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グリウェの使者

ラクスはすっかり受け入れられ、アーブ王国のクォーツヴィジョンやマギネットでは毎日その話題で持ち切りだった。

だがそれを快く思わない何者かが挑戦状を叩きつけた!

グリヴェの神と名乗る謎の存在を調査するため、リヒトとアイリスとヒオは宗教団体「炎の道」へと調査に向かう。

果たしてグリヴェとは何者なのか?

 ピースが探査隊の仲間に加わり一週間、隊の癒し枠としてすっかり馴染み、その愛くるしい様子は探査隊だけではなく、エクスレイドを飛び越え国家の防衛に携わる者達にまで広がっていた。


「ほいよピース、朝ごはんだ」


 皿に乗せられた穀物に細かく切った肉を混ぜたものを出されたピースは、リヒトに笑顔を向けてから夢中で食べ始める。


「はぁ~……がっついてるのか~わ~い~い~」

「おいおい、また撮ってるの?」


 現実世界でのスマホのような一般向けに普及している魔道具であるMQ(マルチクォーツ)で、ヒオはピースの朝食風景を撮影していた。


「はぁ~、明日から私がごはん作ってあげるからねぇ~」

「いやいや、君料理作れないでしょ?」

「なによぅ、私だって……」

「じゃあ味見出来る?」

「うっ……それは……ヴェルクにやってもらうし!」

「〝味見〟って言わねぇよ、そりゃ〝毒見〟ってんだ」

「あっ! 言ったな!」


 ヒオは植物と共生し、森の中で暮らしているアールヴ族の中でも特に純度の高いホワイト・アールヴであり、食べ物を経口摂取しない。

 よって肉の味はおろか野菜の味すらわからない為、料理などさせようものなら食べた者の健康に壊滅的な被害が出る。


「フン! 意地悪な男どもめ」


 頬を膨らませたヒオは朝食用の鉢植えのチューリップに手を翳して栄養を受け取り、それを見たリヒトはヴェルクと目を合わせて互いに肩を竦めるのだった。


「それにしても、ここ三日は平和ですね」

「そうだな、通信指令隊からの報告すらないってなかなか珍しいよな」


 クォーツモニターをつけてQVの朝のローカルバラエティニュース番組に合わせると、丁度天気予報がやっていた。


「今日も晴れか、仕事上がりにマギ横行くかな」

「あ、ヴェルクさんも行かれるんですか? 僕も行こうと思ってたんですよね。魔道具の材料を買おうと思ってて」

「マギ横か……美味いと評判の少し気になる店があってな」

「じゃあ隊長と三人で行きます?」

「ああ、悪くないな」

「隊長ォ……ヘヘヘ」


 ヴェルクがニヤリと笑って見せ、アイリスは深く溜息を()いて言った。

 

「分かってるよ、私の奢りだ」

「いやーさっすが我らがアイリス隊長! ふとっぱ……懐デカい! 最高! 絶世の美女!」

「褒めすぎだよ」


 そんなやり取りをしていると番組は次のコーナーに移っていた。


「おお、ラクス特集だってよ」

「ああ、そういえば広報隊のルビーが出るって言ってたっけ」


 何やら黙々と作業をしていたウェンディも手を止め、探査隊全員が画面に釘付けになる。


『今回は最近アーブを超えてハイポリアの注目の的となっている、アノ人? についてです! ではここでゲストの方を紹介します、エクスレイド広報隊のルビー・リーランドさんでーす!』

『はーいアーブ王国の皆さ~ん、おはようございます! エクスレイド広報隊宣伝部長! 戦うアイドル! ルビー・リーランドです! よろしくお願いしまーす』


 エクスレイドは国民に対して親しみを持ってもらう為、広報活動にも力を入れている。

 その前線に立つのが、妖精族のルビーである。


『ではルビーさん、今回は何を取り上げてくれるんですか~?』

『今回はですねぇ……モンスターを倒す輝く巨人、ルミナス・ギガントのラクスについてお話ししたいと思います!』


 ニュースキャスターやコメンテーターのアカデミアの名物教授、そしてコメディアンを相手取り、ルビーはラクスについて熱心に語り、巷で囁かれる根拠なき噂を否定して今わかっている事実のみを笑いを取りつつもしっかりと伝えていた。


「ルビーってあんなキャラだけど、広報としては超シゴデキだよね」

「すごいよな、話もうまいし」


 そんな中でリヒトは、徐々にラクスが世に受け入れられている事実に喜ばしいものを感じていた。


『何だかこういう感覚……ちょっと慣れないな』

『どうして? 広く認知され肯定されるのは喜ばしい事じゃないのか?』

『いやぁ、あっちじゃ存在を秘匿されてきたから、なんか色んな人達に見られてるの慣れなくてさ……まあこれからは色んな人達が僕達を見ている訳だから、戦い方と立ち振る舞いには気を付けないとね』

