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神の如き宇宙人は何もしない~ただ売るだけ~  作者: 苺一会
第四部「戦争・決着・そして締め」第八章「豪州合衆国との戦争」

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閑話「戦死通知を書く教師」

 1862年、大阪 大学統合校。


 シャリアが通知書を書き始めたのは、夜中の二時だった。

 戦死通知だった。学校から徴兵された学生のものだった。


 一枚目。

 田村孝之助。二十一歳。工学部三年。蒸気機関の研究をしていた。先月の試験で満点を取っていた。


 シャリアは筆を持った。

 「謹んでお知らせ申し上げます」


 書けなかった。

 もう一度持った。


「謹んで」

 また止まった。


 シャリアは筆を置いた。田村の答案用紙を引き出しから出した。試験の答案だった。丁寧な字で、蒸気圧縮の計算が書いてあった。最後の欄に「この理論を応用すれば、船の速度を三割上げられると思います。来学期に実験してみたいです」と書いてあった。

 来学期はなかった。


 シャリアは答案を元に戻した。筆を取った。

「謹んでお知らせ申し上げます。貴殿の御子息・田村孝之助殿は、去る……」


 書いた。最後まで書いた。

 二枚目を取った。


 山本清一郎。十九歳。医学部一年。入学したばかりだった。

 シャリアは書いた。


 三枚目。四枚目。五枚目。

 夜明け前に、十二枚書き終わった。


 シャリアは筆を置いた。十二枚の通知書が並んでいた。

 窓の外が明るくなり始めていた。


 シャリアは一枚一枚、もう一度読んだ。間違いがないか確認した。

 間違いはなかった。


 それが一番、辛かった。


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