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22話 先輩

「ダンッジョン、ダンッジョン」

「な、渚さん、そ、その楽しそうなのはいいんだけど道合ってる?」

「わかんなぁい。でもこっちっぽくなぁい?」

「ちょっ、ちょっと待って!た、確か学校案内のパンフが……」

「綾斗っち、そんな焦んなくても時間あるから大丈夫っしょ?てーかぁ、綾斗っちもあーしとおんなじでワクワク高まってる感じだねぇ」

「え?」

「ほらぁ、敬語使ってないじゃぁん」


 移動を開始すると、先陣を切って校舎内を歩き始めた渚さん。

 俺達はてっきり渚さんがダンジョンの場所を知っていると思ってついてきたけど……何も知らずにノリだけで歩いてきていたのは流石に驚いた。


 ただこれからみんなでダンジョンに殴り込みだと思って談笑しながら歩くのは楽しくて……俺もいつからか敬語を使わなくなってたらしい。

 思えばアルミラージをみんなで殺してる時も使うの忘れてたっけ。


「お、あれ先輩か? 制服のリボンの色が違うぞ」

「こっちは上級生のいる棟だったのかもね。丁度いい、僕があの方に道を聞いてくるよ!こんにちは先輩、ちょっとお尋ねしたい事があるんですけど――」


 相沢が前方に居た人影に気付くと金田が急かさず道を聞きに行ってくれた。

というのも、先輩はリボンを着けていたし真っ黒い長い髪の女性。

 俺達がダンジョンを探していようといまいときっと声を掛けに行っていただろう。


「――みんな! こちらの先輩が案内をしてくれる事になった!いやぁ優しい先輩で助かります。良ければ後でお礼にお茶でも――」

「それは結構だ。お茶の一杯だけでもポイントがかかる。君達1年生はしばらくポイントを貯めるべきだ。こほん……。それでは私が今から君達を案内する。名前は姉小路雅(あねのこうじみやび)。3年だ。よろしくな」

「「よろしくお願いします」」


 貫禄というかなんというか……迫力がある人だな。

 あの相沢ですらペコリと頭下げて挨拶してるよ。


「うん、いい子達そうだな。さて。ここは、3年の教室がある棟でここにあるダンジョンもそれなりに攻略難易度が高い。君達にはまず難易度の低いダンジョンを紹介するぞ。ついて来てくれ」


 先輩はかっこよく手招きすると颯爽と歩き始めた。

 そっか、こっちには難易度の高いダンジョンしかないのか。へー……


「ってダンジョンはいくつもあるんですか?」

「ん? 知らなかったのか? ダンジョン学校にはダンジョンが複数あって、それぞれ消費ポイントや侵入条件が設定されているんだ。君達は1年生、しかも今日入学式を済ませたばかりだから侵入出来るダンジョンは1つだけだけどな」

「綾斗っち、あーしですらダンジョンが1個じゃないって知ってたよぉ」

「え?もしかしてみんな知ってたの?」


 当たり前の様に言い放った渚さん。

 俺の質問に頷く相沢と金田。

 恥ずかしさで顔を熱くする俺を嬉しそうに笑う風間さん。


 そういえば俺引きこもってて学校見学とか行ってないし、勉強とレベル上げに必死になりすぎて情報殆んど集めてなかったけど……他の人達はそんなの当たり前に知ってるんだな。


「君も今はここの生徒。ゆっくり覚えていけばいいさ」

「そ、そうですよね。ありがとうございま――」

「ただ怪我で留年、周りについていけず自主退学、学校のシステム上そんな生徒が一般の学校と比べて多いのは事実。ゆっくり着実にというのは理想ではあるけど……君達がそうならない様に私は祈るばかりだよ」


 優しい笑顔のフォローから一転、ネガティブな発言を繰り出す先輩。

 今からダンジョンに挑む後輩にこれって……悪気はないと思うけど、口調とか含めて自然に威圧してくるのは心臓に悪いよ。

 さっきまでの楽しい時間帰ってこないかな。


お読みいただきありがとうございます。

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