『そうだな、関係性というのは脆く崩れやすい。共に頑張って行こう、私は常に君の味方だよリヒト』

『ああ、僕と君は一心同体だ。最後の最後までこの戦いをやり抜いて……いつか必ず帰るんだ』


 リヒトは跡が残る左手の薬指を撫で、元居た世界に思いを馳せるのであった。


「ん? なんだろ?」


 何か違和感を覚えているのか、ヒオが耳元を触って首を傾げている。


「どうしたヒオ?」

「何かQVの音変じゃないですか?」

「クォーツモニターの故障かな?」


 その時、満腹で寛いでいたピースがいきなり唸り始め、まだ小さな歯を剥き出してクォーツモニターを睨みつけた。


「ピースまでおかしくなっちまったぞ! なんかあんのか?」


 皆が困惑していると映像が徐々に乱れ始め、やがて真っ暗な場所に不気味に炎が揺らめいている映像に変わった。


「……これのせいか」


 しばらく炎が揺らめく映像が続いたが、やがて炎の中に不気味な顔が現れ、低く不気味な声で語り出した。


『アーブの民……エクスレイド……異邦の……偽りの神を……崇め……称賛する……その有様に……我らの真の神にして……唯一(ただひとり)の新世界の主……グリウェは怒っておられるぞ……』


 探査隊六人の顔が徐々に険しくなっていく。


『偽りの神……ラクスを追放し……我々と共に歩むがよい……さすればグリウェは汝らを許し……楽園の道は開かれん……』


 顔が浮かんだ不気味な炎の映像は消え、やがて混乱状態のスタジオが映し出された。


『落ち着いてください! 良いですか? これは……』


 大混乱のスタジオを眺めながら、リヒトはぽつりと呟いた。


「飛んだ放送事故だぜ」


 


 言うまでも無くエクスレイドに通報が殺到し、この一件をどのように扱えば良いか分からないが、とりあえず探査隊の出動が決定した。


「キーワードは〝炎〟と〝グリウェ〟そして〝神〟だな」

「それに関してはすぐに出てきました。こちらです」


 イーライが自分のクォーツパッドを操作してクォーツモニターに映像を投影した。


「宗教団体?」

「ええ、近年アーブだけではなく、ハイポリア全土で急激にその勢力を伸ばしつつある『炎の道ウェイ・オブ・ザ・フレイム』という宗教団体ですね」

 

 イーライ曰く炎の道は、モンスター被害の拡大は世界の終末が近付いているからだと声高に主張し、恐怖心と選民意識に浸け込む形で様々な人々を取り込んで拡大しつつあり、去年アーブの首都のアーブトピアに礼拝堂兼共同生活エリアを建てたという。


「じゃあそのインチキ宗教団体が信仰してる神様ってぇのがグリウェって訳か?」

「そうですね、彼らはグリウェがモンスター蔓延る世界を炎で焼き尽くし、楽園(しんせかい)を建造する救世主だと信じています」

「だから炎の道なのね」

「その新世界建造の為に、この世界を維持するラクスが邪魔って事か」

「カーッ! 邪魔者扱いなら百歩譲って良いけどよ、偽りの神ってのはいただけねぇよな‼ だいたい何が終末だ、世界は簡単にくたばったりしねぇっての!」


 ヴェルクが忌々しげに吐き捨てた言葉に賛同するように、ヒオは何度も頷いた。


「まあ僕もヴェルク君と同じ意見ですが、アーブトピアどころか王国全部のQV局の魔術回線をジャックするような真似が出来るのは……」

「そんなの誰かの仕業に決まってらぁ! 規模がそこそこデカけりゃそういう知識を持ってるヤツぐらい居んだろ?」

「人の手にしろ、神の手にしろ……」


 ヒートアップしたヴェルクを宥めるようにアイリスが立ち上がり、モニターの前までゆっくりと歩きながら言った。


「我々が名指しされた以上、どうにか動かなくてはならない。国民の安全を守るにあたり、デマや誤情報を流されていると印象付けられたら、これからの活動は円滑に行うことが出来なくなる」


 アイリスの静かながら内側から滾る熱を帯びた言葉に、五人の身が引き締まる。


「何としても今回の事件、我々エクスレイドと国民の信頼にかけて解決しなくてはならない、いいな?」


 そのまま作戦会議が始まり、まずは炎の道について調べる事になった。

 だがしかし。


「炎の道は独自のコミュニティを築いている事もあってか、あまり有効な情報が無いんです」

「そうか、コミュニティ用の施設建てたって言ってたもんなぁ」

「要は外側からだと分からないんでしょ? だったら内側から暴いちゃえば良いじゃない」

「内側からって……どうすれば良いのよ」

「簡単だよ」


 リヒトは二ッと笑って短く言った。


「潜入」



 

