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おかえり

翌週。


予告通りレンは会社を辞めていった。


送別会もない。


花束もない。


最後までレンらしい、あっさりした終わり方だった。


レンは帰る前にタクミを見る。


お互い軽く会釈する。


それだけだった。


ヒナをよろしく頼みます!。


任せてください!。


そんなドラマみたいな会話はない。


ただ、それだけで十分だった。


「でも、これでもうヒナとレンに会うこともないんだろうな」


タクミは窓の外を見る。


不思議なことに、そこまで寂しくはなかった。



家へ帰る。


タクミはパソコンの電源を入れた。


ヘッドセットを付ける。


コントローラーを握る。


そしてフロンティアクエストにログインする。


ゲームが始まる。


城の中を歩く。


食堂の前まで来る。


そして扉を開いた。


誰もいない。


がらんとした食堂だった。


テーブルの椅子に腰かける。


タクミは深いため息をつく。


「もういいから出てこいよ」


沈黙。


すると。


鎧の陰からロロとララが現れた。


「ばれたか」


「つまんないの」


二人はクスクス笑う。


「あれ?」


「もう一人は?」


その瞬間だった。


テーブルの下からヒナが飛び出す。


「わっ!」


そのままタクミへ体当たりした。


二人まとめて床へ転がる。


「いてて……」


タクミが顔を上げる。


目の前でヒナが満面の笑みを浮かべていた。


「びっくりした?」


「びっくりしたよ」


ヒナは声を上げて笑った。


ララが首を傾げる。


「あれ?」


「アルスの名前が変わってるよ」


タクミが立ち上がる。


「ああ」


「ヒナに合わせたんだ」


ロロが呆れた顔をする。


「本名でやるとか小学生かよ」


「うるせーな!」


ヒナも笑う。


タクミも笑った。


誰もいなくなったと思っていた世界は。


ちゃんとそこに残っていた。


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