番外①.ネバーギブアップだぞ!
今回もお食事中の方は引き返して下さい<(_ _)>
「そもそも何しに来たんだ、俺達を嗤いに来たのか!?」
まだ立つと苦しいので、机に寄りかかって言うと、アイリーンが首を振った。
「少し違います」
「何?」
「嗤いに来たのではなく、バカにする為に来たのです」
「貴様~~~~」
「だってそうでしょう?人がせっかく『エイミーの為だ、部屋で食べた方が良い』と忠告していたのに、自分達から台無しにしたのですからね。ホントおバカさんですわね。オホホホホホホ」
「くぅ~~~~~~~~!!!!」
悔しいがその通りだ。だが…
「だが俺達は決してお前には屈しない!必ず耐えきってお前に『大したことないじゃないか、こんな程度で妹をのけ者にするような性悪令嬢とは、婚約破棄だ!』と、言って見せる!」
そう宣言し指を突き付けようとして、ハッとして思い止まる。代わりに胸を張った。
「負け犬の遠吠えですわね…まぁいいでしょう。ところで今日来たのは、皆様を揶揄う為だけではありません」
「何!?」
聞き捨てならない台詞があったが、いちいち突っ込んでたらキリがないので受け流す。
「皆さんに良い事を教えに来たのです」
「良い事だと?」
「はい。お父様の甘味攻撃は昨日で終わりです」
「何、本当か!?」
思いがけない朗報に、思わず聞き返す。
エイミー達も、驚いて立ち上がる。
「はい、週替わりですから」
思いがけない朗報に、俺達の顔が明るくなる。
「やったな!」
「えぇ、一週間耐えた甲斐がありました」
「もうこれで終わったのね~~」
「長い一週間だった…」
涙を浮かべながら、4人手を取って喜び合う。
それを笑顔で見守りながら、アイリーンが言った。
「お父様の週は終わって………今週はお母様の週です」
「「「「え」」」」
俺達は、一瞬で奈落の底に突き落とされた。
ギギギ、と首を動かし、どうにかアイリーンの方を向く。
「ど、ど、どういう事だ…まさか、公爵夫人も甘党なのか!?」
冷や汗が止まらない。他の3人も真っ青だ。
「ではお知らせもしましたし、今夜の晩餐をお楽しみに~」
そう言ってアイリーンは、ススス…と立ち去ろうとする。
「待て、説明していけ!まだ甘味が続くのか、オイ!」
「ウフフフフフ~~~~」
引き留めてもアイリーンは止まらず、笑顔で立ち去った。
俺達は言葉にもならず、呆然と立ちすくんでいたが…一瞬後。
「ぎゃああああああ、もう嫌だぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「もういいじゃないか、勘弁しろよ!!」
「こらビル逃げるな!ここは四階だぞ!」
「離せサイラス!今度こそ死んでしまう!!!!」
「ここから飛び降りても死ぬぞ!!!!」
窓から逃げ出そうとするビルと、必死で止めるサイラスと、絶叫する俺とエイミーとで、空き教室は阿鼻叫喚の嵐となった。
そうしてやってきた恐怖の晩餐。
待ち構えていた俺達の前に、予想外の物が運ばれてきた。
「こ、こ、これは…」
俺達の前に置かれたのは、茶色いシチューのようなものと、その下にある白い粒だった。
驚く俺達に、公爵夫人が微笑みかける。
「うふふ、驚いたかしら?これはカラーライスといって、異国で人気のお料理なの。お肌にも良いのよ」
「まぁ、そうなのですか」
「良かった…甘味じゃない」
「甘味じゃなければ、もう何でもいい」
「ありがとう神様」
「せっかくですから、冷めない内にいただきましょう…いただきます」
アイリーンの言葉を合図に、全員がスプーンを手に取る。そして……
「「「「辛-っ!辛っ!辛っ!辛っ!」」」」
俺達は火を吹いた。
「うふふ、そうなのよ。食べると必ず辛いというから、カラーライスと名付けられたのよ…はふっ、はふっ」
公爵夫人がハフハフ言いながら、カラーライスを口に運ぶ。
「はふはふ…あぁこの辛さが堪らないわ~。お肌にも良いし、一石二鳥ね」
俺は夫人の美肌の秘密を知った。
周囲を見回すとやはりというか、公爵はハフハフ言いながら、アイリーンは平然としながら食べていた。
「無理無理!甘いのも無理だけど、これも無理!」
「甘味よりはマシだけど………やっぱ嫌だ!!」
「美肌になるなら我慢するべき?はふっはふっ……ヒィー!!」
サイラスとビルは無理だといい、エイミーは泣きながら果敢にも挑んでいる。
その時視線を感じて見ると、アイリーンがこちらを見ていた。
またしても口パクで『バ~~カ』と、言っていた。
(あんな性悪女に、バカにされてなるものか!!!!)
俺は泣きながらも必死に、カラーライスを口に詰めこんだ。
その夜俺達はまたしても一晩中、部屋とト〇レを往復した…。




