第139話 みんなで行くよ
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翌朝、オレはベッドの上で目を覚ました。
場所はかえるの王子たちが寝泊まりに使っている小さな火山のある田舎。ユーリアたちと泊った奇妙な家だ。
そこでオレは割と良い気分で目を覚ましたのだ。
「もう出来ているのかな? 流石に早いか?」
パジャマから普段着に着替えながら独り言。
気が浮かれているな、ヘマをしないよう気をつけよう。
ベッドルームを出て一階に降りるとまだ誰も起きた様子はなし。朝食どうしよう? みんなと摂るか? お先に一人でいただくか? う~ん。後にするか。
玄関ドアを開けて、外へ。
「お?」
何人かの子供が遊んでいるのが見えた。早起きだな、まだ六時半だと言うのに。昨日あれだけ動いたんだ、ぐったりと疲れていただろうに。寝るのが早かったんかな?
「おはよう」
「はよ~」
子供たちが歩道を駆け回りオレのとこまで来たから軽く挨拶すると軽く返された。で、オレの周りをぐるっと一周して別の場所へ遊びに行ってしまう。
そんな子供たちを見送り、オレも別の場所に行く事にした。
目的はかえるの王子が寝泊りに使っていると言う家屋。に、あっさりと辿り着き(小さな田舎だから)、中の気配を探る。具体的には吸収魔法の応用で魔力を探る。
「いないな」
かえるの王子はもういない。起きている。
じゃあ、あそこか。
またもやオレは歩き出す。ゆったり二分程度歩いて、田舎に唯一ある公園に来た。
砂場があってブランコがあって滑り台があってジャングルジムがあって。
そして中央、そこには一つの魔法陣があって。
昨日『ドーン・エリア』に帰ってきたオレたちが通った転送魔法陣。いつでも行き来出来るようにかえるの王子が用意したモノだ。
魔法陣に乗ってみると淡くピンクに光りだし、起動した。転送開始。エレベーターに乗っている時と似た不思議な浮遊感に襲われた。景色も歪み、三秒経つと元に戻った。浮遊感も消えている。転送終了。
目を正面に向けると巨大な機械が見えた。コンピュータだ。全体的に青く、所々が光っている。かえるの王子によると起動中であり、計算中だかららしい。
そのコンピュータを中心に円形に多くの白いボックスが並んでいて。これ、全部まだ世に出していないかえるの王子による製品との事。百以上あるな、やっぱ凄いんだなあいつ。
「ああ、おはよう糸掛」
「おはよう、かえるの王子」
コンピュータに向かってキーボードを操作していたかえるの王子がオレに気づいて振り返る。
「もう出来ているよ、百二番ボックス見てごらん」
「え、マジで?」
「マジで」
期待はしていたが応えてくれるとは。
では早速とオレはNo.102と書かれたボックスを探し出し、ガラスになっている部分から中を覗く。
「おぉ」
思わず声が出た。お恥ずかしい。
扉の開閉ボタンがあったので押す。ボックスの一部が中に引っ込み、横にスライド。入れるようになったからインしてみる。
そこには黒い物体がドンと構えていて。
なにかって? これは、新しい四輪駆動車である。
昨日のバトルでオレの愛車は廃車となってしまった。これについてもかえるの王子は把握していて、なんと気前良く新品を作ってくれると言う。
こちらに遠慮は少しあったが足は必要なので厚意に甘える事にしたのだ。
そして完成品がこちら。
以前よりも黒く、大きく、ごつく、タイヤはあらゆる気象に対応する仕様。
ドアを開けて乗り込んでみると、座席は赤い。座り心地はベリーグッド。長時間乗っていてもお尻が痛くならない適度な柔らかさ。
ガソリン車ではなく電気自動車だ。石見たちの雷系魔法でも充電可能らしく。
おまけにオレ次第でAIが運転してくれるモードもあり、戦闘時には自動で走ってくれるとの事だ。
昨日見せてもらった設計図通りと言うか、超えている気がするな。
「いやぁ作り始めると結構面白くてね、あれもつけようこれもつけようってなってさ」
パチン、とコンピュータと向き合っているかえるの王子の指が鳴る。
「全体が耐火・耐水・耐電・耐風・耐震・防刃・防弾仕様。いざって時にキミらを援護するマシンガンまで」
「……つけたん?」
「つけちゃったよ」
マジか~。
パッと見どこにあるか解んないけど、あるんだろうな~。……まあ良いや。見えなきゃどっかのポリスメンに目をつけられる事もないだろう。
「ありがとうな、かえるの王子」
「いや。キミらには命を懸けてもらったからね、安いモンだよ。
ところで今日の予定だけど、キミ一人で行くかい?」
「……や、みんなで行くよ」
「了解。それじゃあもうちょっとゆっくりしといて」
「ああ」




