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第四十四話:単身赴任

島国の1番標高の高い場所に、直径3kmのカルデラがあった。


マグマのように蠢いている大量のエネルギー体の傍らで、ウリアスは静かに目を閉じていた。


居眠りしている様にも見える。


背中の巨大な翼を静かに広げ、エネルギー体の蠢きに意識を向けている。


エネルギー体のマグマは、今日も機嫌が悪そうだ。


「ウリアス、交代するぞ」


オルティスが面倒くさそうにやってきた。


翼がだらんと垂れ下がっている。


「お前、その翼どうにかならないのか」


ウリアスが静かに言った。


「三百年振りの単身赴任だ」


「テンション下がって当たり前だろ」


オルティスはウリアスの隣に腰を下ろし、エネルギー体を眺めた。


「今日も機嫌が悪いな」


「ずっと暴れっぱなしだ」


ウリアスは目を閉じたまま答えた。


「地殻変動はまだ続いている」


「またか」


オルティスは深いため息をついた。


「地殻変動のせいだろ?」


「まあそうだろうな」


「あとどれくらい続くんだ?」


「そりゃわからん」


「俺、そろそろ天界に戻りたいんだが…ここに来てから一度も戻っていない」


「次の休みまで待て」


オルティスの翼がさらに垂れ下がった。


しばらく沈黙が続いた。


エネルギー体が低く唸るような振動を発している。


「ガリアンはどこだ」


ウリアスが聞いた。


「上だ、見張りをさせてる」


「元気の良い若手がいると助かるな」


「見てみろよ、あの翼の張り…」


「若いな」


二人は静かに笑った。


山の上の上空では、ガリアンが翼をぴんと張ったままカルデラの中心部でうねっているエネルギー体を見つめている。


エネルギー体が噴出したら即、押し込むためだ。


そこへ、どこからともなく気配がした。


「よーっす」


ソトだった。


背中の翼をやや狭めて、スルスルと降りてくる。


「お前、今日だったか?日替り勤務」


「そうですよ、どうですか?状況は」


「相変わらずさ、しばらく続くな」


「さて、上空監視をそろそろ代わるか」


オルティスはガリアンと交代し、ガリアンがカルデラに降りてきた。


ガリアンはソトの隣に腰を下ろし、エネルギー体を眺めた。


「相変わらず機嫌悪いな、コイツ」


「あれからずーっと暴れっぱなしらしい」


「大丈夫かな」


「大丈夫じゃないから見張ってる」


ソトは珍しく真剣な顔をしていた。


翼が、静かに広がっていた。


しばらくして、ヘイダーが現れた。


落ち着かない様子で降りてくる。


「ウリアス!そろそろ終わりそう?」


ウリアスは目を閉じたまま答えた。


「終わる訳ないだろ」


「そっか、じゃあ俺帰るわ」


「来た意味があるのか」


オルティスが呆れた声で言った。


「ちょっと様子を見に来ただけだよ」


ヘイダーはひらひらと翼を動かしながら、来た道に戻り始めた。


「また来るわ」


「来なくていい」


ウリアスが静かに言った。


「そんなこと言わないでよ」


ヘイダーの姿が雲の向こうに消えた。


オルティスがぼそっと言った。


「神はなんで俺たちをここに遣わせたんだろうな」


ウリアスは少し間を置いてから答えた。


「地上の者たちが自分たちで解決できるまでの間、ここを守れということだ」


「地上の者たちが?」


「いずれ、誰かが気づく」


「このエネルギー体の存在に」


「そしてどうにかしようとする者が現れる」


オルティスは黙ってエネルギー体を見つめた。


「そんな人間、いるかな…」


ウリアスは目を開けた。


淡く発光する瞳が、エネルギー体を静かに見つめていた。


「いる、そういう気配がする」


「まあ、コイツを抑え込めるかどうかまでは…正直わからんがな」


エネルギー体が、低く静かに揺らめいた。



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