番外終-①.暴れ馬公爵の華麗な求婚
ちょっと15禁かもしれませんので、14歳以下の方は引き返して下さい<(_ _)>
(エリック視点です)
「エリック、今すぐ子種をちょうだい」
「……………」
何が何だかわからなかった。
まず状況を整理しよう。
私の名は、エリック=アンブローズ。アンブローズ伯爵家の次男である。
数年前に病弱な兄のスペアとしての役割を終えて、ミラー公爵家に執事見習いとして採用され、その後能力を買われて跡取りのアイリーン様付きの執事となった。その後何故か気に入られて、アイリーン様の婚約解消後、婚約者となった。
そして今夜、突然部屋に呼ばれたと思ったら、いきなり寝台の上に押し倒されて、先の台詞を言われた。
考えられるのは、やはり……。
「今日はエイミー様と、大バカ王子の即位式兼、結婚式でしたね。王宮で何かありましたか?」
尋ねると、アイリーン様が無言で私の上からどいた。
ホッとして、起き上がる。
女性に押し倒されるのは、心臓に悪い。
(積極性を喜ぶ友人もいるが…自分には理解しにくいな)
アイリーン様は窓辺に立つと、無言で窓の外―――城の方を見ていた。
一見無表情だが、焦っているように見える。
「…何がありました?」
「……うっかり忘れていたの。結婚の次を…」
再度問いかけると、彼女は観念したように重い口を開いた。
(ここから公爵視点です)
今日はエイミーと大バカ王子の即位式兼、結婚式だ。
2つの式典はほぼ滞りなく終了し、(途中大バカがセリフを忘れる場面もあったが)現在はお披露目の宴の最中だ。
「うううううううう。こ~~んなに小さかったエイミーが、もうお嫁に行くなんて~~」
指で数ミリの大きさを作って、号泣する父に呆れる。
「お父様、それではミジンコです」
「それだけ月日は流れたって感じてるんだよ、うううううううううう~。まだ子供だと思ってたエイミーが、あ~~んなに大きくなって~~」
そう言って窓の外から見える、貴族の屋敷を指さす。
「お父様、あれは屋敷です。人じゃありません」
「ううううううううう~~~~」
何を言っても号泣する父に、私は諦めた。
「まぁまぁ、あなた。離れても娘である事に変わりはないでしょう?それにほら、結婚の次は当然、子供でしょう?いずれ孫の顔が見られますよ」
「「!」」
匙を投げた私と違い、母が父を慰める。
「孫」と聞いた途端に、父が笑顔になる。
「そうだな、次は孫の顔が見れるな。それを楽しみにしよう」
「えぇ、えぇ。そうですとも」
「…………」
まだ見ぬ孫の想像で盛り上がる両親とは裏腹に、私の心は落ちこんでいった…。
「…という事があったのよ」
「なるほど」
昼間の出来事を一通り説明すると、それで理解したらしくエリックが頷いた。
(こういう察しの良さが好きだ)
頭の良さもだが、簡単な説明で言いたい事を察してくれるのが、エリックの一番の魅力だと思う。
何度も同じ事を繰り返させる馬鹿が身近にいて、イライラする分ホッとする。
「つまりアイリーン様が危惧しておられるのは、後継ぎ問題ですね」
「そう」
城の方から視線を外し、室内のエリックを見る。
「四馬鹿の尻拭いで失念していたけど、私と貴方は未だに婚約どまりで式を挙げていない……このままエイミー達に先に2人目が出来たら、間違いなく1人は臣籍に下ることになるわ。そうなったら最も可能性が高いのは……」
「…ミラー公爵家、ですね」
「「…………」」
そのまま暫し見つめあう。
お互い恐ろしい想像をして、冷や汗をかく。
「…しかし子供は授かりものですし、こちらが1人も作らない内に、向こうが2人も出来るとは限りませんし、仮に出来ても馬鹿とは限らないでしょう。現にアイリーン様とエイミー様は実の姉妹なんですから」
「甘いわ」
エリックの案を、一蹴する。
「双子が生まれたらどうするの?こちらが男児で、向こうが王女だったら?馬鹿のサラブレットに、期待なんてできないわ」
「…返す言葉もありませんね」
エリックが苦々しく吐き捨てると、私をベッドに押し倒した。
「…そう言う事なら仕方ありませんね。求婚をお受けします」
予想外の台詞に、目を瞬かせる。
「…これって、求婚になるのかしら?」
「貴方らしい求婚だと、思いますよ」
それだけ言うと、唇を塞がれた。
後はお互い、言葉は必要なかった。
ラストスパート頑張ります(*´Д`)




