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閑話「信正、佑を怒る」
時期:1892年。
1892年、日本は豊かになった。
信正が工作船へ来る。
珍しく怒っていた。
「何故言わなかった」
「何をです?」佑が答えた。
「曾祖父が死んだ時」
「……」
「信幸公が死んだ時」
「……」
「皆死んだ時」
沈黙。
「寂しかったでしょう」
佑は答えない。
信正は続ける。
「何百年も付き合った相手が次々死んで行くんだ」
「慣れています」
嘘だった。
信正は見抜く。
信長に似ていた。
「嘘ですね」
沈黙。
長い沈黙。
そして、佑は初めて認める。
「……寂しいですよ」
「でしょうね」
「でも仕方ないじゃないですか」
「仕方なくない」
信正は笑った。
「次からは墓参りくらい来てください」
「何かと忙しくて……」
「来てください」
「……はい」
この後、佑は初めて信長の墓へ行く。
そして歴代織田家当主の墓にも行く。
フィリアは後に語る。
「信正さんは、信長さん以来二人目でした」
「何がです?」
「佑さんに説教した人です」




