↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
32/34

弔い

「私は六十年間、金を追い求めて死に物狂いで働いてきた。だが、結局この手には何も残らなかった。今、私の目の前にあるのはこの醜い世の中だけだ。どうせ私の命もあとわずかしか残されていないのだ。せめて、少しでも日本をきれいにしてから死ぬつもりだ。醜い金の奴隷たちを抹殺し、それを直樹への弔いとする」

 私と村田さんは言葉を失い、ただ藤堂の発する言葉を聞く事しかできなかった。

「止められるものなら止めてみろ。しかし、私は私の全財産を使い果たすまでやめないぞ。これからもっともっと、忙しくなるぞ。まだまだ日本中に抹殺しなければならない金の奴隷たちがいくらでもいるからな。自殺するまで社員を徹底的に追い込むブラック企業の社長、未成年にまで薬を売りさばく売人、テレビに出てまで金持ち自慢がしたい成り金ども。せいぜい今のうちに人生を楽しんでおけ。お前らに黒い玉が届いた時、それが死へのカウントダウンの始まりだ。わっはっはっは」

 狂っている。もはや正気ではないのだ。直樹君を失った時に藤堂の心は壊れてしまったのだ。ただ、これらの言葉は藤堂が自分自身へ向かって叫んでいるようにも聞こえた。

「どうかね、これ以上、私に聞きたい事があるかね。もし無いのであれば、お引き取り頂いて結構だ。部下に福島まで送らせよう」

 藤堂は相当酔っぱらっていた。無理もないウイスキーを何杯飲んだのだろう。藤堂はやっとの思いでソファから立ち上がると、ふらつきながら部屋を出て行った。

つづく


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。