24話 サイコパス風間
ピッ!
「みんなおっ先ぃ。100階層とかめっちゃ長いから急ぐよぉ」
仕事に戻るのか足早に去っていくと、渚さんが早速ダンジョンの入り口にある読み取り機に『ポイントチェッカー』を触れさせて中に入っていった。
続けて相沢、風間さん、金田の順で中に入って行く。
ダンジョンに入る事にまるで躊躇いがないのはここが最低難易度のダンジョンだと知ってるからなのか、度胸があるからなのか。
入学試験の時に潜ったダンジョンはオークばかりで、それと異なるこのダンジョンは難易度最低。
という事はあれよりも強いモンスターはいないはず。そんな考えがある俺は勿論間違いなく前者。
「――おおっ」
ダンジョンに足を踏み入れるといつもの洞窟タイプとは違って青空が見える草原が俺の目の前に広がっていた。
噂にはこういったダンジョンもあると聞いていたけど、実際に見てみると圧倒される。
「ダンジョンっていうよりは異次元だな。なんで屋内に青空が?」
「ふふ、血が良く見えていいじゃないですか」
戸惑う相沢に共感を感じていると風間さんが恐ろしいことを言い放つ。
そんな事瞬時に思うの間違いなく風間さんだけだよ。
「がっ?」
「ふふ、獲物1号ね」
周りを見渡すとそこに居たのは武装したコボルト。
通常のコボルトはEランクモンスターだがこいつ、『ソルジャーコボルト』はD+ランクモンスター。
個体によって弓或いは剣を持ち、炎系のスキルを使用してくるとか。
この情報は試験用に買った『探索者生活の基本』という本から学んだんだけど、確かこいつは強さのわりに大した素材が手に入らないからターゲットとしてはお勧めしないらしい。いわゆるハズレモンスターだ。
しかもこいつをターゲットにお勧めしない理由が他にもあって――
「ふふ、『斬り花・蕾』」
俺が『ソルジャーコボルト』の情報を思い出していると、風間さんが笑いながら距離を詰める。
そしてスキルを発動した事によってその手に現れた花の蕾をソルジャーコボルトに突き出す。
ソルジャーコボルトはそんな風間さんを見ると慌てて持っていた弓で矢を放つが、風間さんはそれをギリギリで躱す。
ただ攻撃を喰らうのはある程度覚悟しているというか、避ける意識が低いというか、制服を掠める弓はまったく気にしていない。
スカートの端が切れる度に金田の息が荒くなるんだけど……。
「がっ!?」
「はいどーぞ」
ソルジャーコボルトの口に花の蕾を突っ込む風間さん。
ソルジャーコボルトは思わずそれを飲み込んでしまう。
するとソルジャーコボルトの腹がボコボコと動き始め呻きだす。
「が、あああああああああああああああっ!!」
プシッ。
ソルジャーコボルトの内臓が腹から零れ、血が飛ぶ。
小さかった蕾から大きく膨らみ開花したであろうその花は、鋭利な花弁でソルジャーコボルトの腹を切り裂き更にまるで生きているかのようにくるくると回る。
回れば回る程、ソルジャーコボルトの身体は刻まれてグロテスクに……。
「あっ! 『ポイントチェッカー』当てるの忘れてたよ。でも……。あなたが綺麗な花を咲かせてくれたから満足満足……。みんな、ポイントリベンジしたいから次も私が戦わせてもらってもいいよね?」
返り血を浴びた風間さんの姿に俺達は黙ってこくりと頷いたのだった。
見た目はおっとり系美人なのに……人って見かけによらないよね。
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