 そこからエクスレイドの行動は早かった。

 アーブトピア内の炎の道に連絡を取り、アイリス、ヒオ、そしてリヒトが今朝の一件の捜査の名目で、コミュニティへ立ち入ることになった。


「しかしキャプテン……これはただの捜査ですよ?」

『ええ、分かっています。ですが何と言いますか、私の種族としての性質(タチ)と長年の経験が何やら良からぬ事が起こると告げているのです』


 今アーブトピア内では三機のチャリオッツが巡回している。

 バーンズが独断でパトロールに行かせたのだ。

 

『今待機しているランスロット小隊は腕利きです、何かあってもすぐに駆け付ける事が出来ますよ』

「ええ、お気遣い感謝いたします。何かあればすぐに連絡します」

『頼りにしていますよ、お気を付けて』


 バーンズとの魔術通信を終え、アイリスは目の前の巨大な塔を備える建物を見上げる。


「行きましょう、約束の時間です」

「ああ、油断するなよ。相手はプロの人心掌握術の持ち主だからな」


 三人は玄関に近付き、リヒトがドアノッカーを使って戸を叩くと、ドアの装飾の一部が映像記録水晶へと変わった。


「どうもエクスレイドです」


 ライセンスと顔写真が入った手帳を三人が差し出すと、水晶が引っ込んで鍵が開く。


「お待ちしておりました、どうぞ中へ」


 抽象化した炎のエンブレムが彫られたメダリオンを首から提げ、ゆったりとした薄橙の服に襟飾りを纏ったにこやかな顔の男女が三人を出迎え、リヒトは笑顔を浮かべながらも警戒して中へと入った。


「どうもエクスレイドの探査隊の皆様、私はこのアーブトピアコミュニティの教区長オットーと申します。今回はごゆっくりなさって行ってください」

「歓迎に感謝いたします、しかし我々は遊びに来た訳ではありません。今朝の一件の捜査の為に来たのです、どうかご理解を」

「……そうですか、ですがここを出る時には分かるでしょう、我らが神グリウェの正当性がね」


 リヒトの目に一瞬鈍い光が宿るも、すぐに笑顔を浮かべてオットーに向けて言った。


「そうですか、ですが僕達三人は炎の道(あなたたち)の事を全く知らない。どうですか、ここはひとつこの施設を案内しながら話をするというのは」

「なるほど、いい考えだ。案内しましょう、どうぞこちらへ」


 オットーが後ろを向いた隙に、リヒトはヒオに目配せし、ヒオは微かに頷いて見せた。

 もしも怪しい痕跡があれば、アールヴ特有の感知力で何か分かるのではないかと踏んだのだ。


「現在ここには百三十五人の信徒が生活しています。私を含め上級信徒、いわば指導層の下で勤勉かつ慎ましい暮らしを行っております。現時刻は自由時間ですゆえ、このホールで余暇を楽しんでおられると思います」


 扉の先には、オットーと似たようなゆったりとした薄橙色の服を着ている様々な種族の老若男女が寛いでいた。


「おおい、皆! エクスレイドの方が話を聞きたいそうだ、少し相手になってあげてくれ」


 三人は顔を見合わせ、とりあえずそれぞれで話を聞き、施設を見て回る事にした。


 

 

「オットー教区長、この団体の代表として、今朝の放送の意見を聞きたい」


 少し施設内を見て回った後、アイリスは応接間でオットーと対面する。


「ええまぁ……我々もルミナスことラクスの事は好意的に見ていました、ですがグリウェがあのようにおっしゃったのであれば、我々としてもその方針を支持するしかありませんな」

「それが本当に神の啓示なのですか?」

「何が言いたいのです?」

「私の部下の中にはQV局の魔術回線がジャックされたと考えている者が居ましてね」


 オットーのにこやかな顔が、わずかながら痙攣する。


「我々がやったと?」

「そこを含めての調査です。エクスレイドはモンスターというある種の災害と戦っている、名指しでデマをばら撒いていると言われた以上、真相を究明しなくてはならない。私はそう考えています」


 お互い口調こそ丁寧なものの、冷たく緊張した空気が応接間に滞留した。



 

「ここが上級信徒の方達が祈祷や勉学に使っているお部屋です」


 ノクス・アールヴのピリサという少女に案内され、リヒトとヒオは施設内を見て回っていた。


「へぇ、挨拶しておこうかな。中見せてもらえる?」


 ピリサが扉を開けると、中の上級信徒たちは少し嫌な顔をしたものの、リヒトとヒオが居ると分かった途端に笑みを浮かべて会釈をする。


「今皆さん……忙しかったみたいですね」


 だがヒオは上級信徒達が浮かべた嫌な顔の理由は、忙しい所を邪魔されたからではないと察知していた。


「ねぇ」

「ああ」


 短く言葉を交わした後、リヒトとヒオは部屋の隅へと向かい、小声でやり取りを始める。


「ここ、そこそこきな臭いな」

「うん、それに見た? 上級信徒」

「そうだな、ありゃ変だよ」

「あんなに沢山の種族が居たのに、上級信徒は人間しかいない」


 思い返せばすれ違った上級信徒の証である襟飾りを付けていたのは人間だけで、アールヴや獣人は見なかった。


「まあ、きな臭いってだけで咎める事も出来ないし……」

「どうしたの?」


 どこかからリヒトを呼ぶ声なき声がする、そこへ目を向けると中学生程の少年がこちらをじっと見ているではないか。


「ヒオ、ちょっと続けて話聞いててくれない?」

「どこに行くの?」

「ちょっと気になる事があったんだ、行って来る」



 

