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コピー&ペースト

滝の洞窟を三人は全力で走っていた。


大小さまざまな部屋を抜け、青く輝く滝の裏を駆け抜ける。


ロロがマップを開いた。


「一番近いルートは……」


「西の扉!」


ヒナの声と同時に三人は扉を開き、そのまま近くの滝つぼへ飛び込んだ。


激しい水流に流されながら進み、たどり着いた先には炎の木が見えている。


「見えた!」


ララが叫ぶ。


「あと三分しかないよ!」


「急ごう!」


ヒナが走り出した、その時だった。


「あっ!」


身体が前につんのめり、そのまま地面へ倒れ込む。


ロロとララが慌てて駆け戻った。


「ヒナ!」


二人が足元を見る。


そこには緑色のツタが絡みついていた。


ララの顔色が変わる。


「これって……」


ロロが唇を噛んだ。


「捕まり草だ」


ヒナは必死にツタを引っ張る。


だが全く外れない。


「お願い!これをほどいて!」


ロロとララは悲しそうな顔をした。


「無理だ……」


「この罠は専用アイテムがないと解除できない」


「僕らの魔法でも外せないんだ」


ヒナの顔から血の気が引いた。


炎の木は目の前なのに届かない。


時間だけが無情に過ぎていく。


やがてヒナは俯き、そしてゆっくり顔を上げた。


「わかった」


ロロとララが目を見開く。


「二人とも行って」


「私のことはいいから!」


「早く!」


ララは悔しそうに涙をこぼした。


ロロはしばらく黙り込んでいたが、やがてヒナの手を握る。


「よく聞いて」


「え?」


「僕らがバグで分身したの覚えてる?」


ヒナは頷いた。


「うん」


「ヒナも同じことをやってみるんだ」


ララも反対側の手を握る。


「ヒナならできる!」


ヒナは二人を見た。


そして目を閉じる。


「コピペしろ……」


何も起こらない。


「もっと強く!」


ロロが叫ぶ。


ヒナは拳を握り締めた。


「コピペしろ!!」


次の瞬間だった。


ポンッ。


ヒナの目の前に、もう一人のヒナが現れる。


「できた!」


ララが叫ぶ。


ロロは即座に動いた。


「急げ!」


二人は分身したヒナの手を掴み、全力で走り出す。


そして炎の木の前にある落とし穴へ飛び込んだ。



現実世界。


タクミはUSBメモリへの転送状況を見つめていた。


画面には大量のファイルが並び、ぽつぽつとデータが増えていく。


「いいぞ……」


タクミは拳を握った。


「頑張れ……!」


転送ゲージが伸びる。


少しずつ、少しずつ。


そしてピタリと止まった。


タクミは息を呑む。


――転送完了。


表示された文字を見た瞬間、USBメモリを引き抜く。


そのまま新エンジンへ初期化コマンドを実行した。


画面に警告メッセージが表示される。


タクミは迷わず実行を押した。


数秒後。


――初期化を開始します。


タクミは椅子へ深くもたれかかった。


胸にUSBメモリを押し当てる。


「はぁ……」


大きく息を吐いた。


助かったのか。


失敗したのか。


まだ分からない。


だが今は、やれることは全部やった。


タクミは静かに目を閉じた。


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