マイスター56
優子は朝目覚めた。
鉄の結婚発表と同時にその夜、純との帰り道にメールが入りました。
相手は道からだった。それは普段見る道のやり取りではなく。
道から、優子に大切な話があるから時間があるときに2人きりでディナーでも食べようとだけ書いてあった。
優子は2人きりのディナーなんて久しぶりね。いいわよ。予定はまだはっきりしないので、お互い時間があるときに調整しましょう。楽しみにしているわ。2人で食事をするのとメールの返信をしました。
道との2人きりでの食事は学生時代はよくあった。
でもそれは、道と優子のご両親が仲が良く、よく4人で旅行に行っていたから、その場合自動的に道の家で一緒に食事をすることが多かった。
優子を帰りに自宅まで送りに行くとき、道と一緒に必ず見晴らしが丘に星を見ることが成り行きだった。
優子が「道が大切な話があるから2きりでディナーか。これはもう。そういうことよね」
朝、今日は料理教室のネット配信。その料理の構想から段取り、時間は何分かかるなど準備をしていた優子がぽつりと呟いた。
料理教室のネット配信が始まり、今日は野菜が苦手でも食べられる料理がテーマです。
優子が「お子さんが野菜が嫌いな理由はお子さんの先入観があることが多いんです。野菜を食べたら、お味が苦いことがあったとか、青臭さがあるとか、食感が苦手とか理由は様々です」
優子が「だから、まずは見た目を変えてしまいましょう。にんじんを輪切りにして、星をつくったり、子供が嫌いな野菜の中でピーマンと、ナスが多いですが、この2つはみじん切りにして原型を無くしましょう。野菜を食べることを目的とせずに野菜が持っている栄養をお子さんがとってくれればいいので、形にこだわらずにどうじたら、野菜が持つ栄養素、主にビタミン、ミネラル、食物繊維など、子供の成長を手助けしてくれる大切な存在を無理なく楽しく食事をすることを心がけて下さい」
優子が「メニューも食べやすいのはカレーに入れたり、野菜をお肉に巻いた肉焼きや、一緒にお料理を作るなら餃子は親子で作れるので、お子さんも自分が作った料理は楽しんで作れるので食べてくれることも多いです」
優子が「もし、お困りの方がいましたら、コメント欄にコメントをくだされば、一緒に考えますので気軽にコメントをして頂けると嬉しいです。よろしくお願いいたします」
こうして、優子は今日のネット配信は終わり、その後のコメントを丁寧に返信しています。
質問には分からないことは本を読んだり、ネットで調べて解決できるように考えたり。
応援のコメントや子供の野菜嫌いが無くなったとお礼のコメントもありがとうございます。
これからも、いろいろ工夫して食事を楽しい時間になれるように一緒に考えていきましょうとコメントしました。
コメントの返信もひと段落して、道のことを思い出す。
そして、優子が道にメールを送りました。土曜日や日曜日は仕事をしている方もいるので、出来れば平日の方が時間が取りやすいです。
道からの返信も来た。俺の方も就職のインターンシップの期間もそろそろ終わるから、その後ならいつでも予定はたてられるから優子の時間に合わせられるよと返事が来た。
そして、何回かのやり取りをして、2きりのディナーの当日が来た。
優子もいつもよりもオシャレして30分前に優子のファミリーと道のファミリーが年に2回。優子の誕生日と道の誕生日の日に来るレストランの前で道を待っていた。
10分後、道が現れた。両手いっぱいの白いユリの花束を持って。
道が「悪い悪い。待たせてちょっと手間がかかってしまった」
優子が「こんなにいっぱいの白いユリどうしたの?」
道が「優子。好きだろ。白いユリ」
優子が「こんなに沢山。ありがとう」
道が「優子。今日はありがとうな。ディナー付き合ってくれて」
優子が「うん。突然だったから驚いたけど、でも、嬉しかった」
優子が「道から2人きりで外で、しかもこのレストランで食事するの初めてじゃない。いつも家族と一緒だったから」
道が「優子は新しい場所は緊張しちゃうだろ。お前は普段はしっかりしているけど、初めてのことは人一倍、緊張するからな。だから、準備は前日までには完璧に揃っているからな」
優子が「ええ。前の日にやることやらないと緊張して寝られないから」