 リヒトが少年を追っていると、そのうち人気(ひとけ)が無い場所へと向かって行き、階段が目について見上げると、あの少年が中二階に待っていた。


「何か僕に用かな?」


 声を掛けた途端少年の瞳の中に炎が揺らめき、リヒトは思わず警戒態勢に入る。


「そう警戒せずともよい異邦人よ」

「その子本人じゃないな?」

「左様、我は信徒の体を借りておるだけ」

「お前は誰だ?」

「フフフフ……我は御使(みつかい)、グリウェの使者」


 ここで代弁者が登場した事に、思わずリヒトは笑みをこぼしてしまった。


「グリウェの天使様がエクスレイドの一般団員風情に何のご用事で?」

「一般人だと? 違う。貴様は他とは違う何かを持っておる、グリウェはそうしたものを傍に置きたいとお考えだ」

「僕がそうだと?」

「ああ、お前の上司の女にもグリウェは目をかけておる」

「隊長にも?」


 グリウェの意図が分からない、何故ラクス本人である自分を勧誘したのだろうか。



「ちょっといいかな?」

「えっ? ああ、どうぞ」


 隣に座ったヒオを見て、ピリサは本を閉じてからぽつりと呟くように言った。


「あなたって……ホワイトでしょ?」

「う、うん。そうだけど」

「ホワイトのアールヴって初めて見た気がするな」

「そう……ゴメン、気を遣わせちゃったかな?」


 アールヴは長寿で非常に古い種族であるが故に、とっくに廃止されたはずの階級意識を未だに持つ者も多い。

 まず一般的なアールヴである昼の(ルミン)アールヴと、浅黒い肌をした夜の(ノクス)アールヴ。更にルミン・アールヴでも細分化されており、その頂点に立つのがホワイト・アールヴなのだ。

 ヒオはそんな消えたはずの仕来りに囚われた生家が窮屈で仕方なく、生まれ故郷の森を飛び出してきたのだ。


「いいえ、私そもそもアールヴに会った事自体が少ないの。ここに来る前……私はバッド・ハンズに居たから」

「……」


 ヒオが言葉を失うのも無理はない、そこはアーブ、その隣国のギルモアス、混淆自治区や森と隣接する無法地帯なのだ。

 治安の程は「一度入らば命までも盗られると思え」と謳われるほど最悪である。


「どうしてここに来れたの?」

「……労働力が必要だったんだって。グリウェ様は人間以外の種をモンスターの落胤だって言って滅ぼす気だったらしいけど、祈る人々に奉仕をすれば罪は消えて楽園に行けるから」


 何という言い草だ、酷いにも程がある。ヒオは瞬間的に立ち上がってピリサを連れ出そうとしそうになったが、それでは解決にならないと拳を握って耐える。


「そんな事で……良いの? 逃げ出そうって思ったことは?」


 ピリサは目に暗い光を灯しながら首を振って答えた。


「ここはあそこよりひどい事をする人は居ないし、誰も私を闇の(ダーク)アールヴなんて言わない。それにちゃんと働けばご飯も住む所もくれるんだよ? それにここ以外に行くところなんて……私には無いんだ」


 強き炎の生みだす影が、ここに一つ落ちていた。


 


「あなた方がやっている事は立派です、ご活躍を耳にする度、私はそう思っておりました」


 オットーの発言に真意を図りかねたアイリスは眉を顰める。


「ですがもういいでしょう。苦しんで死ぬ思いをするのは嫌でしょう?」

「もう良いとは?」

「全てを神に委ねるのですよ」


 これが本意かとアイリスは手首を揉んで身構える。


「もはやモンスターは人の手に余るようになってきた。もう人に出来る事は終わり、それ以上の存在による救済が必要なのですよ」

「だからあなた方の神に跪けと?」

「ええ、グリウェならそれが出来る。アーブやハイポリアにそれを広める必要がある! 今日はその一歩ですよ……」

「それは今朝の一件に一枚噛んでいると認めたという事でよろしいか」

「グリウェの神託に従ったまでですよ。彼の神はハイポリアを救ってくださるのです! あなたのような高潔なお人ならばグリウェもきっと気に入りましょう、どうですか? 我らと共に歩みませんか?」

