↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
相思相愛両片思いなのに自己評価が低すぎて気づけない彼女と、そんな彼女に情緒と感情をぐちゃぐちゃにされる男のお話。  作者: 黒井みやこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/9

エピローグ


「どういうことですか!」


 ソフィアの怒声が、ヴィンセントの屋敷に響いた。


 両耳を塞ぎながら、ヴィンセントは首を傾げる。


「えっと……何か、問題あったかな?」


 ヴィンセントの態度が本当にわからないというものだったから、ソフィアは更に声を荒げた。


「問題しかないですよ! これどういうことですか!?」


 そう言ってバンとテーブルの上に一枚の通知書を叩きつける。


 それには『廃嫡』の二文字が踊っていた。

 ソフィアではない。

 そこにはきっちりと、ヴィンセントの名が書かれていた。


「どうしてこんなことになるんですか!? というか何したんですか!?」


「えっと……話せば長くなるけど、良いかい?」


「ヴィンセント様なら短く出来るでしょう」


「わかった。じゃあ事実だけ端的に伝えようか」


「お願いします」


「伯爵家代々伝わる秘宝をオークションに売り飛ばしたらマジギレされた」


 ソフィアはきょとんとした顔をしてヴィンセントの顔を見つめる。

 ゆっくりと眼鏡をはずし、目頭を抑えた。


 耳で聞いたはずなのに、目の錯覚を疑った。

 そのくらい、意味がわからなかった。


「……すいません。もう少し、その……結論だけではなく、言葉を足して意味を理解出来るようにしてください」


「わかった。と言いたいんだが……事実はそれだけだしな。あ、秘宝について詳しく説明しようか? ホーリーグレイルって言うんだけど……」


「気にはなりますが、本筋の説明をお願いします。どうしてオークションになんて……」


「理由は二つ。金が必要だったからと、公的に売ったという証明が欲しかったから」


「お金はわかりますが……証明? 百歩譲って盗んだとしても、証拠が残るのはまずいのでは……」


「逆だよ。証拠がないと不味いんだ。ちなみに、国王もグルだ」


「ぶーっ!? は、はい!? どうして陛下が!?」


「以前ちらっと言ったけど、おれ……こほん。私の家というのは家族仲が好ましくなくてね」


「あ、私相手なら気にせず普通にしゃべって良いですよ? それ以前にどうして話し方を変えたんです? 王宮内で働いていたからですか?」


 その質問はよほどバツが悪かったのか、困った顔でヴィンセントはそっぽを向いた。


「……内緒です」


「えー! どうしてですかー?」


「ま、まあ良いだろう別に。話を戻すぞ。私は元々家族仲が好ましくなく、機会があれば離れたいとさえ思っていた。だから国王と相談し、一番良い形になるよう調整し、話し合って、その結果が国宝オークションだ」


「あれ? 伯爵家秘宝が国宝にランクアップしてません?」


「元々王家の秘宝を譲り受けたものだからな」


「とんでもない罪状になってません?」


「なったな。だからこそ、事実上の追放だ。いや、うまくいって良かった」


「なんでそんなことを……」


 その言葉を聞いて、ヴィンセントはバツの悪そうな顔をした。


「……私は君に、許されざることをした」


「いや、それはもう別に……」


「君がどう思おうと、私は許されてはならない。奴隷となり、君に一生をかけ償うと決めた。そんな私は本来こんなことを願ったらいけないし、口にすることさえ許されない。だから、これから言うことは大変傲慢で、最低で、我ながら外道だと思うが……聞いてくれないだろうか?」


「は、はい! 何でも聞きます」


 ごくりと唾を飲み、真剣な面持ちとなりソフィアはヴィンセントを見つめた。


 ヴィンセントは、言いづらそうにしながら、短く、そして間接的に、自分の望みを口にする。


「王家に連なるグレイス伯爵家は、王の遠縁か他国の姫君以外と婚姻が許されない。それが嫌だったから、私は身分を捨てた」


 ソフィアは少しの時間言葉の意味を考える。

 理解出来た時、その顔は真っ赤になった。


「……誕生日に渡せず、大分遅くなったが……受け取ってくれるだろうか?」

 そう言って、ヴィンセントはネックレスを取り出した。


 ヴィンセントの表情はいつもと変わらない。

 けれど、見てわかる程度には耳が赤くなっていた。


 ソフィアは少しだけ微笑んだ後、恥ずかしそうに頭を彼の方に傾ける。

 ヴィンセントは彼女の首に手を回し、慣れぬ手つきでネックレスを付けた。


これにて完結となります。


二人の始まりを楽しんでいただけたでしょうか?


もし面白かったと思いましたら、ブクマ評価の程なにとぞよろしくお願いします。


広大なネットの本棚にて、またどこかであなたと巡り合えますこと、心よりお待ちしております。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。