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メルヒェン・ヴェルト ~世界に童話を~  作者: 紙木 一覇
第二章

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127/150

第127話 アメリカに要るのは勝者のみ

 しかしまだだ。銃を撃つには瓦礫と砂が多い。

 ここで更に銃声がもう一つ。

 今度の音はフォゼの『レディ・ポイズン』。撃たれた銃弾が、毒が瓦礫と砂を殺して落としていく。

 そうしてとうとう、蜂人間の姿がオレの眼に届いた。

 撃てる!


「!」


 蜂人間がオレに気づいた。

 カノに続いてフォゼに向けていた飛翔体の狙いをオレへと変えて、オレと同時に――打つ。

 ダメだ『ガロウズレーザー』で落とされる。

 と思った。

 打たれた『ガロウズレーザー』をぶん投げられたユーリアの『レイ・ガン』が引き受けるまでは。

 視界が開ける。

 全ての『ガロウズレーザー』が消えたのではない。ただオレの撃った銃弾が向かう道だけは開けて。


「ぐ!」


『ギフト・バレット』の一撃を受けて蜂人間の羽が砕けた。あいつ、羽でガードした!

 だけどな。

 銃弾のすぐ後ろに追撃の銃弾があるのに気づいたか?

 オレの二撃目の銃弾が、蜂人間の胸の前で炸裂する。


「がっっ……」


 砕ける蜂の機械獣。準魔法士の体から剥がれ落ち、中から現れた黒人男性が地に落ちる。

 地面に当たりバウンドする男。


「ま……だ」


 ん?


「まだだ!」

「「「!」」」


 剥がれ落ちた蜂の機械獣が発光した。青白くだ。これはガロウズの光。

 乱雑に放たれた青白い光は周囲を明るく照らし、魔法士と魔法具とグリムを無力化する。

 おまけにオレたちの体すらも冷やして消えて。

 最後の一撃だ。


「これで……」


 男の体が完全に横たわる。


「役目……は、果た――がっ!」


 横たわりながらも嗤う男の体に足がかかる。踏みつけられたのだ。

 新たに出現した白人の男に。赤系・マルーン色の髪、黄土系・サハラの眼、黄緑系・リーフグリーンのバトルオーラ、熊の姿をとった魔法士に。


「良くもった。後は任せろ」

「だが敗者は必要ない。アメリカに要るのは勝者のみ」


 倒れ踏みつけられる男の首に鎌がかかる。黄系・パンプキンの髪、青系・アイアンブルーの眼、青紫系・デイドリームのバトルオーラ、カマキリの大鎌を生やした魔法士の腕が。こちらは黒人女性だ。


「じゃあな」


 そうして一思いに刈り取られる、男の首。


「「「……っ」」」


 息を吞むオレたち。

 流血、転がる首、連中の非情性、即断力、揺るがぬ意思に。

 だが……仲間を犠牲にして得た隙などに溺れるやつらに、感心はない。

 むしろ今すぐぶっ飛ばしたい。そう思う。

 いや、そうしてやろう。

 なあ? 子供たち?

 オレたち一行は一斉に瞼を降ろす。

 その瞼が、光った。瞼の向こうが発光して血流の赤色が薄っすらと見えた。


「なんっだこりゃあ!」


 熊男の怒声が聞こえた。


「目! が!」


 カマキリ女の声も。

 戸惑い、困惑し、今頃手で目を擦っているだろう。

 子供たちの持つ純白の銃『フェイザー』に目を焼かれ視覚が効かなくなったから。

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