「お断りする」


 毅然として言い放ったアイリスは、立ち上がってつらつらと言葉を紡いだ。


「第一私は人に出来る事は終わったなどとは思っていない。様々な種族が協力してモンスターという災害に一丸となって立ち向かう。その中に傷付きあるいは命を落とす者も居るかもしれない、だがしかし彼らの死を無駄にしないためにも、我々は戦い続ける必要がある」

「なっ……何故⁉」

「もう誰もモンスターによって無辜の民が危険に晒されなくなったと、胸を張って言える未来のために、我々の精一杯の努力でそれを掴む為に血反吐を吐いて泥を被ろうが戦い続ける必要があるのです」


 開いた口が塞がらないといった様子のオットーを前に、アイリスは止まらず続けた。


「ぽっと出のどことも知れない存在に上から目線で救ってやるなどと言われようが、私は喜んでその手を払います。平和の為の戦いの茨の道の方がよっぽど尊く輝いている」


 詰め寄ろうとしたオットーをの前に、アイリスは左手の甲を見せた。


「そ……それは!」

「迂闊でしたな教区長、あなたの発言は私の優秀な部下がしっかり記録している事でしょう」


 先程手首を揉んでいたのは、クォーツシーバーを操作する為だったのだ。


「今朝の一件について詳しくお話を聞かせてもらいます。後ほどここにもエクスレイドの立ち入りがあるでしょう」

「まっ……待ってくれ! グリウェは本当に居るんだ!」


 喚くオットーに構う事なく、アイリスは魔術手錠を取り出してその手に掛けるのだった。




「なぜ僕なんだ?」

「貴様の魂は高潔で他より高い所にある。フフフ、もし貴様が来たらグリウェは大層満足なさるだろう」


 どうやらラクスとはバレていないらしい、ソルティアとの融合によって上昇しつつある魂の次元を見抜かれたようだ。


「そうか、ヒオはどうして誘わないの? 彼女は結構優秀だけど」

「フン、亜人共には興味はないわ」

「亜人って……」


 それはハイポリアどころか、ドリーム・ワールド内では禁句クラスの差別用語である。

 来たばかりの頃、これだけは特に重点的に教えられた。


「我が主が欲しいのは人間からの信仰、それこそ力を付けるために必要な事なのだ」

「力を取り戻した先に、何があるんだ?」

「決まっている、グリウェを主とした楽園の建造よ。そのために邪魔なものは全て排除する、ラクスは手始めだ」

「ふーん……大っぴらにそんな事言わないあたり、後ろ暗い自覚はあるワケ?」

「何とでも言え、どうだ来ないか? 貴様の願うもの全てを出してやろう。貴様には待ち人が居るだろう?」

「分かるんだ……」


 ここでグリウェに委ねれば、今すぐにでも元の世界へ帰る事が出来るのかもしれない。

 それは確かに魅力的な提案だった。


「答えは決まったようだな。聞かせてもらおうか」

「ああ、僕の答えはこれさ」


 リヒトはワンドブラスターを抜くと躊躇なく少年を撃ち抜き、グリウェの使者は驚愕のあまり絶叫する。


「何故だぁぁぁあああっ! 何故拒否するぅぅううっ! 何故撃ったぁぁああっ!」

「勧誘する相手を間違えたな、僕は自分の欲しいものは自分自身の手で掴み取る主義でね。誰しも甘い誘惑で乗ってくると思うな! あまり人を見縊るなよ‼」

「この信徒はただの人間だぞぉぉぉっ!」

「バカめ。僕が撃ったのはお前自身だ」


 リヒトはワンドブラスターの機能を切り替えて憑依強制分離魔術を使い、少年に憑依した使者を強制的に引き剥がしたのだ。


「必ずや! 必ずや罰が下るぞ! アーブトピアに報いをぉおおおっ!」


 崩れ落ちた少年の体から黒煙のようなものが噴出し、呪詛を残して尾を引きながら天井へと消えていく。


「望む所だ、お前のような他者を平然と利用する奴には断固として立ち向かってやる」




 エクスレイドの通報で駆け付けた治安維持兵達が踏み込み、上級信徒達を次々と拘束していくなか、オットーはアイリスに向かって叫び続けていた。


「あなたは信じていないかもしれないが! グリウェは本当に居るんだ! さっきだって私へ語り掛けてきた! あなたを炎の道に誘えと!」

「往生際が悪いな」


 アイリスの隣に居たリヒトが呟き、ヒオがまるで汚物でも見るかのような視線を浴びせる。


「憶測ですけど、ここ結構きな臭いですよ。上級信徒の為にバッド・ハンズから労働力を確保していた疑惑があります」

「そこら辺は治安維持兵(かれら)の仕事だ。私達に出来る事はここまで」

