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第二十八話:大胆な侵入者

武器入札会が終わり、納入業者たちは撤収作業に入った。


ノーラン武器工房のブースは最も良い場所に位置していたが、撤収するには最も不便な場所でもあった。


タティスはタバコをくゆらせながら言う。


「他の連中が撤収してからゆっくり帰ろうぜ、カイル」


「ノーランもすぐには帰らせてもらえねえだろ」


ノーランの周りには他の業者が群がっていた。


質問をする者、下請けさせてくれと懇願する者、話の内容は様々だった。


カイルは弾丸を入れていた木箱の上に座ってボーッとしていた。


すると、業者風の男に声をかけられた。


「キミが、カイルくんかい?」


「あ…はい、そうです」


男は屈強なカラダつきで、業者がよく着るカーキ色の作業服を着ていた。


ただ、フードを深々と被っていて顔はよく見えなかった。


「レールガンかあ…凄いモン作っちまったもんだ」


「僕はキャパシタを作っただけです」


「キャパシタ?」


「魔法を閉じ込める容器ですよ、簡単に言えば」


「ほぅ…」


「魔法使いの皆さんのおかげです」


「キミは、魔法使いの人たちと仲がいいのかい?」


「そうですね、みんないい人ですよ」


「友達なのかい?」


「友達でもあり、同志、ですかね」


「同志?」


「この国を守りたいって、志ですよ」


「なるほどなあ…」


「あなたも武器工房の方ですか?」


「ああ、そうだよ」


「ブースはどの辺りだったんですか?」


「ああ、今日は手伝いで来ただけなんだ」


「そうなんですね」


カイルがその言葉を言った瞬間、男の目が左斜め上を見た。


鋭い目つきだった。


「じゃあまたな、カイルくん」


「はい、さようなら」


男は、撤収作業の業者たちの群れに紛れて行った。


なんか、うっすらエネルギー体が見えてたな、弱かったけど…あの人も正体を隠して生きてきたのかな。


まあでも今回の件で自由を手に入れられるはずだ。


良かった。


カイルは突然、両肩を掴まれた。


ビックリして見上げると、グレースが取り乱した顔でカイルの顔を見つめていた。


「カイル!大丈夫!」


「何もされなかった!?」


カイルは、いつも冷静沈着なグレースが慌てている顔を初めて見た。


「どうしたんですか?グレースさん」


キョトン、とした顔のカイルを見て、グレースはその場にへたり込んだ。


そして、涙目になってカイルをギュッと抱き締めた。


カイルは訳がわからなかった。


カイルの後ろに居たタティスは…。


「カイル…年増もかよ…羨ましいぜ」


と、羨望の眼差しでカイルとグレースを見ていた。








御覧頂いた皆様に心より御礼申し上げます。

初回投稿から毎日投稿を続けておりますが、最終話まで毎日投稿で走り切るつもりです。

常時、原稿ストックを40本以上キープして公開を続けます。

「エタりません、完結までは。」

最終話までお付き合い頂けましたら幸いです。


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