25話 純白相性
――ヒュッ!
「『ワイドバリア』」
「『バリア』って普通動きながら使えない防御スキルだと思っていたんだけど加護君は動きながら使えるんだね」
「うん。でも攻撃の手数が多かったり威力が高い時は踏ん張り利かせていないと割れそうな感覚があるから、ちょっと辛いかな。あと使い続けすぎても疲れはあるよ」
「なるほど……。じゃあんまり負担は掛けれないね。それにずっと風間さんに『ソルジャーコボルト』を任せてしまうのは気が引けるから……取り敢えず僕が飛び道具使ってくる奴らを捕まえるよ」
ダンジョンに侵入してしばらく、最初は敵の数がそんなに多くなくて場所も開けていたから風間さんを先頭に問題なく進んでいた。
しかし5階層を過ぎ木々や大岩が散見される様になると、『ソルジャーコボルト』の数が明らかに増えた。特に弓を使う個体の攻撃が増えた影響で俺は戦闘範囲を『ワイドバリア』を使って隔離させる様にしていた。
そこまで疲れはないけど、このペースだとあんまり持たないかもしれないから、この金田の配慮は嬉しい。
因みに相沢と渚さんはさっき風間さんが殺そうとしていた『ソルジャーコボルト』を先に殺してしまったペナルティで10階層までは戦闘不参加を命じられている。
言うことを聞かずに勝手に動く人も自分の我が儘を突き通す人もチームとしては問題。
今回の一連の流れは劣等生クラス全体としての問題点が可視化されたとも言える。
「『エアバインド』」
『ソルジャーコボルト』を捕まえられる様に1度バリアを解除すると、早速金田のスキルが炸裂する。
空気中に白い雲のような物が『ソルジャーコボルト』達の頭上に現れるとその口両手足に触れる。
ダメージはないのか不思議そうな顔をするだけのソルジャーコボルトだったが、その雲が自分の体から引き剥がせない事に気付くと慌てふためき始める。
口を閉ざされ、両手足を縛られ、まるで拘束具を纏わせられた囚人のような出で立ちになる『ソルジャーコボルト』を金田は意外にもバカ力で担ぎ上げると俺達の元まで運んでくる。
それを見た風間さんは目の前に見える剣を持った個体を処し、次に嬉々として金田の捕まえた『ソルジャーコボルト』に花の蕾を食わせて殺す。
アルミラージ戦の時の様子に拘束スキル、恐らく金田はモンスターを殺せない、殺す事に躊躇いを感じている。そんな金田ととにかく殺したい、いたぶりたい願望が強い風間さんは非常に相性がいいように感じる。
また風間さんの戦い方を見ていると1匹1匹に時間を掛けたい、というよりも殺すのが勿体無いという風にも見えたから、拘束した『ソルジャーコボルト』をコンスタントに提供出来る点でも相性はいい。
元々スペックが高い2人が互いに欠点を補って戦うその様子は入学試験のAグループの連携を越えるのでは――
「風間お嬢様次の贄を用意しました」
「ふふ、金田君ったら……。うむ、くるしゅうない」
「出来たらその、褒美を頂けると……」
「……ふふ、エッチな金田君」
唐突に始まったしょうもない小芝居。
息を荒くする金田に風間さんはスカートをひらりと翻し純白のそれを少しだけ見せると、頬を赤く染めながらにんまりと笑って見せた。
「……ねえ相沢っち、あーしら何見せられてんだろうねぇ」
「俺はあの顔が怖いから何も言わんぞ」
そしてペナルティを受ける2人は何とも言えない表情でその光景を眺めるのだった。
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