マイスター55
雛元純。高校2年の春。初めて恋人が出来ました。
相手は高校3年生の先輩の男性で、男性から純は告白を受けました。
先輩が「雛元。俺はお前が好きだ。付き合ってほしい」
純が「先輩。ちょっと考えさせてもらっていいですか」
純はこの時初めての告白を受けました。その衝撃で何も考えられなくなりました。
でも、私のことを好きになってくれたことはすごく嬉しかった。
次の日にその先輩にÓKの返事をしました。
1か月は純は今までで幸せな人生を送りました。
誰かに、今まで名前も知らない相手から私のことを好きだと伝えられることが、こんなにも私を満たしていることに、気がつき、純は、私は私で良かったんだと思いました。
ある1日が来るまでは。
その日は酷い雨の日でした。風も強く歩いていても視界が見えずらい。いつものように先輩と帰宅している時に、子犬が血まみれで倒れていることに気づいた純。
言葉よりも体が勝手に動きました。気づいたら、子犬の体温、呼吸はしているかを確認して、まだ呼吸がある。助けられるかもしれないと感じた純は、子犬を抱きかかえて、いつも、酪農の仕事で牛、やぎなどを見てくれているかかりつけの獣医さんに、子犬の命を救ってくれるように、先輩の存在を忘れて駆け出しました。
先輩は目の前に何が起こっているか分からずにその場に呆然と立ちすくむことしか出来ませんでした。
純の抱きかかえ方も、子犬に負担をかけずに瞬時に獣医さんが治療をしてくれたおかげで命は助けられました。
純は安堵して帰宅しました。
先輩から、明日話したいことがあるとだけメールが入っていました。
それは、次の日に先輩からの別れたいの話でした。
純は頭が真っ白になり、純にとっては苦い思い出になりました。
その日に親友の優子にだけは純が感じる事情を伝えて、泣きじゃくる純を優子は何も言わずに抱きかかえることしか出来ませんでした。
これが、純にとっての始めての恋愛であり、恋愛することが怖くなるトラウマにもなりました。
レストランでの学の言葉でその思い出が溢れ出た純。学は戸惑い、動揺しました。
そして、学は純を黙って抱きかかえてこう伝えました。
学が「正直。純さんが何に涙を流しているか僕にはわかりません。ひょっとしたら、僕の言葉で純さんを苦しめたのなら、これからは僕は出来る限り純さんを笑顔にしたい。だから、僕には純さんの辛いことを共有させて下さい」
純は黙って、学の思いにうなづいた。
その後レストランの食事を堪能した2人。幸せな時間を過ごしました。
楽しい食事の後、学は純を自宅の近くまで送ることにしました。
学が「ところで純さん、僕のことっていつから好きだったんですか」
純が「うんとね。同窓会って確か七夕の日に5人で天の川を見に行こうとして、その帰り道にみんなで集まろうとなったでしょ。今まで学も同じクラスだったけどほとんど話はなかったわよね」
純が「それから、学は私が困ったらさり気なく気遣いをしてくれた。話もするようになった。気づいたら学の優しさに救われていたの。でも。この気持ちが恋なのかなんなのかは、分からなかった」
純が「でも、学からメールを頂いた時に意識しちゃった。意識したのはメールの時だけど、ずっと気にはしてました。ごめんなさい。私、優柔不断でした」
学が「そうですか。僕は純さんが星に興味を抱いていてくれて感謝しました。好きな人と同じ気持ちでいることで、どこか満足していた自分がいました」
学が「僕が純さんのことを意識してたから、純さんの助けになりたかった気持ちはいつもありましたが、僕も一歩踏み出せずにいました。僕も優柔不断でした」
純が「私たち一緒だったんだね」
学が「はい。同じでした」
純が「これからも一緒にいようね」
学が「はい。お願いします」
純と学はこうしてお付き合いをすることになりました。
学も小説家になるために活動して、その合間に純と一緒に勉強もしました。
結婚はお互いが落ち着いたら考えようと伝えて、今はそれぞれやるべき事をしようと、お互いの夢が叶うように頑張ることを誓って。




