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19話 悪戯

「あいつら劣等生クラスだよな? もうアルミラージ捕まえて……凄くない?」

「恐喝まがいの事してる奴もいたし、『バリア』張ってる奴はあの『攻撃力1』。他にもモンスターを痛ぶったり、逆にモンスターに攻撃出来ない奴がいるだろ? スキルが目立つだけで探索者としては落第ものだよ」

「そもそもちょっとスキルが珍しいからって入学出来ているのが気に食わないわね」


 他のクラスの生徒達から発せられる悪口が耳に入る。

 昔の事を思い出して胸が苦しい。

 俺はようやく捕まえたアルミラージを両手で強く抱きしめながら、嗚咽を漏らした。


「攻撃力1ナイスッ!」

「綾斗っちのスキル面白ぉーい」

「こっちも何とかリュック奪えた……。ふっ。こんな必死な僕も悪くはないかな?」

「ふふ、おめでとうございます」


 俺とは違い周りの声に流されないクラスメイト。

 ……。なんか意識し過ぎてる俺の方がおかしいのかな?


「それよりみんなリュック開けたぁ? あーしの『ポイチェ』ポイント入って無かったんだけどぉ。てかむしろマイナス100ってどゆことぉ?」

「え? もしかして……」


 俺はアルミラージが背負っていたリュックを開けて『ポイントチェッカー』を取り出した。

 ポイントの確認画面……俺のもマイナス100だ。


「マイナス100……」

「俺もだ」

「私も……」

「うーん、僕のもだねえ」


 全員マイナス100。

 これってどういう――


「探索者は状況判断や素材の見極めも大切になります。とにかくモンスターを狩ればいいというわけではありません。それを生徒であるあなた達に体感してもらうべく少しだけ悪戯、具体的には先行して起動された『ポイントチェッカー』5台はマイナスになるように設定しておいたんです」


 いやいやいやいやいや。

 いらないよそんなの。それにこれって強制的にランク1個下げられるって事だよね?


「因みに1度手に入れて確認した『ポイントチェッカー』は既に紐付いた状態。利用するしかありません」

「うーん。じゃあマイナス100のあーし達はここからスタートって事ぉ?」

「はい。ダンジョンの入場にもポイントがかかりますから、今の状態のままでは何も出来ません。つまりはランク0スタートです」


 橘先生の残酷な宣告。

 他のクラスの奴らは嘲笑い始める。


「で、でも。まだアルミラージは残ってるから、他の生徒の迷惑になる事覚悟で乱獲すれば或いは――」

「へへ、君のアルミラージもらっちゃうねぇ」

「ふふ、いっぱい殺していいんですね……」

「僕が捕まえてくるから処理をお願い出来るかな殺戮姫?」

「おい! お前らの兎よこせえ!!」


 嘲笑う他のクラスの奴らの顔を見て、ふっと思い浮かんだ事を呟くと劣等生クラスの皆は一斉にアルミラージを殺しに向かった。

 立花先生は余計な事を、と言いたげな顔で俺に視線を向けるけど……。

 劣等生だからっていつまでも舐められるのは嫌だ。意識が甘いみんなに代わって俺がこの劣等生に対する他のクラスの奴らからの認識を変えて、やりたい。


「『グラビティバリア』。みんな、こっちに貯まった奴ら一気に殺せるよ!」


 俺は他の生徒達が捕まえたアルミラージを吸い寄せる。こんな事を率先してするなんて……。今までの仕返しみたいでちょっと楽しいかも。

お読みいただきありがとうございます。

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