20話 優等生との違い
「おい、あいつら無差別にモンスター殺し始めたぞ」
「やらせておけば? 立花先生の言う通りならあの人達ポイントないみたいだし、それに自分でアルミラージを倒さなくても……ほら、『ポイントチェッカー』は手に入るんだから」
「俺達にとってみれば都合がいいだけだ。それにアルミラージを倒さなくても、そこそこポイント入ってるぜ。50ポイント。えーっと、ダンジョン侵入に必要なのが5だから、10回分か。別にここで無理する必要もねえよ」
最初は俺達が無差別に殺しを始めた事に苛立っていた他のクラスの生徒達だったが、余ったポイントチェッカーを拾って一先ず満足気。
ちょっと癪に障るけど、それはそれでこっちとしても都合はいい。
でも藤も野宮さんもアルミラージを狩りに出てったみたいだ。
「大量大量! でも攻撃力1のポイントは大丈夫なのか?」
「えっと、危ないけど一応こんな事も出来るみたいだから」
俺は『グラビティバリア』越しにポイントチェッカーをアルミラージに触れさせた。
『グラビティバリア』が俺の発言させているものだからか、これでも一応認識はしてくれる。
流石に殆ど接するような箇所に触れさせないと駄目だけどそれはまるで問題にならない。
むしろ問題なのは……。
『獲得ポイント2』
獲得出来るポイントが少ない事だ。
劣等生クラスのみんなっていうメインでダメージを与えている人とポイントが分配されている、それか元からアルミラージを殺す事で得られるポイントが少ないのか。
とにかく、このままじゃマイナス100をプラスに転じさせるのは難し――
「おい! 俺のポイントチェッカー300ポイント入ってたぞ!」
「私は200ポイント!」
ちらほらと上がる歓喜の声。200? 300? まさか個体差があったのって……。
「探索者は洞察力も重要。希少な個体であればあるほど『ポイントチェッカー』に入れている初期ポイントの量が多い設定です。劣等生クラスのあなた達と違って野宮さんや一部の生徒は外にアルミラージを探しに行ってますね」
そんな所まで頭が回るわけないじゃん……。劣等生クラスの担任だけど、立花先生俺達に厳しすぎないか?
「それに私は説明の時にランクはイベントで上がると言いましたよね? これがどういう意味か分かりますか?」
「もしかして……」
「――先生、捕まえたアルミラージなんですけど、この強さにスキルの豊富さ加減。これって誰かが育ててる……大事なテイムモンスターですよね? 他のアルミラージはこの日の為に急ごしらえで用意されているだけだとしてもこの子は殺せません」
外から帰ってきた野宮さん。その手にはルビーのような目を持つアルミラージ。
横で息を切らす他の生徒や、悔しそうな表情を見せる藤を見るに俺達がこんな事をしている間にも激しい奪い合いが行われていたのだろう。
「……こんなに早く捕まえられるなんて。それに他の生徒も結構粘っていたようですね。はっきり言って今年の生徒、あなた達のレベルは高いです。『うさきち』は体育教師の坂下先生のテイムモンスター。そしてこれが私達からのプレゼントイベント」
「え? それってどういう?」
「『ポイントチェッカー』のポイントとメッセージを確認してみて下さい。おめでとう野宮さん」
疑問符を浮かべている野宮さんに立花先生は笑みを浮かべる。
俺達の時とはまるで違うんだけど。
「ランク2に昇級?」
「初のランクアップ者となった野宮さんにはボーナスとして2000ポイントも送付されているはずです。レクリエーション兼余興としては最高の報酬ですよね。さて、取り敢えずランクアップ者が出たので今日はここで解散。まだ『ポイントチェッカー』が手に入っていない人は午後6時までアルミラージを開放しておきますので頑張ってください。結果手に入れられなかった人、ポイントがない人は私、或いは坂下先生に申し出る様にしてください。お疲れさまでした」
立花先生と体育館に居た先生方はぞろぞろとその場から去っていく。
初日からこれって……とんでもない学校だな。
「あ、そうそう。劣等生クラスのマイナスポイント組は諦めてランクとポイントの引きかえに来てください。それと言い忘れてましたけど、劣等生クラスの生徒は今学期中にランク3に達しなかった場合素質無しとみなされ退学ですから」
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