「そうですよね、あくまで私達の本分はモンスター対策……」

「そんなに落ち込むことは無いよ、まあきっと今回の事で何かしら動いて……」


 その時、リヒトとヒオの感覚が空気の異変を捉えた。


「なんだ?」

「何この……イヤな感じ?」


 その感覚が像を結ぶかのように、降り注ぐ太陽の光が分厚く黒い雲に覆われ、アーブトピアは薄闇に覆われた。


「これは……」

『こちらランスロット小隊長ラファエロ・ヴィエルヌ、アイリス隊長聞こえますか?』

「小隊長、何があった?」

『まだ明確に何が起こっているかは分かりませんが、強烈な魔法的エネルギーがこの黒雲を作り出していると考えられます』


 ヒオの言う嫌な感じも、この黒雲を作り出しているエネルギーが影響しているのだろうか。


『これは! 警戒してください! 高エネルギーが収束しています!』


 ラファエロ小隊の紅一点であるコレットの言う通り、黒雲の一点が渦を巻いてその中心に眩い光を放ち始めている。


「なんだ⁉ モンスターか?」

「ああっ! これは!」


 オットーを始めとする上級信徒達の首に掛けられた炎のメダリオンが、燐光を発していた。


御使(みつかい)だ! 御使が降臨なさったんだ! グリウェが使者を遣わされたぞ!」

「そんな……グリウェなんてインチキじゃなかったの⁉」

「いいや、少なくともインチキではないよ……けどここまでの力を持つとは想定外だったな」


 黒雲の渦の光は巨大な人型となり、炎を纏った天使のようなものがゆっくりと地面へ降り立って行く。


「グリウェの御使よ! 偉大なる救世主の使者よ! 我らの世界をお救いください!」


 信徒たちが跪いて祈り始める中、リヒトがワンドブラスターを構えるもアイリスに阻止される。


「まだ撃つな、向こうの出方を伺うべきだ」

「しかし隊長!」

「リヒト、相手は宗教だ。もしかしたらあれは本当に信者がいる神の使いかもしれないんだ。何も被害がない以上、こちらからの攻撃は避けるべきだ」


 リヒトは引き下がり、ゆっくりと降りてくる炎の天使を見つめた。


「グリウェの御使よ! どうぞその御姿を我らに……」


 大勢の祈りの言葉と共に降り立った炎の天使は、光のベールを自ら剥ぎ取ってその姿を現した。


「我らの世界を……はっ?」

「うっ……」

「これが……神の使いだとでも言うの⁉」


 それは天使というにはあまりにも悍ましい、焼け爛れた皮膚がロールシャッハのような模様を形成し、更に体の各部には目のような器官が蠢いていた。


「あれが……我らが御使のお姿か⁉」


 炎の道の信徒たちですらたじろいでいると、御使はいきなり偶蹄類と人間の顔を無理矢理組み合わせたかのような頭部を震わせ、そこから低い異音を発し始めた。


「あいつ……笑ってやがるのか⁉」


 異形の御使は不気味な笑い声を上げると、近くにあった建物を腕で粉砕し、その瓦礫がこちらに向かって飛んで来た。


「うわっ!」

「あぐっ!」

「クソッ!」


 リヒトが反射的にラクスになろうとしたその時、ケイが低空飛行しながら盾になって瓦礫を防ぐ。


「隊長! ヒオ! リヒト! 無事か!」


 操縦席のヴェルクの大声が聞こえ、イーライが顔を出してアイリスのクレイモアとヒオの矢筒と弓を投げ渡す。


「あいつはグリアンゲロと名付けました! 今から作戦を開始します! 乗ってください!」

「僕は信徒たちを避難させる! 行ってくれ!」

「分かりました! 危険な時はすぐに連絡を!」


 アイリスとヒオを乗せたケイは黒雲の空へと向かい、三機のチャリオッツ・ランスロットに合流するのであった。




「アイツ……不気味極まりないな」


 ランスロット小隊のキツネ型獣人であるルシアンが、笑いながらアーブトピアを破壊して回るグリアンゲロを見て吐き捨てる。


「ルシアン、奴の弱点は?」

「こんなの初めて見たけど、あの体中に配置されてる目を攻撃してみると良いと思う」

「分かった、じゃあ突撃!」

「コレット、待て!」


 攻撃を仕掛けようとしたコレットを、小隊長(リーダー)のラファエロが制止する。


「どうして⁉」

「聞く所によると奴は神の御使らしいじゃないか、そういうのの相手は慎重になるべきだ!」

「でも今は!」

「コレット、ラフの言う通りだ、上に判断を仰ごう。探査隊、聞こえますか?」


 ルシアンの魔術通信を受け、アイリスがそれに答える。


「アイリスだ、何かあったか?」

「今回の相手は神の使いです、どう動くべきでしょうか」


