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11話 迎えに来た

「綾斗、今日試験結果発表だろ?見に行かなくてもいいのか?」

「多分人だかりが出来てるから……。明日以降通知が来るみたいだからそれで確認するよ」

「そうか。あんまり無理しても仕方ないからな。とにかく受験会場で精一杯やったならそれで一歩前進。焦らなくていい」

「ありがとう父さん」


 入学試験が終了し、あっという間に試験結果発表当日の朝。

 結局俺は父さんに相談して卒業式には参加しなかった。

 その代わり後日校長室で卒業証書授与をしてもらったのだが、その時の父さんの顔は一生忘れられないと思う。


 本当は母さんも出席したかったらしいが、母さんは麗華の付き添いでその日も今日もホテルに宿泊。

 2人にもお礼の言葉を言わないと……


「じゃあそろそろ仕事に行く。いつも通りご飯は冷蔵庫に入ってるからちゃんとチンして食べ――」


 ピンポーン


 珍しく家のチャイムが鳴った。

 予定もよく変わるみたいだから麗華と母さんかな?


「ちょっと出てそのまま会社に行ってくるよ。ダンジョンに行く時は家の鍵忘れずにな」

「わかった。行ってらっしゃい」

「行ってきます」


 父さんは手提げカバンを持って玄関に向かった。

 さて、朝ご飯食べ終わったら軽く筋トレでもしてダンジョンに向かおうかな。


「……やっぱ旨いな父さんの味噌汁――」

「綾斗君! 今日は合否発表の日でしょ! 一緒に見に行きましょう!」

「あ、あの、野宮さん。あんまりその――」


 玄関口から聞き覚えのある声が……。

 なんで野宮さんがここにいるんだ?家の場所を教えた事もなければ連絡先だって交換してない。……ストーカー? いやいやいや、まさかそんな、ねぇ……。

 と、とにかく父さんも困ってるみたいだし、俺も玄関に行かないと。


「試験の時確信しました。綾斗君はもう大丈夫だって。だから今日は意を決して来たんです」

「その、クラス委員長としてずっと気に掛けてくれてたのは知っているし、綾斗が引きこもってからずっとプリントを投函してるのも知っている。でもその言い辛いんだけど……」

「あの、え、えっと、の、野宮さんですよね?父さん、父とは知り合いなんですか? なんで、こ、この前会っただけの俺の家を?」

「まさか、私の事を知らない?」


 野宮さんの目からハイライトが消えた気がした。

 俺そんなに悪い事したかな?


「綾斗、野宮さんはお前のクラスのクラス委員長だった人でまだ学校に通っていた時は生徒会として何度か面識があるらしいぞ」

「クラス委員長……。生徒会……。その、す、すみません。会った記憶がないんですが……」

「嘘、でしょ……。ちょっと暗くて心配だったから毎日朝と帰りの挨拶をしたり、義理だけどチ、チョコだって……」

「あー。あの名無しの……」

「私、名前書き忘れてた?……。で、でもお父様が私の話をしていたでしょう?」

「そのすみません。綾斗があんまり学校の話はしたくないと思って野宮さんの事は伝えてないんです」

「なっ!? わ、私、綾斗君がダンジョンでレベル上げを頑張ってる姿を見てた事もあって……無視されてしまったけど声を掛けた事もあるのよ」

「レ、レベル上げ中は集中したいから、耳栓と遮音出来る『バリア』も併用してたからその……」

「わ、私馬鹿みたい……」


 ガックリと肩を落とす野宮さん。

 知らない間に傷つけたのは申し訳ないけどどうしようもないよ。


「あの、元気出してください。綾斗、今日は野宮さんと発表を見に行きなさい」

「え? ……分かったよ」

「野宮さん、今日は綾斗をよろしくお願いします。私の代わりを頼むのは妹の麗華でも無理だったから助かるよ」

「……。はい! 任されました!」


 水を得た魚のように元気を取り戻す野宮さん。

 急な女子とのお出掛け……ヤバい緊張して吐きそうなんだけど。

お読みいただきありがとうございます。

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