道が「いつも迷惑かけたよな。俺。遠足の時に弁当忘れて半分分けてくれたり、運動会の日はハチマキ忘れたけど、優子が余分に1枚持っていてくれて助かった」
優子が「確かに遠足の時は、お弁当忘れてたけど、お菓子の時間の時は必ず、私の好きなお菓子を買ってくれてそれをくれたり、運動会の時も、私がリレーで抜かされてしまったら、道が抜き返してくれた」
優子が「助けられているのはお互い様でしょ。それに私が困ったときはいつも道が隣にいてくれた。私が熱を出した時も学校休んで看病してくれたじゃない。私の両親ちょうどその日は予定があって前日から出掛けてたから」
道が「ああ。でも、その風邪をうつしたのは俺だったな。前日で熱は下がって、給食のプ
リンやプリントを届けてくれた時に俺と会ったせいで風邪をうつしてしまった。熱が下がって安心しすぎたな。部屋を換気するべきだった。風邪菌がまだ部屋の中に残っていたんだな。あの時は悪かったな」
優子が「はははは」
道が「優子どうした。急に笑って」
優子が「何だか安心して、道とこうして2人で話すの久しぶりだなって、学生時代は毎日一緒に2人で学校通ったよね。毎日こんな風に話をしていたね」
道が「そうだったな。懐かしいな」
そんな、道と優子の思い出話の中、予約していた時間になりレストランに入った。
優子が「久しぶりね。このレストランでの食事は」
道が「ああ。大学は優子は地元から離れたからな」
優子が「ええ。でも、ディパーチャーに行く前に家族と食事したわよね。ディパーチャーから帰ってきたら、色々やることがあったから中々来れる時間は無かったわね」
道が「就職決まった」
優子が「本当‼おめでとう」
道が「大学の卒業の時にえらく自分の論文や大学3年生の時にもインターンシップはやっ
ていてそこの社長さんが自分を気に入ってくれた」
道が「でも、自分はマイスターに行く夢があったから就職は出来なかった。でも、もし、マイスターから帰った時にまだ、この会社に入社する意思があるなら、ある試練をその社長さんが自分に与えてくれた。まずはマイスターで何年かいて、そこで開拓とはどういうことか体験にしたことを論文にして提出すること」
道が「もう一つは、マイスターを体験して地球をどう感じたかを論文にして提出すること」
道が「この2つが社員のみなさんが読んで納得したら、インターンシップをもう一度やってこの仕事に順応できるかテストするということ。それが社会人3年目の社員と一緒に仕事ができる条件だった」
道が「それだけ、社会の3年分の経験値は違うと」
優子が「厳しい人ね」
道が「ああ。俺が一番その社長さんを信用したところは社会の厳しさをちゃんと向き合えってくれる所だ。仕事は厳しいけど、ちゃんとやればどんな人間でも評価してくれる」
優子が「私もやっと仕事が自分の描いていたことも少しずつ出来るようになってきた」
優子が「でもまだまだだけどね。今日もちょっと食事を取ることに悩んでいる方がいて、ちょっと食べても栄養を沢山取れる方法はないか考えている」
道が「優子も頑張ってるな」
優子が「道のお陰よ。私、自分を見失ったことがあったの、私の本当にやりたいことは何だろう。私には何ができるのだろうと」
優子が「その時に道が出てきた。私が困ったら道が私の道を進ませてくれる。私が私の道を信じて歩けるのは道のお陰よ」
道が「俺も、俺が勇気をもって俺の道を歩けるのは優子の存在がいるから、俺、ディパーチャーから帰って来て世界を回って気がついたんだ」
道が「優子が俺の後ろを守ってくれているから、俺は迷わずに自分の道を信じて歩けることに」
道が「俺はずっと、優子に守られていたことを」
優子が「道」
道が「小早川優子さん。私と結婚して下さい。私は優子さんを愛しています」
優子が「はい。天野道さん。私もあなたを愛しています。昔から私は道に憧れていました」
天野道と小早川優子が出会ったのは4歳の時。道の家族がとある街に引っ越してきた。
その日から長い長い年月を2人は一緒に共に生きてきた。
その2人が今日、恋に落ちて結婚の約束をした。
これからも道と優子は道を歩く、道は迷わず自分の道を歩き続け、そんな道の背中を優子が守りながら2人で支えながらこの2人ならどんな困難にも乗り越える。
これが道と優子の恋の物語。




