第35話 決着 マクレガーの言葉
戦争は三ヶ月で終わった。
豪州合衆国が講和を申し入れた。
講和交渉の場に、エリザベス・ホーンが来た。全権大使として。マクレガーは軍人として、その隣に座っていた。
日本側の交渉官が、条件を並べた。佑は工作船から通信で聞いていた。
交渉が終わる直前、マクレガーが口を開いた。
「一つだけ、言わせてください」
交渉官が頷いた。
「我々が負けた理由は、兵器ではありません」
静かな声だった。軍人の、整理された声だった。
「あなた方が二百年かけて作った——考える国民に、負けた。田中という人間が設計した潜水艦に負けたのではない。田中という人間を生み出した国に負けた」
誰も何も言わなかった。
「以上です」
佑は通信を切って、椅子に戻った。
フィリアが横にいた。
「……聞こえましたか」
「聞こえました」
「良かったですね」とフィリアは言った。
「何がですか」
「マクレガーという人間が、ちゃんと分かっていた。あなたのやってきたことの意味が」
佑は少し間を置いた。
「……そうですね」
「嬉しくないんですか」
「嬉しいです」と佑は言った。「ただ、なんというか」
「なんというか?」
「信長殿に報告したかったな、と思いました」
フィリアは何も言わなかった。
ただ、隣にいた。




