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メルヒェン・ヴェルト ~世界に童話を~  作者: 紙木 一覇
第二章

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第124話 なかなかあくどい運転すんじゃねえか!

 数瞬遅れて爆発する砲弾を尻目にオレは車を走らせて――ビルが爆発。横倒しになって進路を塞がれた。


「あ! まい! です!」


 フォゼが黒い塊を放り投げる。するとビルが爆発して道が出来て。


「普通の爆弾、多く貰ってて良かったです」


 だな。小型なのに威力が手りゅう弾の比じゃない気がするが、まあ役に立ったしいっか。

 兵の姿が道路に戻ってきた。どうやら地雷原は抜けたらしいな。

 塔までもあと少しだ。


「なら!」


 オレはあえて兵に近づき、ドリフトで以てギリギリ彼らをかわす。

 と、そこに着弾する蜘蛛からの砲撃。吹っ飛ばされる兵たち。

 悪いとは思うけど今敵だから!


「なかなかあくどい運転すんじゃねえか!」

「見事って言ってくれ!」


 なんか笑みが零れてきた。ドライバーズハイって怖い。

 しかしいつまでも笑ってはいられない。

 塔が――すぐ近くに迫ったから。

 が。


「!」


 塔のあちらこちらに窓が開く。開いて赤いレーザーが車に照射され、ヤバいな撃たれる。


「ここで投げます!」


 なにを? と問うたりはしない。

 フォゼの手から投げられたのは真っ白な物体。塊。

 そいつを塔のレーザーが追って、マシンガンが撃たれた。

 弾は真っ白な塊を貫き――


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――ギッ!


 耳障りな爆音が鳴った。

 真っ白な塊は音と緑色の粒子を振りまいて、塔を錆びつかせる。

 浸食爆弾ってやつだ。

 これで塔の兵装は無力化された。


「塔に入る!」


 錆びついた外壁をぶち破り、巨大な塔の内部へ。

 思ったよりも涼しい。いっそ寒いと言って良いくらいだ。

 兵はいるが浸食爆弾の影響で武器を失い逃亡していく。

 これなら巻き込む心配はないだろう。


「石見(がらみ)!」

「うん」


 彼女の手には赤いスイッチが一つ。それについているボタンを躊躇いなく押すと、車体の後部に取り付けられていた箱が開いて爆弾を落としていく。

 計三十個の爆弾を塔内部に落として、オレたちは塔から脱出。


「もっかい押すよ!」


 言葉通りにボタンが押されて、三十個の爆弾が一斉に起爆する。

 爆発の威力は横ではなく縦に昇り――塔が、倒壊した。

『ガロウズフィールド』を発生させる塔の一つを失い力場は、消滅だ。


「よっしゃ!」


 思わずガッツポーズを決めるカノ。こらシートに足乗せんな。


「うん、魔力も戻ったね」


 手を握り、開くを繰り返すのはユーリアだ。彼の言う通りに魔力生成は可能になった。

 とするならば他のグリムも動き出す頃合いか。


「オレたちはホワイトハウスへ!

 ユーリア! グリムたちは来るで良いんだな⁉」

「うっぷん溜まってるだろうし、来て暴れるだろうね。

 ザコは彼ら彼女らに任せよう」

「良し、んじゃ」


 アクセルをべた踏みする足はこのままだ。

 車は変わらずトップスピードを維持し、いざアメリカの本陣へ。

 と、その時だ。

 オレたちの乗る車体に銃撃を繰り返していた兵たちが一斉に後退を始めた。

 って事は次に出てくるのは魔法士と準魔法士だな。


「――いや」

「え? どうした?」


 索敵を続けていた石見が眉を顰めている。


「魔法士が来ない。準魔法士は――なんかおっきいのが正面から来ているんだけど」

「おっきいの?」

「うん。建物無視しているから飛んでるね。猛スピードで来ているよ。ここまで来るのにあと八秒」

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