 イーライやヴェルクの視線がアイリスに集まり、最後に目が合ったヒオが頷いた事によりアイリスは意を決して言葉を紡いだ。


「例えどんな姿をしていようと、例え神の使いや神が相手だろうと、圧倒的な力を暴力に用いる輩と我々は断固として戦わなくてはならない! それがエクスレイドの使命だ!」


 それでこそ我々の隊長だと探査隊の皆は微笑んで頷き、グリアンゲロをターゲットに定める。


「チャリオッツ全機突撃!」


 三機のランスロットとケイの魔術砲が一斉に光条を発射し、グリアンゲロを撃ち抜く。


「コレット! ルシアン! 畳みかけるぞ!」

「エルム・ショット! 発射!」


 葉のような形状の緑色の光弾が連続で放たれ、グリアンゲロはよろめいて片膝をつく。


「トドメだ! 最終魔術砲ファイナル・マギ・カノン解禁!」


 ランスロットの側面から巨大な砲門がせり出し、膝をついたグリアンゲロをロックする。


「アロンダイトスラァーッシュッ‼」


 剣の形状をした青紫の光弾が各ランスロットから放たれ、グリアンゲロに着弾して爆散してしまった。


「よっしゃ!」

「やったぞ!」


 しかし勝利に湧くエクスレイドを嘲笑う様に、あの低く不気味な声が響いき、逆再生の如く爆散したグリアンゲロが体を再生させて立ち上がった。


「何ッ⁉」

「再生できるのか!」


 グリアンゲロは腕に備わった目に腕を突っ込むと、炎が灯るねじくれた棒を取り出し、ランスロットやケイを目掛けて振り回す。


「うっ‼」

「忌々しい剣だぜ、変な形しやがって! 冷却魔術砲を喰らいやがれ!」


 ケイから冷却魔術が噴射されるも、グリアンゲロの炎の剣は更に勢いを増し、火炎弾を放って四機のチャリオッツを牽制してきた。


「クソッ! 神の使いなだけあって一筋縄ではいかねぇってか!」


 魔術砲による攻撃を全て炎の剣で妨害し、剣や各部の目から放つ火炎弾でチャリオッツを追撃する。

 そしてついに。


「しまった!」

「コレット!」


 コレットのランスロットをラファエロが庇い、火炎弾の直撃を喰らって吹き飛ばされてしまう。


「ラフ! ダメッ‼」

「うぉぉおおおおっ!」


 黒雲渦巻くアーブトピアで、不気味な哄笑が響き渡った。



 

 炎の道で信徒の避難誘導をしていたリヒトの第六感が疼き、見上げるとランスロットのうち一機が撃墜されそうになっているではないか。

「まずい!」

「リヒト! 行くぞ!」

「ああ!」

 スパークルトランサーが右腕に出現し、リヒトはジェムを装填しながら走り出した。

「間に合ぇぇえええええっ!」




 ラファエロがなんとか持ち直そうとしている最中、急に外から優しい光が降り注ぎ、四方八方から掛かる衝撃が止まった。


「これは……はっ!」


 キャノピーから外を見ると、銀色の優しい眼差しがこちらを見ていた。


「ラクス! 助けてくれたのか!」


 ラクスはランスロットを地面へと下ろすと、グリアンゲロに向かって戦いの構えを取る。


「とうとうご対面か」


 先程まで笑っていたグリアンゲロだが、主が敵対視するラクスが現れるや否や唸り声を発して威嚇を始めた。


「ゼヤッ!」


 体中から放つ火炎弾を差し向けながらグリアンゲロは走り出し、ラクスは火炎弾をハニカムシャッターで防御しながら突き進む。


「ハッ!」


 ハニカム構造になっている光のシールドの各部から火炎弾が反射され、全てグリアンゲロへと返って行く。


「シャァァアアアアッ!」


 火炎弾を返されたことで怯んだグリアンゲロ目掛け、ラクスはアストロイドボムを手に持って懐に入り込み、体を光輪で切りつけてから頭部にボム部分を押し付けて爆散させてしまった。


「やったぞ!」

「今度こそ頼むぞ……」


 だがやはりあの笑い声が響き渡って爆散したグリアンゲロは復活した挙句、今度はなんと五人に分裂したのである。


「復活だけでなく、分身まで⁉」



「なんて奴だ!」


 ラクスの精神空間でその有様を目撃したリヒトは、思わず感嘆の声を上げた。


「このままだとイタチごっこになり、最終的に私達が負けるぞ」


 リヒトとソルティアの魂の融合により生み出される無敵の戦闘用肉体(アバター)ラクスは、顕界には約数分間という制限が付きまとう、それ以上を超過するとリヒトの魂が耐え切れず焼尽を起こしてしまうのだ。

 残された時間は決して多くない、果たして状況を打開できるのか?


