかなりそうじゃないか」


 村のヌシのおかみさんが、ふんふんと頷いた。


「ってことなら、すぐに村が焼かれるってこともなさそうだね」


 他のおばさんたちも同意する。


――あの、僕の功績は。


 そう言おうと思ったけど、おばさんたちはもう、聞いてくれそうになかった。

 容姿端麗が、また口を開く。


「そういうことですから、この1回をまず防ぎましょう」

「よし、そういうことならやってやろうじゃないか」


 やっぱり容姿端麗抹殺すべし。

 どうしてこいつだと、みんな話を聞くんだ。


 そりゃ、確かに村を守る案を今提案してるのは、彼ではあるけど……でもそれが出来るのも、僕が毎日山を歩いて、祠の陣を書き換えたからで……。

 僕の想いに関係なく、話は続いてた。


「まず、子供たちですが……」


 彼が言うのはこうだ。

 まず念のために、子供たちと若い女性をどこかへまとめて逃がす。


 それと同時に、自分たち旅の魔導師一行もいったん村を出る。

 じゃないと疑われて、男たちから敵へ話が行って、村へ入ってこないかもしれない。

 ただ僕たちは頃合いを見て、すぐにこっそり村に戻る。


 一方で男たちは動かないだろうし、言ってもこの状況だと信じないだろうから、そのまま寄り合いをさせる。


 敵の先遣隊は来るだろうけど、幸いいろんな細工がしてあるから、かなり弱った状態でしか来ない。

 運が良ければ村まで来られないかもしれない。


 そして逞しき女性陣が取れる方法は、ふたつ。

 ひとつはある程度のところで、子供たちのところへと逃げる。もうひとつは――。


「村の男たちに聞いたと言って敵を村まで誘導して、食料と強い酒を出すんです。ただこれは危険なので、効果はありますがお勧めできません」

「ちょっと待っとくれよ」


 割って入ったのはおかみさんだった。


「お勧めできないって、ずいぶんじゃないか。この村のことだよ、あたしらがやらなきゃ、子供らの帰る家がなくなっちまう」

「ヨルダの言う通りだよ! 家がなくなるなんざゴメンだ」

「若い娘をオオカミの前にやれないのは道理だけど、あたしらそんなモン恐くないしね」

「その程度が恐かったら、亭主相手にのし棒で戦えるもんか」


 えぇと……すみませんごめんなさい、僕二度と女の人に逆らいません。

 特におばさんには、忠誠を誓うことにします。


 おかみさんが騎士に向きなおった。


「というわけだ。あたしらやるよ」

「わかりました。そうしたらまず、寄り合いの準備にかかってください」

「あ、待って待って」


 イサさんがいきなり割り込む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