マイスター44
温かい日差しの中、冒険に行くための準備は続いた。
航海の期間は1週間。何があってもなくても1週間で帰ってこようと話し合った。
船づくりも順調に仕上がり始め、食料はラスクとジャム、燻製を作ることにした。パスタも持っていき。火を使うのでカセットコンロも予備も合わせて複数持っていく。飲み水も小さいタンクがあるので1週間飲む水の量より多く備えた。
学が「鉄さん。船づくりも大詰めですね」
鉄が「おう。正念場だな」
学が「鉄さん頑張ってください」
船づくりは失敗したら命取りになりかねない。素人はあまり関わらない方がいいということで鉄がほとんど組み立てている。
他のメンバーは鉄のサポートや食料づくり、1週間留守にするので、畑や養殖小屋の魚の世話。水を替えたり池の掃除。冒険に向けて一歩ずつ出来ることをやっていた。
道が「鉄。あとどれぐらいで完成する?」
鉄が「そうだな。もう仕上がりだから2~3日には出来る」
道が「そうか。準備も含めると来週には出発できるな」
学が「鉄さんはやっぱりすごいです。自分の憧れですね」
鉄が「そんなに誉めるなよ。照れるだろ」
道が「本当に鉄がいてくれて良かったよ」
学が「道さんも。先を考えてみんなをまとめて支えになっています」
道が「ありがとう。でも学。どうした急に」
学が「何だか。そう思っただけです。私も頑張らなくては」
船も完成して出発の前日。夜、食事を終えて学は一人外で星空を眺めていた。
純がふと窓から外を見ると学の後ろ姿があり学に声をかけた。
純が「学。珍しいわね。こんな時間に」
学が「純さん。ちょっと夜風に当たりたくなりまして」
純が「本当。風が気持ちいい」
純が「私。ここの景色が好きよ。この景色を見ていると世界は大きいんだなって思っちゃう」
学が「そうですね。私も、本の世界を夢見た世界が現実になってこんなに偉大で毎日がこんなに大変なんだと思いませんでした」
純が「学。何か悩み事?無理もないわね。今まで沢山色々なことがあったから」
学が「純さんは憧れている人っていますか?」
純が「うん。いるよ」
純が「まずはお父さん。私の家、色々やっているからお父さんの仕事を見ているとすごいと思う。次はお母さん。そんなお父さんを陰から支えて、私もいつかあんな母親になれたらいいなと感じてる」
学が「私も今のままではいけない。もっと頑張らなくてはいつまでたっても変わらないなと思うことがありますね。私の出来る事なんて限られているなと」
純が「私ね。ここの星に来るまでは、生き物が好きで色々な生物と出会いたくて参加したの。実際に生物と出会ってみて色も形も、大きさだって違う。違っていて当たり前なんだなって思った。それぞれ同じではないから生きていけるって、私も出来ることは限られている。だから、まずは出来ることをやろうって、苦手なことは教えてもらいながら、最初は出来なくても一歩ずつやっていけばいつか出来る事も増えていくわ」
純が「それにね。自分では気がつかなくても、案外。自分も人の役に立っていることもあるわよ」
学が「純さん。ごめんなさい。私。弱気になっていました」
純が「大丈夫。私も弱気になるもん」
学が「純さん。話を聞いていただいてありがとうございます。明日から冒険。頑張りましょうね」
純が「うん。頑張ろう!」
2人が話をしていると後ろから声が聞こえた。
道が「学。純。ここにいたのか。航海前に最後の話し合いをしたいんだけど時間あるか?」
学が「分かりました。やりましょう」
純が「うん。大丈夫よ」
道が「それでは、明日から湖の先には何があるか探す航海をするのだけれど、情報を確認して共用したいと思うのだが」
優子が「食料の準備は万端よ。二週間は食べ物を用意しました」
鉄が「船も頑丈なのが出来た。ちょっとのことじゃ転覆しないぞ」
純が「畑も池も一週間程度、世話をしなくても生きていける準備はしたわ」
学が「航海術もある程度本で理解しました。方角も時計と太陽を見れば確認できますし、帰りも海図を書きながら航海すれば戻ることも可能です」
道が「よし。航海は学を中心に冒険しよう」
学が「私がですか」
鉄が「学。頼りにしてるぞ」
優子が「学がいてくれて安心するわ」
純が「学。よろしくお願いします」
学が「はい。みなさんのお役に立てるよう頑張ります。よろしくお願いします」
一夜明けていよいよ出発の時がきた。
道が「みんな出航するぞ」
鉄が「おう。楽しもうぜ」
学が「やりましょう」
優子が「ワクワクするわね」
純が「出発進行!」




