第123話 みんな体を守れ!
四輪駆動車が猛る。猛って『ガロウズフィールド』の内へと――突入した。
同時に消失する魔法障壁。
「……確かに魔力を練れないね。俺とクノイストは膂力も落ちている」
中は薄い霧が立ち込めたように若干視界不良。見えないレベルではないし行動に制限がかかる程でもない。
だからオレは車を飛ばしに飛ばして塔を目指す。
塔は全部で五本。一番近い塔までは二キロメートルってとこか。大体五分弱もあれば到着出来るだろう。
誰もいなければ、だが。
そして現実の問題として兵がいる。
既に銃撃は受けていて、しかし車体のあちらこちらに付けられている『ドーン・エリア』製強化金属盤がガードしてくれている。ガラスも付け替えてもらったし、防弾の役割を発揮してくれるだろう。
住民は――いないか? 安全地帯なのに住民を避難させないのはあくまでホワイトハウスを守護するフィールドだからか。それともいつかこうなるのを予想していたのか。
両方かな。
「お?」
兵がいなくなった?
まだまだ車道は続いていると言うのに姿が見えなくなった。建物には潜んでいるが……これはまさか。
いやな予感がし、オレはアクセルを踏む足が緩まぬように力を篭める。
それと同時に。
「みんな体を守れ!」
叫んだ。
とほぼ同時。
「「「!」」」
車道が爆発した。地雷だ。
わずかに飛ばされる車。車体にぶつかってくる衝撃波。
「く!」
オレは車が横転しないようバランスを取って、着地する。
けれど地雷は一発ではなく。
次から次へと爆発してくる地雷に車は蛇行を繰り返す。
衝撃に強化金属盤は次から次へと剥がされて落とされてしまう。
タイヤをやられないのは幸いだ。大きく吹き飛ばされないのも。
逆さまにされたら止まってしまうからなあ。
「糸掛! なんか追って来てんぞ!」
「なんかってなんだ!」
「蜘蛛――みたいな戦車!」
「は?」
地雷原を抜ける為に運転から目を離せないから後方を確認する暇がない。
鏡をちらりと見る余裕すらも。
「オレたちとどっちが速い⁉」
「向こうだな! ビル壁を走ってやがるから地雷に引っかからねえんだ!」
「一体跳んだよ兄さん!」
「着――」
着地点はどこだ? と言おうと思った。けれど答えの方が先にやって来てしまう。
なんと車の屋根に憑りつきやがったのだ。
重くなった分速度が緩む。止まりはしないが――遅い。次地雷に当たったら爆発に思いっきり巻き込まれる。
「蜘蛛の砲が運転席を狙ってるよ!」
「って言われても石見!」
オレは運転をやめられない。
「ごめんね糸掛」
「なにがだユーリア! あ! お前まさか!」
後部座席で妙な音がした。電気がスパークしたような音だ。
やっぱりか!
「わ」
車内に風が吹きつける。
そりゃそうだ、ユーリアのやつが車の屋根をかえるの王子から預かったフォトンソードで切ったから。
屋根ごと蜘蛛とやらを切りつけたから。
「オレの車ぁ!」
蜘蛛戦車が屋根から落ちて、爆発する。どうやら地雷に直撃したようだ。
おかげで車の速度は上げられたが……誰が弁償と修理してくれんのこれ……。
「うぉ!」
一人悲しみに暮れていると車の間近で爆発が。地雷ではなく他の蜘蛛からの砲撃だ。
オレたちがちょこまかと動いているから当たらずに済んだが、今、着弾で砲弾が爆発したよな?
面倒な弾使ってくれる。
「俺がやろう」
「え?」
砲撃の轟音。砲弾は先程よりも車の近くに着弾し、次撃はもっと近くに着弾。
着実にこちらの動きに合わせてきている。きっと次は当てられる!
と思ったが。
砲撃。砲弾が飛んでくる風切り音が一瞬だけ鳴って――なんと「俺がやろう」と言ったクノイストが砲弾をフォトンソードで真っ二つにした。マジか。
「砲弾は俺が切る」
「た、頼んだ!」




