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ベヒモスの驚異
「ベヒモス、ですか」
「まさかこんな所に巣食うとはねぇ」
でかい身体の割に狭い場所が好みなのだろうか?
「紅き水よ、廻れ、廻れ、廻れ。穿ち貫け。我が剣閃」
詠唱と共に振るわれる剣閃。その数3。
しかし振るったあとも赤い軌跡が残った。
赤い軌跡の正体は魔法によって待機状態にあった血の弾丸。
線が解けて横向きの豪雨の如くベヒモスに襲いかかる。
轟音と水煙が辺りを支配する。
「嘘でしょう・・・・・」
全くの同感だった。
少なくとも大岩を削って消滅させるくらいの威力があったであろう魔法を受けて、無傷。
いや、多少は傷ついてるか。
それにより完全に怒り狂いこちらを敵認定した。
「集え風の精霊。逆巻く牢獄。削れ。砕け。大いなる獣」
竜巻の牢獄。
対象を捕捉して竜巻の中に閉じ込める。竜巻の中は無数の風刃が飛び交い体を切り刻む。
それすらもベヒモスは力付くで突破した。
あぁ、これは相性が悪い。
手持ちの斬撃系ダメージの魔法ではあの毛皮を突破出来ない。
有効打を与えるなら刺突や打撃、炎や雷か。
仕方ない。少し辛いけど、やるしかない、か。




