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【書籍・漫画化】魔道具師リゼ、開業します~姉の代わりに魔道具を作っていたわたし、倒れたところを氷の公爵さまに保護されました~【七章進行中】  作者: くまだ乙夜
七章 復讐の天秤編

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262 リゼ、コアの解析をする(3/3)


「確かにドワーフ語だ。図形が複雑に重ねられていたのか……」

「読めるんですか?」

「いや。単語をいくつか見知っているだけだ」


 そうなんだ。


 じゃあ、わたしが解説したほうがいいのかな?


「ドワーフさんが自分で読み書きするために作った、ドワーフ語の【魔術式】だと思います」

「コア自体が、ドワーフ製ということか?」

「そうなのかも?」

「マジで? このへんがドワーフの元集落だから? なんかの弾みで起動しちゃったってこと?」


 軽く中身を覗いただけで、すごい量の魔術式がびっしり書き込まれているのが分かる。


 真面目に全部読んでたら何年もかかりそう。


 でも、この魔術式は、神様から引っ張ってきた魔術式の組み合わせでできている。わたしもよく知っているものだから、塊で見ていけば何となく想像はつく。


 ……仕組みは前もって予想したとおり、【ティアマトの血】がベースだ。


 周囲にある岩や石、それから魔獣なんかをかき集めて、まとめあげ、【自動人形】に変えてしまう。


 全体の動作に必要な【魔術式】も、見覚えがある。


 よく確認しないと分からないけど、たぶん、ライブラリの構成もほぼ同じなんじゃないかなあ……?


 細部や、記述されてる魔術式の言語が違っても、ほぼ同じ魔道具だと思っていいはずだ。


「これ、人の声で制御するようになってますね」


 声かけで指示を飛ばして、ゴーレムを動かせるようになっているのだ。


「人の声……ドワーフ製……」


 ディオール様がぼそぼそと呟いた。


「リゼ。その制御について詳しく説明できるか?」

「え、はい……えーと、簡単な命令ができるようになってるんです。『エコー』、『オルフェウス』……どちらも音楽とか、声に関する神様ですけど、その神様から借りる祝福魔法を、人間が借りやすいようにまとめた魔術式の体系を、おばあさまは神授書庫(ライブラリ)と呼んでました。音楽の神様のライブラリから引っ張ってきている魔術式なのだとしたら、人の声で制御していると見て間違いないかと――」


 聞いてきたくせに、ディオール様はわたしの話を途中で遮って、わたしの肩を掴んだ。


「起動は? ゴーレムは通常、『真理』の単語を刻むことで起動させる。しかし、音楽の神と言ったな?」

「えと……はい」

「起動に音楽がどう関係する?」


 わたしは慌てて、該当しそうな部分に光魔法を当てた。


 重なり合ったドワーフ語を開いて、横に並べてみせる。


「たぶん、このあたりが起動だと思います……」


 細かくは読めない。


 でも【魔術式】の並べ方にはなんとなく同じ法則性を感じるんだよねえ。


 ディオール様は魔術式の中から、三つほどのワードを指さした。


「……『起きる』『言葉』『探知』……これは?」


 単語の翻訳を聞いて、わたしにはピンとくるものがあった。


「うちの魔道具には【エコーの声】というのがあってですね……その中に、特定の呪文に反応して起動する、【起動呪文(ウェイクワード)】用の【魔術式】があるんですよねぇ。たぶん、それかも……?」

「どんな言葉で起動する?」

「んー……それは、ドワーフ語が読めないと分からないですねぇ……!」

「具体的にどのあたりだ。書式がまったく違うのか?」


 あんまり似てはいないけど、起動用の魔術式だとするなら……


「このへんかな? 認証するのだったら、『認証』とか、『照合』、『キー』とか『鍵』とか、IDみたいな言葉があるはずですけど」

「これか」


 ディオール様がその場で、『キー』という単語を見つけてくれ、ついでに周辺の単語を知っている限り教えてくれる。


『キー』『種』:『???』/『???』『歌』

『???』『骨』:『???』『高い』『低い』『???』『長い』『短い』『???』『???』

『話す人』『???』:『オフ』


「この、『高い』『低い』と、『長い』『短い』のあとに来る単語は同一だ。……分かりそうか?」


 無茶ですディオール様。


 これだけじゃ何も分かりません。


 でも辿々しいドワーフ語の翻訳を教えてくれるディオール様はかわいい。


 ちょっと自信なさそうな姿もなかなか見れないので珍しい。


「ではこれは? 攻撃魔術と関連が深い単語なら少し分かるんだ」


『再生』『攻撃』『抵抗』:『しない』


 う、うーん……


 攻撃に抵抗しないってどういうこと……? 再生って……?


 悩んでいたら、ディオール様が焦れたように『歌』のところを指した。


「歌、とあるわけだが、たとえば、歌で起動する、ということはありえるのか? それも、ドワーフ語の歌でだ」


 そんなの分かるわけないよう……と思ったけど、そういえば最近、ちょうどドワーフ語の歌の録音再生をやったところだ。


 わたしはしばらく魔術式のあっちこっちを開けては読み――


 ……あれ……?


 この部分、あのオルゴールと構造がほぼ一緒だ。


「ディオール様。この『箱』、人の声の周波数……で合ってますよね?」

「……ああ」


 前にも周波数のことを予言してくれたのはディオール様なので、確定だと思っていいはず。


「ほんとですね、歌声で起動するようにできてます。さすがディオール様、よく分かりましたね」


 こんなちょっとのヒントだけで当てちゃうなんて、やっぱり天才なんだなぁ。


「君はオルゴールを修理していたと言っていたが」

「はい」

「そのオルゴールでも、ゴーレムは起動したと思うか? つまり、オルゴールで作った魔術的な歌声であっても、本人だと誤認して起動するのかということなんだが」

「……あー……?」


 そういうことかぁ。


 魔道具にはいたずら防止の魔術式が絶対についてくる。


 音波の魔道具、【エコーの声】であれば、声色から本人かどうかを確認して、起動させない――なんてこともできる。


 録音か肉声かを聞き分けることも、たぶんできるのだと思う。


 つまり、さっきディオール様が翻訳してくれた行。


『再生』『攻撃』『抵抗』:『しない』


 誰かの歌声になりすまして起動する、『再生攻撃』への抵抗が無効化されてるってことかも?


「録音でも起動する設定に、あえてしてあるのだと思います。誰にでも使える状態に設定してあるんですね、きっと。そうすると、今見てもらってる部分は、まるごと設定に関係する魔術式かも? なら……」


 わたしは改めて先ほどの魔術式を見返して、分かることを考えた。


『話す人』『???』:『オフ』


 これも、今の話を聞いてからなら、ちょっと読めてくる。


「……たぶん、命令する人――『話す人』の『声色』かな? それを、判別しない設定にもなっているんだと思います。あと、たぶん……たぶんですけど、高い、低いというのは、『音』についての設定かも?」


 つまり、音階の高低や、音符の拍数は判定している。


 正確に歌えていれば起動するようになっているんじゃないかなぁ……?

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