番外②.四馬鹿は罰を受ける(後)
基本大バカ王視点ですが、一部視点が変わります。
ドアを開けると、ギョッとした。
部屋一面に、大小さまざまな鏡が置かれていた。
同時に隣の部屋から、ビルとサイラスの悲鳴が聞こえた。
「ひっ!」
隣でエイミーが、小さく悲鳴を上げる。
「大丈夫だエイミー。しょせん鏡だ、後ろ向きにするか伏せてしまえばいい」
「そ、そうね」
俺の言葉に、エイミーも気を取り直す。
それから一時間ほどかけて、2人で部屋中の鏡を動かした。
「さぁ後は、ゆっくり食事をするだけだ」
部屋のテーブルに、暖かい料理がぐつぐつと、音を立てている。
見た事ないスープだった。
「私知ってるわ。これお汁粉って言って、東の国のスイーツなんですって」
「へぇそうなのか」
鍋の横に、小さめのスープ皿のようなものが置いてあった。
どうやらこれに入れて、食べるらしい。
早速掬って器に入れる。
「「いっただきま~す」」
先に異変に気付いたのは、エイミーだった。
「あら?何か入ってるわ?」
「スープの具だろう、どれどれ……」
初めて食べるスープの具に興味津々で、スプーンですくってみると…
目玉だった。
「「ギャ――――――!!!!!!」」
(公爵視点です)
4人の悲鳴を聞き、私は満足する。
「やっぱりこの声を聞かないと、やる気が起きないわね♪」
満足げな私に、メイド長が呆れ顔をする。
「大したやる気ですね…まがい物の目玉を張り付けた壁紙を用意したり、食材を目玉っぽくしたり…」
そう言いながら、開いたドアから見える右側の部屋を見やる。
ドアの隙間から泡吹いて気絶してる2人と、手を付けられないままグツグツと音を立てている、激辛キムチ鍋が見えた。
「これぐらいの楽しみがなくっちゃ、やってられないわ。そもそもこいつらの仕事を肩代わりしているのだから、息抜きの娯楽もこいつらに提供してもらわなくちゃね♪」
そう言って、気絶した四馬鹿を見る。
「それより『例の物』を、用意してくれた?」
「はい」
その答えに、ニンマリと笑う。
「罰は罰、弁償は弁償よね」
メイド長はそれ以上何も言わず、さっさと後片付けをした。
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気づいたら、朝になっててメイドに起こされた。
「早く起きて下さい。公爵様がお待ちです」
「うう…酷い目にあった」
隣ではエイミーが同じく、メイドに起こされていた。
「自業自得です。それより朝食の準備ができております」
朝食と聞いた途端、腹がぐぅと鳴った。
恥ずかしくなり、腹を押さえる。
誤魔化すために咳ばらいをすると、何気に聞いてみた。
「きょ、今日のメニューは何かな?」
「はい。本日のメニューは、公爵様リクエストの『目玉焼き』です」
「「目玉はもういい!!!!!」」
エイミーと二人で、力いっぱい拒否した。
朝食の席に着くと、すでに公爵は食べ終えて、食後の紅茶を優雅に飲んでいた。
サイラスとビルは、こちらが来るのを待っていた。
「貴様…国王と王妃を差し置いて、先に食事を済ませるとは、いい度胸だな」
顔を引きつらせながら文句を言うと、公爵は顔色を変えることなく一蹴した。
「仕方がないでしょう。誰かさん達が放棄している執務を、代わりに片付けてるせいで、ロクに時間もとれないのですから。文句あるならサボらずに仕事するか、せめてもっと早く起きて下さい」
「ぐっ!」
それを言われると、ぐうの音も出ない。
だが腹は立つ。
「だったらいっそ人を待たずに、自室で食べていればいいだろ!」
「もちろん明日からはそうしますわ。今日は聞きたい事があったものですから」
「聞きたい事?」
エイミーが首を傾げる。
「そう。貴方達「女」と「動物」どっちが好き?」
「「「女」」」
「動物」
「そう。わかりました。では失礼しますわ」
公爵はそれだけ言うと、席を立った。
あっさりした態度に疑問を抱いたが、エイミーに締め上げられて、それどころではなかった。
質問の意味を悟り、この時止めなかった事を思いっきり後悔するのは、それから数日後だった。




