17話 魔法陣
「皆様御入学おめでとうございます。それでは私からは以上とさせて頂きます」
校長の長い話が終わり、閉会の挨拶も済むと体育館中は声で溢れ、一気にだらけた空気が辺りを包んだ。
立花先生の話では親御さん達には一度ご帰宅頂いて、この場を使って学校のシステムの説明をするらしい。
「――それではこれより我が校の制度、システムについて実機を用いて説明をします。プリントを配布しますのでそれを見ながら確認してください」
しばらくして場が整うと立花先生が壇上に上がりスクリーンが降りた。
そこに写し出されていたのは見たことのない携帯端末。
立花先生の手にもあるけどあれは一体……。
「まず我々の学校ではダンジョンに潜り十分な成果を上げられる探索者の育成を目標にしています。そしてその為に我が学校の校長が考案したのがランク制度、更にはポイント制度です」
ランク。麗華の言っていたあれか。頼むから上げるの楽であってくれ。
「ランクは校内のダンジョンの踏破フロア、イベント実績、ランキング戦、ダンジョン関係の校外実績を元に10段階で判定されます。基本学期ごとの更新となり、このランクによって我々が紹介出来る事務所も変わります。皆さんには3年間このランクを出来るだけ高いものにする努力をして頂きます」
学期ごと、3×3で9。多分今が1だから毎回ランクを1つか。なんだ、そんなに難しくは無さそ――
「因みに過去最高のランクは8。皆さんには最高ランク10を期待します」
え? それ、もう無理なんじゃ?事務所の人無茶苦茶な要求するじゃん。
「続いて皆さんの生活上欠かせないものになるのがポイント制度になるかと思います。ポイント制度とは、校内のダンジョンでモンスターを倒した数やその種類によってポイントが配布されるもので、このポイントは学食、クラスの内装替え費用、ダンジョン侵入費用、イベント申し込み、自販機、等で利用されます。ポイントがなくなった生徒にはランクを1つ降格させる事で臨時ポイントを配布する事が可能ではありますが、このような事がないようポイントのご利用は計画的にお願い致します。そしてそのポイントの確認方法、使用方法、加算方法ですが……」
立花先生は端末を持つ手を胸の辺りまで上げた。
端末で全部管理するって事か……凄い先進的でちょっとワクワクしてきたかも。
「お察しの通り全てこの端末で行います。端末の使い方を今から説明するのでスクリーン或いは手元のプリントを見てください」
立花先生はつらつらと端末の説明をする。
でも手元に端末が無いんじゃ、聞いたところで――
「では実際にポイントを入手するところをお見せします。ではお願いします」
立花先生が檀上の袖に視線を移す。
すると、檀上に魔法陣が現れる。
これもスキル? というか話の流れからして――
「ぐおおおおっ!」
魔法陣から顔を出したのは大きめのコボルト。
校舎はダンジョンの一部。確かそんな事を言ってたとは思うけど……。モンスターをここに召喚出来るなんて……。
「このコボルトはこの日の為にダンジョンから転移させたものです。通常はダンジョンからモンスターが出てくる事、魔法陣を用いて勝手に飛び出す事はあり得ません。心配はしないでいいので、とにかくポイントの取得方法を見ていて下さい。まずはこのボタンを押してセンサーにモンスターを触れさせて、画面に読み込まれたモンスターの情報が出た事を確認して……次に倒します」
淡々と説明する立花先生から放たれた無表情での攻撃はコボルトの頭を簡単に落とす。
コボルトのサイズからして多分ただのコボルトではなくキングコボルトが現れていた。あれは確かBランク相当のモンスターだったはず。
試験の時にも凄い実力だと思ったけど改めて凄いな。
「皆さんにも実際に行って……あ、そういえば端末の配布がまだでしたか。生徒に端末の用意をお願いします」
再び檀上の袖を見る立花先生。
その顔は……どこか笑ってる?
「お、おい! あれっ!」
相沢が唐突に上を指差してデカイ声を上げた。
それに釣られて俺も顔を上げると……。
「魔法陣……」
そこにはさっきモンスターを召喚した魔法陣が大量に展開されていた。
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