表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『最果て』の先、『終わり』を望む魔女  作者: まるまるくまぐま
一級魔導士フレデリカ
40/45

始祖アフロディナ

「殺さない様に加減してやってたけど…アンタがそのつもりなら、纏めて全員殺してやるわよ!!」

 無詠唱で魔弾の連撃を放ち続けながら、フレデリカは詠唱を始める。

 魔弾を辛うじて弾く受験者たち、そんな彼らの頭上を室内であるのに黒雲が覆い始める。


「いかん!!フレデリカ!!」

 ジェルマンが血相を変えて叫ぶ。

 このままフレデリカが魔法を放てば、将来有望な一級魔導士候補者達が全滅してしまう。

 それは、ランフ魔法協会にとってあまりにも大きな痛手であると同時に、以前反乱を試みた者たちを敵味方問わず虐殺した幼きフレデリカの心を更に傷つけ、二度と立ち直れなくなってしまう可能性がある。

 リスクしか存在しないフレデリカの行動に、ジェルマンは決死の覚悟で走り、魔法を放った。



−−−−−−−−−−−−−−−−−


 

 結果的に、ジェルマンの魔法は間に合わなかった。

 黒き雷雲から落とされた雷は、受験者たちとジェルマンを襲う筈だった。


「雷か…曾てそれを得意とした大馬鹿者な弟子がいたが、遥かに及ばぬな。」

 そんな言葉と共に、光の粒子を撒き散らす様に輝く銀色の長髪が靡いた。

 フレデリカの放った雷の全てが銀髪の女に吸い寄せられ、消失する。

「我が権限をもって宣言する。メヌエール・ド・サン・フレデリカを一級魔導士として認定し、我が弟子とする。」

 女はニヤリと笑い、魔力を解放する。

 地上に存在する重さ…要するに重力を操った様に、その場に存在する全員が地に這い蹲る。

 逆らうなど以ての外、反論、疑問…いや、言葉さえ発することが許されない、そんな圧倒的な魔力と力量の差に、受験者や試験官は(もとい)、魔法を放とうとした天上天下唯我独尊の権現たるフレデリカさえ地に伏し、恐怖に涙を浮かべていた。


「異論はあるまい…まあ、異論があろうと認めぬがな。」

 ジェルマンを見下ろし、そう言う女。

「フレデリカをお願い致します…アフロディナ様の御心のままに…」

 それに対し、死にものぐるいで言葉を絞り出し、そう答えるジェルマン。

 先日、協会の会合で実在するのだと知った神話上の魔女…人の歴史、その開始から存在し、魔法使いの始祖にして、『最果て』の先に到った魔法の創造者。

 全魔法使いの祖にして頂点、世界の調整を行う美しき女神として祀られる魔女…『最果て』の先、果ての果て、その更に果てに到った史上唯一の存在。

 『終わり』の魔女、アフロディナを前に抗える者は存在しない筈であった。



−−−−−−−−−−−−−−−−−

−−−−−−−−−−−−−

−−−−−−−−−



「アフロディナ…神話の贋し…古けりゃ強いなんかあり得ないのよ…進化と発展…歴史はあらゆることを進歩させたわ…」

 アフロディナの魔力に抗う様に、息も絶え絶えに怒気を込めた言葉を紡ぎながら、フレデリカは立ち上がろうとする。

「進歩を知り、新旧全てを知る者は自惚れ者を超える…分かっておろう、小娘?」

 そんなフレデリカの頭を押さえ、地に押し付けるアフロディナの言葉に、受験前に叩きのめされた現実をフレデリカは思い出す。

「アンタより強くするって契約するなら弟子になってやる…」

 圧倒的魔力に耐え、絞り出した声でそう告げるフレデリカ。


 一瞬だけ笑みを浮かべたアフロディナは、僅かに魔力を強め、

「そうなってくれることを願っている。」

 気絶したフレデリカを魔力で浮かせ、その頬を優しく撫でながら言う。



 フレデリカさえ気絶する魔力を放ったアフロディナ。

 彼女の放った魔力により、その場で意識を保っている者は存在しなかった。


「私を殺してくれ…」

 アフロディナの呟きを聞いた者はいなかった。



−−−−−−−−−−−−−−−−−

−−−−−−−−−−−−−

−−−−−−−−−



「お師匠様は随分とフレデリカちゃんに御執心ですね~。」

 衣服を纏いながら冷たく笑うヒルメに、セラフィマは刃を突き付ける。

「お師匠様の願いを叶えるのが私たち弟子の務め…未だそれを成せない私たちがつべこべ言う資格は無いわよ。」

 氷の刃よりも鋭い瞳でヒルメに向かって言うセラフィマ。

「流石ですね、セラフィマ姉さん。お師匠様を裏切った姉弟子の言葉は重いですね~。」

 穏やかなのに憎しみに満ちたヒルメの言葉。

 そう言われたセラフィマだけでなく、そう言葉を放ったヒルメも、暗く沈んだ表情を浮かべていた。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