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第十八話:ベッツとカイルの邂逅

大陸からスパイとして送り込まれた少女、ベッツと主人公のファーストコンタクト。

ロサーナ王国一の魔法使い、グレースは彼女をどうする?

ベッツの目的とは?

グレースとカイルを乗せた馬車が、王宮に戻ってきた。


今日の予定はこれで終わり、ノーランとカイルは工房まで馬車で送って貰う予定だった。


しかし、ノーランとコービン工廠長は激論を繰り広げており、なかなか終わりそうになかった。


グレースは、カイルをじっと見ていた。


「じゃあ、あの子に会っていく?」


「あの、さっき窓から覗いてた子ですか?」


「そうよ」


「そうですね、お父さんの話も終わりそうにないし」


「じゃあ、行きましょう」


グレースに案内され、カイルは救護室の横にある病室に向かった。


病室に近付くにつれ、エネルギー体の存在が強く感じられる。


ただ、それはとても柔らかく、優しい感触だった。


看護師に声をかけ、面会することを伝える。


「ベッツちゃーん!お客様よー!」


看護師が笑顔でベッツに声をかける。


ベッツは読んでいた本を脇に起き、病室の入り口に目を向けた。


まず、カイルが中に入る。


ベッツと目が合った。


「こんにちは、僕の名前はカイルと言います」


ベッツが「あっ!」という顔になった。


グレースが、ベッツの表情の変化をじっと観察していた。


「あの…私…ベッツ、といいます」


「カウフマン帝国から来ました」


ベッツの言葉を聞きながら、カイルの「神の目」は高速分析を終えていた。


さっきは「目の端」からだったが、今度は真正面からだ。


そんなに時間は必要無かった。


「もう元気になりましたか?」


カイルは笑顔で聞いた。


ベッツはモジモジしながら、答えを探している様子だった。


グレースがカイルの後ろから顔を出した。


「こんにちは、ベッツちゃん」


「私はグレースよ」


ベッツがカイルからグレースに視線を移す。


「こんにちはグレースさん、ベッツです」


グレースはベッツに話しかけた。


「あなた、カウフマン帝国から、どうやってここまで来たの?」


「えっ…と…歩いて来ました」


「あの森の中を?歩いて?」


「そうです、5日かかりました」


「川はどうやって渡ったの?」


「あの…途中までは歩いて…」


「歩いて?」


「最後は、流されました」


グレースは、声をあげて笑った。


「それは、大変だったわねえ…」


「まずは、元気にならなきゃね」


「はい、もう、だいぶ良くなりました」


「ごめんね、笑っちゃって」


「また寄るわね」


グレースはカイルを促して、病室を出た。


グレースは、自らの執務室にカイルを招いた。


「ここで、お父様のお話が終わるのを待ってましょ」


「紅茶を持ってくるわね」


「グレースさん、お茶はいいよ、本題を話そう」


「あら、せっかちね」


「あの子は、プホルス側が送り込んできたスパイだろ?」


「あなただってもう分かってるはずだ」


グレースは、黙っていた。


「初対面の僕の名前を聞いて、驚いた顔をしてたよね」


「カイルと接触しろ、と言われて来たのはミエミエじゃないか」


「なんで王宮の中に置いておくんだ?」


グレースは振り返って、ニッコリ笑った。


「わざと、罠にハマるって戦略」


「なーんてね」


「プホルス側があの子を選んだ理由は分かるわ」


「あちら側にいる軍師は相当優秀ね」


「どういう意味?」


カイルはなかなか本題に入らないグレースにちょっと苛立っていた。


「あの子は綺麗な子よ」


「血の匂いも全くしない」


「本当に、純粋で、素直」


「私たちのプランに参加させましょう」


「きっと、はかどるわよ」


カイルは怒っていた。


「本気で言ってるの?」


「プホルスを倒すための武器を作るんだよ!?」


「あの子に全部見せるの?」


「そうよ」


グレースの顔は笑っていなかった。


「あの子はあちら側が仕掛けた罠」


「でも、こちら側が仕掛ける罠にもなる」


「それは、あなた次第よ、カイル」


そこまで言うと、グレースは笑顔に戻った。


「ベッツちゃんと、仲良くしてあげて」











ご一読いただき、ありがとうございます。作者の緒方光次郎です。

本作は現在、第65話まで書き進めており、完結までのロードマップは既に固まっております。毎日20:10に必ず更新いたしますので、どうぞ安心してお付き合いください。

もし少しでも「面白い」「先が気になる」と感じていただけましたら、下の評価欄(☆☆☆☆☆を★★★★★に!)やブックマークで応援いただけると、執筆の大きな励みになります。

次回も、明日の20:10にお会いしましょう。

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