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身バレ

ロロとララが慌てた様子で走ってきた。


「ヒナ! 見て見て!」


ヒナが首を傾げる。


「どうしたの?」


次の瞬間、ロロとララの身体が光った。


そして――。


二人が四人になった。


「えっ!? 何それ!? 魔法?」


四人のロロとララが同時に笑う。


だが。


ポンッ。


分身した方が消えた。


「バグってやつだよ。なかなか面白いでしょ」


ロロが頭を掻く。


「シミュレータの機械だからかな」


ララも頷いた。


「試しにやってみたら出来たのよ」


ヒナは感心したように笑う。


「すごい。自分自身をコピーしたのね」


その時、食堂の扉が開いた。


アルスだった。


「よう、楽しそうだな」


ヒナが振り返る。


「なんかね。二人が増える方法見つけたんだって」


アルスは苦笑した。


「開発部に伝えておくよ」


ヒナはじっとアルスを見る。


「どうしたの? 元気ないわね」


アルスは肩をすくめた。


「ちょっとね」


ララがニヤニヤする。


「もしかして、恋人に振られた話?」


「お前ら、聞いてたのかよ」


アルスが顔をしかめる。


ヒナは笑った。


「じゃあ今度は私が聞いてあげる。話してみなさいよ」



アルスは椅子に腰を下ろし、しばらく黙ってから話し始めた。


「仕事から帰ったら置き手紙があった。何も言わずに出て行って、

それから連絡も取れない。理由も分からない」


ヒナは黙って聞いている。


「最初は怒ったよ。今まであれだけ尽くしたのに、

まさか他の男に取られるなんて」


アルスは自嘲気味に笑った。


「頭がおかしくなりそうだった。」


ロロが呟く。


「実際なったけどな」


ヒナが睨むと、ロロは黙った。


「でも違ったんだ」


アルスは静かに続ける。


「良かれと思ってやってたことが、ずっと彼女を傷つけていた」


ヒナは心配そうな顔をした。


「じゃあこれからどうするの?」


アルスは少し考える。


「分からない。でも俺はまだ彼女を愛してる」


ヒナは何も言わなかった。


静かな沈黙が流れる。


やがてアルスが立ち上がった。


「そろそろ飯落ちかな。さみしく一人飯だけど」


画面の外では、タクミがログアウトにカーソルを合わせる。


その時だった。


「待って!」


ヒナが叫ぶ。


タクミの手が止まる。


「ログアウトしないで!」


「え?」


ヒナはアルスを見つめる。


いや。


もっと遠く――画面の向こうを見るように。


「どうしたの?」


ヒナはゆっくりと言った。


「アルス。あなた…」


「もしかしてタクミなんじゃないの?」



画面の外で、タクミは固まった。


ログアウトをキャンセルし、ゲームへ戻る。


アルスは苦笑した。


「何言ってるんだよ。別人だよ」


だがヒナは首を振る。


「違う。だって似てるもの」


「何が?」


「話し方」


ヒナは一歩近づく。


「それに滝の洞窟。現実のタクミも、あそこ自分が1人作ったって言ってた。

だけどあなたも同じことを言った」


アルスの表情が止まる。


ヒナはさらに詰め寄る。


「ティアラのこともそう」


沈黙。


ロロとララも固唾を呑んで見守っていた。


「やっぱりタクミなんでしょ?」


アルスは目を閉じた。


数秒後、観念したように頷く。


「……ああ」


ヒナはアルスの鎧を掴んだ。


「じゃあ教えて!」


声が震えている。


「なんで現実の私はタクミの元を去ったの!?」


アルスは悲しそうな表情になる。


「実は…」


「実は、それが僕も一番知りたいんだ」


ヒナは固まった。


部屋から音が消えたようだった。



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