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26話 競争

「はぁはぁはぁ……。数が増えて……ふふふふふ、楽しくなってき――」

「肩で息してんだからもう休めよ。ここらでタッチ交代だ。掠り傷だって多い。さっきまでは怖いって思えてたけど、今のあんたは怖くないぞ」


 金田と風間さんのごり押しでやって来た19階層。

 ソルジャーコボルトに混じって俊敏なダークウルフェンがちらほろと姿を現して、疲労が溜まっている風間さんは自分の攻撃をモンスターにうまく当てる事が出来なくなりつつあった。


 それに金田の拘束スキルは数に限りがあって全てのモンスターの攻撃を抑えれるわけじゃない。

 2人だけで仕掛けるのは明らかに限界が見えていた。


「駄目。まだ、私は殺したりな――」

「風間っちそのうち殺されるよぉ。威力の高いスキルってその分反動が大きいでしょ。そんなたゆんたゆんな身体じゃもう無理だってぇ」

「きゃっ!」


 渚さんは風間さんの背後に回ると、肉厚なその身体を手の平で撫で回す。

 殺戮衝動に駆られる狂人となっていた風間さんはそれの所為で可愛らしい声を上げてしまう。


「や、やめてよぉ。私やられる側は苦手だから」

「ならちょっと交代してもらってもいーい?」

「わ、分かった! 分かったから!」


 眼福タイムが終わって風間さんは地べたに座り込んだ。

 それに合わせて金田も俺の近くに寄ってくると、額の汗を拭う。


「しばらく僕と風間さんは戦えない。悪いけど、『バリア』頼むね。それにしても……これだけやってまだポイント40。そう思うとアルミラージですらポイントは高かったんだね」

「お、お疲れ様。もう100位は殺してるけどやっぱり与えてるダメージが大きかったり、止めを刺してないと分配された時のポイントは少ないって事だね。実力があればチームより個人の方が効率はいいかも」

「上に行くにはモンスターを殺さないと、か……」


 金田はぽつりとつぶやくと今まで見せて来なかった悲しい表情を浮かべる。

 きっと、モンスターを殺せない理由にはそれなりの過去があるって事か。


「『ギガントスタンプ』!!」

「相沢っちやる気満々だねえ」

「人の狩りを見てるだけでフラストレーション溜まりまくってんだ! 悪いが獲物は渡せさないぞ!」

「ふーん……。じゃあ、どっちが多くポイント手に入れられるか勝負だね」

「勝負? ……それは燃えるな!」


 協力してモンスター達を殺していた風間さん達とは打って変わって相沢達は各々でモンスターを殺し、競争を始めた。

 風間さんほどじゃないけど、この2人も闘争心が凄い。


「おれもういっちょ! 『ギガントスタンプ』!!」

「あ、それいい足場」

「おい俺の腕の上を――」


 大きく膨れた相沢の腕の上に乗った渚さんは、スカートだっていうのにそれを利用して高く飛び上がった。


「ローズピンクのTバックか……。うん解釈一致」


 さっきまでの悲しげな顔はどこに行ったんだよ金田。


「地上で使う『豹』より、こっちの『翔』の方がちょっと遅いんだけどお……時間が長いから好き」


 飛び上がった渚さんの背に白い羽が生える。

 まるで天使のような姿に目を奪われたが、そんな柔らかい印象は凄まじい勢いの滑空の所為で一瞬で吹き飛んでしまう。


 しかもあの翼が滑空中はナイフみたいに鋭いから、すぱすぱとコボルトの頭を刎ねて……。

 なんか劣等生の中でもちょっと強さの次元が違うかも……。

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