「奴は炎を使うんだろ……だったらこいつだ!」


 リヒトはジェムホルダーから青い縁に橙色のスパークルジェムを取り出し、スパークルトランサーに装填してレバーを押し込んだ。


「ハアアアアアアッ!」


 

 グリアンゲロが五体に分裂した直後、ラクスの方でも変化が起こった。


「おい、ラクスが!」

「炎と水に包まれている⁉」


 足元から発生した炎と水流にラクスの体が包まれ、やがて輝きと共に再びその姿を現した。


「ラクスが……変わった!」


 体の各部の装甲がより軽量化され、深い青に鮮やかな橙色の色彩で彩られた全く新しいスマートな姿に変化していた。

 これがラクスの火と水の属性を宿し、スピードに特化した姿、ラクス・ブリザニングである。


「ゼッ!」


 五体のグリアンゲロが同時に唸り声を響かせて剣を構えて突撃するも、ラクスは一瞬で背後に回り込み、五体全てのグリアンゲロを翻弄して統率を乱した。


「ハァッ!」


 統率が乱れて困惑状態になっている所に、ラクスは跳躍して空中で三連ハイスピンを決めると、グリアンゲロの一体に強烈なキックを叩き込み、吹き飛んだグリアンゲロは氷漬けになった上、粉々に砕け散ってしまった。


「ゼヤアアアアッ……トワァーッ!」


 それを見て怒って向かってきたグリアンゲロの一体の懐に飛び込み、炎と氷をそれぞれ纏った拳を連続で叩き込み、最後に強烈な火炎の拳を叩き込んで胸を穿ち、またもや撃破してしまった。


「グリアンゲロを逆に焼き尽くした!」


 残るは三体、ラクスが腕を交差すると、手首の装飾が輝いて多連装砲に変化し、それぞれに炎と氷の力を込めて手を前に突き出す。



「グリッドミサイルマイトを喰らえぇぇえええええっ!」



 ラクスの中のリヒトの雄叫びと共に炎と氷のミサイルが連射し、三体のうち二体のグリアンゲロを消し炭すら残さず消滅させてしまった。


「ゼッ!」


 ラクスは両手を握り拳にした構えを取り、最後に残ったグリアンゲロと対峙する。

 あっという間に四人も倒されたことに怒ったグリアンゲロは、炎の剣を振り上げてラクスへ斬りかかるも、全身を液状化させたラクスは攻撃を回避して水圧弾を放って牽制して距離を取る。


「ホォォォ……ゼハァッ!」


 ラクスの両腕の手首の装飾が輝いて棒状に変化し、それを取って合体させると、巨大な槍がその手に収まっていた。

 これぞラクス・ブリザニングが愛用する槍、グリッドスパークランスである。


「ヘアッ!」


 グリッドスパークランスに氷の力を纏わせてグリアンゲロの炎の剣と切り結び、三度の打ち合いの末にラクスはグリアンゲロの手首ごと剣を凍らせて武装解除してしまった。



「ソルティア! トドメ行くぞ!」

「ああ! うおおおおおおっ!」



 グリッドスパークランスの穂先から強烈な冷気が放射され、抵抗虚しくグリアンゲロは氷漬けになる。


「ソォ……ゼヤッ!」


 今度はグリッドスパークランスを炎に包むと、ラクスは渾身の力で投擲し、巨大な炎の矢となったグリッドスパークランスは氷像と化したグリアンゲロを完全に粉砕するだけに留まらず、そのまま宙へ飛翔して黒雲を穿って雲を散らしてしまった。


「やった!」

「ラクスが勝った! あの悪魔に勝ったんだ!」


 ケイの中でアイリスがほっと息をつくのを見たラクスは、腕を晴れ渡った空へと伸ばす。


「ゼワッチ!」


 橙と深い青の軌跡を残し、ラクスはアーブトピアの空へと飛び去って行った。




「ありがとう、俺はもう大丈夫さ」


 ランスロット小隊のリーダーであるラファエロは、撃墜されたため医療用簡易テントに運ばれたが、ラクスが墜落を防いだ為幸い大きな怪我はしていなかった。


「そうですか、ですが念のために明日は休んでください」

「わかった、ありがとうシュナイダー」


 待っていたコレットとルシアンに合流し、ラファエロはベースキャメロットへと帰還した。


「今ケンドリック王から連絡があったよ。炎の道について調査するように動くそうだ」

「良かった! これでピリサは……」

「あんなものが出てきたら、もう国政の過干渉とか言っていられる段じゃないですからね」

「まあ何にしろ、無事に奴らを撃破出来て良かったじゃないか、なあ?」

「本当にそうかな?」


 戦勝ムードに水を差すように、リヒトがぽつりと漏らす。


「リヒト、どういう事?」

「今日倒したのはあくまで御使、グリウェ本人は倒されてないんだ。それにあいつら……多分相当しつっこい性格してるだろうから、これから何度も刺客として使者を送って来るかもしれない」


 晴天に輝く太陽に、小さな雲が覆いかぶさって影を作る。


「なんにせよ、(グリウェ)とは長い付き合いになりそうだ」




To Be Continued.

異世界モノやるなら宗教、とくに邪教やりたいと思っていまして、ついにそれが実現した形となりました。

グリヴェとその御使との戦いは、今後も続くことになります。

果たしてどんな手を繰り出して来るのか、お付き合いいただけると嬉しいです。

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ではまた来週!

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